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  1. 熊本地震でいち早く復興を後押し。福岡市の“支援力”とは?(福岡県福岡市)

熊本地震でいち早く復興を後押し。福岡市の“支援力”とは?(福岡県福岡市)

2016年4月14日夜に発生した熊本地震。九州地方での震度7は初めて。最高震度7が2回観測されたのも日本初だ。最多避難者は18万人、建物の災害は約20万棟にも及んだ。

福岡市では地震発生の翌15日に義援金の受け付けを、17日にはSNSを活用した支援物資の受け入れを開始し、19日には避難所支援を実施するために約100人の職員を派遣している。福岡市はなぜこんなにもスムーズに対応できたのか。

※本記事は『ヒントとアイデアを集める行政マガジン ジチタイワークス』からの転載です

担当レベルだけでなくトップ同士のつながりを厚く

地震の発生は、政令指定都市で構成される「指定都市市長会」の調整会議が開催された直後に起きた。すぐに熊本市から市長会幹事だった北九州市に連絡があり、各都市の担当者同士で連絡を取り合って支援について協議。19日にはそれぞれの市が担当するエリアの割り当てが完了した。

緊急時だったからこそ、直接市長同士や担当者同士で連絡を取り合うといったスピード感のある対応ができたので、すぐに支援に動き出せたのだ。

市長がFacebookを活用

髙島宗一郎福岡市長は、大西一史熊本市長と被災地の状況や必要な物資について直接連絡を取っていた。その後、髙島市長は自らのFacebookページで、熊本への支援物資として持ってきてほしいものを市民に発信。支援物資は小学校で集め、紙おむつ、生理用品などの日用品、水、食料など教室ごとに振り分けられた。

現地では、送られてきた支援物資の仕分けに時間と手間がかかると、被災者に行き渡らない。最初から水を積んだトラック、紙おむつを積んだトラックと分けて持って行くことで、各避難所へスムーズに配送できたのだ。

福岡市があらかじめ必要な物資の内訳を提示してくれていたので、市民も行動に移しやすかったと考えられる。

「被災者のために何かできることをしたい」という気持ちは市民の多くが持っているもの。福岡市が市民から提供された支援物資は、ダンボール約3万6500箱にもおよぶ。

髙島市長は、Facebookで支援の協力を呼びかけるとともに、逐一、預かった物資の現状を報告した。このことで支援に協力した市民も安心感を得られ、多くの支援物資を集めることができたのだ。

※当時、実際に投稿されたFacebookの様子。3万いいね、1.9万シェアと多くの共感を呼んでいる。

職員同士の連絡はLINEで

「避難所間の情報共有に、LINEでグループを作ってほしい」。福岡市職員からの要請に応えて各避難所に派遣されていた職員と本部の職員100人ほどのLINEのグループを作った。

これは物資の過不足確認だけでなく避難所の状況確認にも活用された。例えば「保健師が避難所を回っている」「不審者がいるので気をつけて」「インフルエンザを発症した人への対応は?」など治安や衛生環境などに関する情報も共有できたという。

LINEでは困っていることだけでなく、奏功事例などの情報発信もされ、直接避難所運営をする職員間や支援策を検討する本部との有益な情報交換の場になっていた。

福岡市防災・危機管理課の松浦裕樹係長は「2017年7月に発生した九州北部豪雨で、被害を受けた朝倉市へ支援するときも、このときの経験が避難所運営に活かされた」と話している。

九州の防災力を高める

2016年10月、九州市長会では、福岡市の提案で「防災部会」が立ち上がった。熊本地震での対応を教訓に、九州を「防災先進地域」とするべく、九州の各市が一体となって災害に対応するためだ。

部会長には髙島市長が就任している。まずは市長同士の「ホットライン」を構築するため、直通の連絡先を交換することから始まった。

また、2017年5月には、九州市長会における災害時の新たな相互支援体制として相互支援プランや九州地方知事会との連携など、災害への対応の充実・強化が図られている。

まとめ

Result

○市長同士で直接連絡をとり現場のニーズに対応
○市長自らSNSを活用して情報発信
○災害翌日に支援スタート

「災害時は一刻も早い対応が必要なため、福岡市として何かを決断する時に決裁文書を回して最終決議者に確認をとる手順を踏みませんでした。市長だけでなく、防災・危機管理課の担当者同士でも連絡を取り判断したので、素早い対応ができたと考えています。」(福岡市 市民局 防災・危機管理課危機管理担当係長 松浦 裕樹さん)

How To

01 首長同士で連絡先を

災害時は、首長に必要な情報が集約される。まずは首長同士の連絡先を交換し、「ホットライン」を構築するべき。

02 情報の発信は必要なもの・不要なものを明確に

髙島市長のFacebookでは「区役所に直接物資を持ち込むと混乱するので控えてほしい」「ウェットティッシュ、栄養補助食品が足りていないので、大名小学校に届けてほしい」「指定した物資以外は引き取りません」といった誰の目にも明確な内容がわかりやすい表現で投稿され、シェアされた。

この呼びかけで多くの市民が動き、必要なものを必要なときに集められたと考えられる。

03 被災した自治体に負担をかけない

ダンボールに、日用品から食料まで多種多様な物資が入れられ避難所に配送されることがある。これだと避難所に負担がかかってしまう。避難所ごとで必要なもの、足りているものが違うので、物資を送る段階で品目を分けると直接届けられる。

また、あらかじめ支援・受援計画を立てておくことで災害時にスムーズに動くことができる。実際に福岡市は支援・受援計画を作成中で、2017年度内の完成を目指している。

このように支援物資の送り出し方や、避難所間の連携体制を整えることで被災地に負担をかけない支援方法を実施できる。

04 LINEの活用

LINEは特に災害時の情報共有ツールとして力を発揮する。平常時から利用している人も多いため、職員間だけでなく、警察や自衛隊、ボランティアなど他機関を取り込んだグループも簡単に作成でき、支障なく操作ができるためだ。

LINEで情報交換をする場合の注意点は、誰かの呼びかけに対して「了解です」「わかりました」などと送らないこと。本当に必要な情報がどんどん埋もれてしまうので、そうならないためにも、返事はしないのがルールだった。

 

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