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  1. ヒアリングがカギ。包括施設管理委託の裏側(東京都東村山市)

ヒアリングがカギ。包括施設管理委託の裏側(東京都東村山市)

東京都東村山市は市が保有する施設の保守や清掃などの管理業務を、一括して民間の事業者に委託する「包括施設管理委託」を2018年度より開始します。

募集開始時点から話題となっていた取り組みですが、その裏側について担当者の方にお伺いしました。

※本記事は『ヒントとアイデアを集める行政マガジン ジチタイワークス』からの転載です

概要

包括施設管理委託とは、縦割りで管理してきた個々の公共施設を包括的に管理することによって、管理業務の効率化による経費の削減や、統一した考え方による適切な維持保全を実現するための維持管理手法です。施設再生推進課ではこの施策の導入により、事務負担の軽減や業務水準の向上、管理業務の効率化を目指すとしています。

導入までに2年をかけて役所内の全58課でヒアリングを実施、施設担当者の一部からは不安の声もあったが、すべての部署に丁寧に情報を共有することでスムーズに進行しているとのこと。また、各課とのコミュニケーションが改善し、施設運営に関する相談が増えているため、運営のクオリティアップも見込まれています。

担当者の声

今回なぜこのような施策を始められたのでしょうか?

これからの少子高齢化、人口減少社会において限られた人(職員)を本当に必要な業務に投資するためには、今ある業務の効率化を図ることが必要不可欠です。その中でも公共施設は今から30年前の高度経済成長期に建てられたものが多く、一般的に60年が寿命と言われていることを踏まえると、この先の30年に向けて改めてあるべき姿を考える時期に来ていると判断しました。

本事業の狙いを教えてください

大きく分けて3つあります。一つ目は「サービス品質の標準化」。これまでは約450件の委託業務について、施設ごとに維持管理の担当職員が配備され、それぞれ異なる方法で建物の補修等を実施していました。またルールが統一されていないことから、補修等の対策や予算要求に時間がかかっていることも課題でした。

これに対して、包括委託では複数の施設を統括的に管理する専門部署または民間事業者が、統一的な考えのもと建物を一括管理します。そのためルールが統一されていることにより、経費の削減や補修等への迅速な対応が可能となります。

二つ目は「費用対効果の向上」。450件にかける予算の総額は変わらないのですが、管理者を一本化させることでスケールメリットが出せると考えています。イメージ的には今までで年2回の清掃しかできなかったのが、今後は年3回できるようになるといった感じです。

三つ目は「職員の事務量削減」。分析したところ、これまでは契約1件あたり約13万円の人件費が発生していました。それを1件の契約にまとめることで大幅に工数を削減することになります。削減した分のリソースは他の優先順位の高い業務に割り振ることができました。

苦労したことはありますか?

実施に向けてのヒアリングに注力しました。まずは何よりも「庁内の情報共有」です。包括管理委託の概要を丁寧に説明し、委託内容の調査や現状の困りごとを全課に聞いていきます。その中で工夫した点としては、財政課の予算ヒアリングに合わせることで現場の手間を少なくするよう心がけました。2回目のヒアリングを終えた時点で全58課のうち21課から、包括化への希望をもらえたことで手応えを感じました。

次に大切なのが「地元業者への事前説明」です。やはり発注が減る、なくなるのではないかといった不安を持たれるのは当然です。これについては、できるだけ地元業者を活用するよう公募条件に盛り込んでいることなどを丁寧に回答していきました。

最後に「サウンディング型市場調査」という取り組みを行いました。実施にあたっては横浜市さんの事例を参考にさせていただきました。簡単にいうと事前に公募資料案を見せて様々な民間業者から話を伺い、予算額の適正さや公募の内容に問題がないか等を確認することです。

全10社の民間事業者から多面的に話を伺うことができた結果、予算額の適正さを確認できたほか、当初予定していなかった現場見学を設定することにつながりました。最終的にご提案頂いた内容は全て的を外さない質の高いものとなっており、実施の効果を実感しています。

最後に、取り組みを通じて大事にされていることを教えてください

「少しずつ」「小さく」「今からできることをしていく」です。地域の課題を解決するためには、職員・市民・議員といった地域のヒトが育っていかなければなりませんが、いきなりスーパーマンのように変身することはできません。各自が「これならできる」「やってみよう」と感じるところから徐々に機運が高まっていく、その延長上に課題を乗り越える力が備わっていくと考えています。

おわりに

いかがでしたか?

公募の結果、無事委託業者も決定し、2018年度からの実施に向けて準備中とのこと。実際にどのように市が変わっていくのか、これからの変化が楽しみです。

また施策の実施を通して、関わる人々の意識を変えていくという発想が印象的でした。まちづくりに終わりはありません。目的と手段を取り違えることなく、継続的な改善・改革が行われていくことが期待されています。

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