引退撤回!タマにゃんとともにワクワク広報紙(熊本県玉名市・平田さん)

昨年12月から始めました待望の新企画「広報担当インタビュー」。年が改まって第三弾となる今回、お話を聞いたのは、熊本県玉名市の「広報たまな」担当の平田さんです!
ゆるキャラと言えば熊本県の「くまモン」が断トツに有名ですが、玉名市の「タマにゃん」も地元をかなりにぎわせているんですって。引退をかけて「ゆるキャラグランプリ」にエントリーしたり、ツイッターも大人気。最近では「広報たまな」の表紙に4号連続で登場しています。
平田さんに、ゆるキャラを使った広報の狙いや広報紙にかける想いなどについて伺いました。
音楽祭ポスターから生まれたにゃん
――まずは自己紹介をお願いします。
平田 巌(ひらた いわお)と申します。42歳です。
2005年、玉名市と隣接する岱明(たいめい)町、横島町、天水町の1市3町が合併して新「玉名市」となりました。岱明町職員時代は総務課や下水道課に勤務し、新しい玉名市でも引き続き下水道課に勤務しましたが、2013年4月、現在の秘書課秘書広報係に来ました。
玉名市の広報担当職員は3人です。主な仕事内容は広報紙作成や取材、ホームページの記事投稿や管理、プレスリリース、記者会見などです。その中でも主たる仕事は広報紙作成です。玉名の魅力を発信し、玉名の「まち」を好きになってほしいとの思いが詰まった広報紙を目指しています。
――地元で大人気の「タマにゃん」について教えてください。
合併後、音楽の都を目指した市の取り組みとして2007年に第1回玉名市民音楽祭が開かれました。タマにゃんは音楽祭のポスター募集から生まれ、初めは音楽祭をPRしていましたが、その後、市の公式マスコットキャラクターになり、様々な企画やイベントをPRするようになりました。
オスの猫で、手にタクト(指揮棒)を持ち、ト音記号が入った青い洋服に赤い蝶ネクタイ姿。玉名市で行なわれるイベントに出没します。音楽を聴くとワクワクして踊り出します。
――こちらもワクワクしてきました♪「タマにゃん」を使っての取り組みを教えてください。
特産品などへの画像使用(要申請)などから始めて、2015年からは原付きバイク用の玉名ナンバープレートにイラストが掲載されています。
注目を受けたのが、「ゆるキャラグランプリ」へのエントリーです!全国の自治体や企業のゆるキャラをネット投票で競うもので、初めてエントリーした2014年が612位、15年が1049位。16年は、「100位以内に入らなければ引退」との公約を掲げることに。
広報担当としては、9月号・10月号の表紙や組み写真にタマにゃんを写り込ませて強い印象を与えるようにしました。特に9月号の裏表紙には、ゆるきゃラグランプに引退をかけて出場すると宣言した内容をスポーツ新聞風に掲載し投票を呼びかけました。しかし、健闘を及ばず結局281位に終わりました。
得票数は前回の7.5倍にあたる8622票を獲得。「辞めないで」との声や投書が集まり、記者会見まで開いて引退を撤回しました。新聞記事にもなったほか、市議会の一般質問でも質疑が飛び出すなど話題になりました。
――今後の取り組みは?
今年も再び「ゆるキャラグランプリ」にエントリーして玉名市を盛り上げたいと思っています。さらに最近では、市のホームページに「タマにゃんフォトギャラリー」という特設ページを開設しました。是非ご覧ください!
タマにゃんフォトギャラリー
http://www.city.tamana.lg.jp/q/aview/148/7576.html
震災を通じて広報の大切さを痛感
――話題が変わりますが、昨年4月の熊本地震の被害はいかがでしたか?
最大で震度6弱を観測した本市の被害は(2017年1月13日現在)軽傷者18人、住宅の全壊10棟、半壊84棟、一部損壊1,423棟などです。本震のあった4月16日には市内38の避難所に約3,000人が身を寄せました。
私自身も午前2時過ぎに市役所に着き、防災無線の情報をホームページを使って正確に市民の皆さんに伝えることに全力を尽くしました。スマートフォンを使えないお年寄りや体の不自由な方、外国人の方にいかに伝えるかが今でも課題として残ります。
――激務でしたね・・・。地震を経験して感じることはありますか?
情報発信は迅速さが大切ですが、迅速さを求めると正確さを欠くケースも出てきます。市民の皆さんの声や報道機関への対応から、ホームページを使って、「いかに早く、正確に災害情報を伝えるか」を今後も心がけたいと思っています。
「人生を変える」広報紙を
――今後、どんな広報紙を作っていきたいですか?
最近は広報紙の表紙にタマにゃんを度々登場させるなど、市民の皆さんの手に取ってもらう工夫を3人のスタッフで重ねています。
中身で力を入れたいのは特集です。16年9月号の特集は「夏目漱石と、玉名」でした。
「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた」の書き出しで知られる漱石の名作「草枕」は、玉名市の小天(おあま)温泉への旅を題材にしています。
16年が漱石没後100年、来熊120年の記念年でした。実は熊本市と新宿区は積極的に広報していますが、地元の玉名市民にはあまり知られていません。熊本で過ごした中で小説になるほど小天温泉を印象深く思っていたことを市民に知ってもらいたいため特集にしました。
また、健康診断のお知らせや子育て支援情報も積極的に広報するなど、「広報紙がきっかけで人生が変わった」と言われるような情報を発信していきたいと思っています。
広報紙を通じて、タマにゃんのように明るく元気なまちづくりをこれからも進めますよ!
キラリかがやけ玉名フェスタ 玉名市産業祭2017
http://www.city.tamana.lg.jp/
取材:読売新聞西部本社 Copyright (C) The Yomiuri Shimbun.