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  1. 現実に即した危機管理こそが重要! 災害時にも機能する自治体組織マネジメント

現実に即した危機管理こそが重要! 災害時にも機能する自治体組織マネジメント

各自治体で作られている地域防災計画や初動対応マニュアル。いざという時の備えの一つだが、はたして本当に災害 が発生した時、これらの計画等に沿って動けば大丈夫なのだろうか? 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 准教授の紅谷昇平さんに話を伺った。

※下記はジチタイワークス防災・危機管理号(2019年6月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

災害発生時、自治体はどういう状況になるのか

地域防災計画は作成が法律で義務付けられており、各自治体が備えている。この計画は災害時の体制や対応業務、役割分担などを示すものであるが、自治体の被災や混乱が前提とされておらず、実際の災害時には困難に直面する事例が多くみられる。紅谷さんは、災害対応の難しさとして以下の4点を挙げる。

(1)災害は突然発生する
防災訓練ではシナリオがあり、事前に準備をしているのでうまく対応できるが、突然発生する地震や火山噴火等の災害では十分な準備はできない。

(2)業務の内容が平時と全く異なる
災害対策本部体制では、たとえば、税務課の職員が罹災証明調査を行うなど平時と全く異なる業務を担当する。マニュアルがあっても、業務内容や手順を完全に把握できていないことも多い。

(3)対応資源が不足する
庁舎や職員も被災するため、テントに災害対策本部を設置したり、停電で情報システムが使えなかったり、通信手段がなくなるなど、執務環境が不便になるので職員が発揮できる能力も制限される。

(4)業務の量が増大する
避難所の設置・運営、物資の整理・輸送、罹災証明発行など、対応業務が膨大な量になり、処理できない状態に陥る。

これらの要因が相まって、現場は混乱する。たとえば消防や自衛隊であれば、日頃から非常時に向けた訓練を行っているため災害時の環境にも順応できるが、自治体はそうはいかない。業務継続計画(BCP)や初動対応マニュアルの策定も進められているが、自治体や部局により策定状況や内容は大きく異なっている。対応に遅れが出ている間にも次のトラブルや新しい事案が発生し、現場はさらに混乱してしまう。では、どうすれば一人でも多くの住民を守ることができるのだろうか。紅谷さんの回答は「大災害時に、ある程度の混乱は避けられない。むしろ混乱を前提としたシミュレーションや準備を行うことが大切だ」というものだった。

自治体に必要とされる心構え

現場の事情に即した災害対応シミュレーションを行う際、注目されているのが外部からの支援を効率よく受けるための「受援計画」だ。実際に大災害が起きたら、躊躇せずに手を挙げて外部支援を求めることが必要になる。「小さい市町村であれば、都道府県がノウハウやマンパワーの限界をフォローする役割を担っています。しかし過去には、被災市町村が必要としている外部支援を、都道府県が『必要なし』と断るようなケースも見られました。自治体間の状況認識の共有がうまくいっていなかったためで、こういった事態を避けるためにも平時からの連携強化が重要です」(紅谷さん)。

平成30(2018)年の西日本豪雨では、総務省によるパートナーシップ型の応援自治体調整が実施され、効果を発揮した。しかし、遠方の応援自治体から先遣隊が派遣され、その後、応援部隊の本隊が到着するには、通常1週間前後を要する。それまでは庁内の配置転換や近隣自治体からの支援が大切になってくる。都道府県だけでなく近隣市町村とも相互支援について確認しあい、地域のNPOや民間事業者も巻き込んだ備えをしておきたい。

また、平時と同じ業務フローに固執していては助かる人も助けられない。首長、副首長、部課長等が腹を決め、必要に応じて例外も認める柔軟性が必要だ。「被災者情報を共有する必要があるが、プライバシーの問題でできない」などと言っている間に、犠牲者は増えていく。首長や幹部が、「いざとなったら私が全責任を負う」という覚悟で災害に臨む気概を持つことも、広い意味で災害への備えだと言える。

HowTo

災害発生時、正常・迅速・的確な意思決定を行うための6カ条

01 災害時の、所属部局の担当業務を理解しておく

特に初動業務に関しては全員が共有して把握しておくのが望ましい。

02 災害対策本部での情報の流れを整理しておく

業務に必要な情報の内容や収集方法などを事前に確認し、訓練を行う。

03 働く環境を維持するために最低限必要な設備・備品の備蓄

代替拠点、通信、発電、食料、トイレなど。HV車を電源に使用する、屋外で初動対応するといった方法も備えておく。

04 外部との連携、内部の調整

災害時の業務量に応じて、内部資源の再配置と、外部からの応援受入を進める。

05 トップの理解、最前線意識

平時からトップが防災意識を持つことが大切。首長に限らず、副首長や部課のリーダーも同様。

06 普段からの訓練を

災害時の対応業務の種類は、政令指定都市でも小規模自治体でも変わらない。訓練で備えることの重要性も同様。

Results

計画・マニュアル・訓練を充実させると同時に、災害対応に不足するノウハウや資源を確保する受援体制の準備をし、近隣自治体や民間との事前連携を取っておく。

災害への自治体の対応能力は、被災経験や事前対策によって差があります。災害前には、自らの災害対応力を高める努力が必要です。しかし、もし被災してしまった場合には、外部からの支援を、積極的に上手く受け入れることも有効です(紅谷さん)。

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科准教授 紅谷昇平さん
京都大学大学院工学研究科修士課程修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)、人と防災未来センター、神戸大学を経て、平成28(2016)年より現職。専門は自治体・企業の災害対応や危機管理、官民連携による地域防災活動など。

 

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