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  1. クラウドファンディングで資金調達「湯〜園地」成功の秘訣(大分県別府市)

クラウドファンディングで資金調達「湯〜園地」成功の秘訣(大分県別府市)

風呂桶が回るメリーゴーラウンド、温泉で満たされたジェットコースターやケーブルカー。遊園地で温泉を楽しむ、前代未聞の動画が配信されたのは平成28年11月だった。

「再生100万回突破で温泉テーマパーク『湯~園地』を実現する」と長野恭紘別府市長が約束したところ、たった3日で100万回再生を突破。1年以内の実現に向けて動き始める。

※本記事は『ヒントとアイデアを集める行政マガジン ジチタイワークス』からの転載です

そもそも、日本一の温泉湧出量を誇る大分県別府市の「遊べる温泉都市構想」として発表されたこの企画。民間と連携して「別府市民みんなでつくりあげるイベント」にするため、税金は投入しないことは決定していた。

資金を集めのために市長の記者会見を見たクラウドファンディング数社の中から、条件が合致した企業と契約し、Webで資金調達することになった。

多数の市民を巻き込み計画は大きく前進

目標額はまずは1000万円に設定。温泉ジェットコースターを実現できる金額が集まったら、次は2000万円でメリーゴーラウンド、3000万円でかけ湯をつくる、と明示。小さな目標をいくつも置くストレッチゴール方式で出資を募り、2カ月で3396万6585円を集めることができた。

さらに、インターネットが使えない人のために支援を直接受け付ける仕組みも整え、入園券とタオルを返礼品に8182万8088円の資金を集めている。

事業の運営には別府市職員や商工会議所、民間企業の社員が参加する実行委員会が携わった。どのようにアトラクションをつくるのか、人員体制は、救急対応は……と、課題は毎日のように浮かび上がる。

地元の祭の実行委員会にイベント実施のノウハウを聞き ボランティアで参加してくれる医療機関と連携を取り、実行委員の伝手で工務店と実施計画をすりあわせた。5人でスタートした企画は、最終的には多数の市民が参加し50人で運営。50人の知恵を結集して実施までの細かな段取りを決定した。ボランティアは3日間でのべ1200人にのぼっている。

応援したくなる「夢」はあるか

クラウドファンディングが成功した理由の一つは「イベント自体に夢があったから」と担当者は語る。「参加はできないが支援をしたい」という出資者は多く、県外からの支援が7割を占めた。その期待に応えるため、別府市役所職員も運営に最大限関わっている。

観光課の6人は会場内のテントの位置やベンチの設置レイアウトを決め、寄付をしてくれた約9000人をリスト化。返礼のタオルを手作業で発送した。また、遊具のチェックや当日の受付、ボランティアの差配も担当し、官民一体となって成功を目指したのだ。

イベントを支えたのは地元住民の「別府愛」

また、行政とともにこれだけ多くの市民が支援やボランティアに積極的に関わったのは、別府市民一人ひとりが観光で成り立つ別府市を愛し、誇りに思っているという事実が大きく関わっている。動画を見て初めて「湯~園地」計画を知った人が多かったが、「別府市として成功させなければならない」という意識が共通としてあったという。

「別府市は観光で成り立っているから、メディアで注目され全国からお客が集まるのであれば盛り上げたい」と考えたのだ。結果、イベント3日間で1万4000人を集客し、経済効果は1億8000万円を記録している。

「ただイベントを開催するだけでは市民の協力が得られません。まずは地元愛を醸成することが成功のカギだと思っています。」「行政だけでなく、50人もの市民を実行委員会に巻き込んだからこそ、課題解決や方針決定までのスピードが上がりました。多くの人が関わることで、自分たちでは考えつかないアイデアも集まったと考えています。市役所をあげてのフォローも成功の秘訣です。」(別府市観光戦略部観光課久保田道猛さん、江藤慎一郎さん)

まとめ

Result

○クラウドファンディングで3396万6585円、寄付・支援で最終的に約9000万円を調達
○ボランティア参加者1200人以上
○経済効果1億8000万円

How To

01 PR動画のなかで約束をする

100万回再生されたら「湯~園地」を実現すると動画の中で約束をした。そのため、「本当に実現できるのか」とマスコミからの問い合わせ電話が3日間鳴り止まず、PR効果が高かった。

02 クラウドファンディングはストレッチゴール方式

小さな目標をクリアすると温泉アトラクションが一つ実現する方式だと出資者の達成感も得られやすく、資金もショートしない。

03 webと市の窓口、複数の支援方法を持つ

「別府市の一大イベントに何かしら携わりたい」と考える幅広い年代層の支援者に対応するため、支援の方法を複数設けた。

04 実行委員会に市民を積極的に巻き込む

行政職員だけだと計画の実現方法を考え込んで時間がかかる場面でも、人脈の広い市民が関わっていれば話の進むスピードが早い。整備や人員整理の課題はその場で連絡を取り、解決した。

05 地域への誇りが成功のカギ

地元愛なくしてイベントの成功なし。「別府市のために何かしら協力したい」と市民が思えたのは、市と市民が地域の魅力を高め、愛をもって育ててきたからだ。

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