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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜価格戦略に欠かせない「自治体予算」のこと〜

BtoLGマーケティングの実務 〜価格戦略に欠かせない「自治体予算」のこと〜

BtoLGマーケティングの実務 〜価格戦略に欠かせない「自治体予算」〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。

今回のテーマは、再びBtoLGマーケティングに戻ります。マーケティングの4Pの一つ「価格戦略」に関わる自治体予算について。
しばらくプロモーション戦略の一環として自治体に対して有効な情報を提供するコンテンツマーケティングの話が続きましたが、再び4Pの一つ「価格戦略」についてお話を続けます。

4P

「見積もりお願いします」と言われたら

前回までのコンテンツマーケでお話をしてきた自治体への情報提供。コラムをお読みになって実践してみた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちょうど9月ごろからは、自治体が民間企業に見積もりを依頼する時期。自治体に対して役立つ情報で信頼を獲得し「お見積もりお願いします」と自治体から連絡をもらったとしたら嬉しいですよね。

さて、ここで必要になるのが「自治体予算」の知識。
お仕事の受注の「元手」、それが予算である以上、マーケティングの観点から価格戦略を組み立てる上では、当然欠かせない知識だというわけです。「見積もりお願いします」は本格的な案件化のスタートライン。その後の活動を迷走させないためにも、自治体予算のことは最低限知っておきたいものです。

自治体予算って、何?

民間企業として自治体にアプローチすると、よく職員さんから耳にする言葉は「予算がない」。
その言葉からどんな仮説を立てればいいのかは次回以降のコラムに譲るとして、まずは自治体予算の正体をつかみましょう(細かいところまで話を突っ込むとわかりにくくなるので、大まかな説明に留めます)。

自治体予算は、大きくは「歳入」と「歳出」の2つで構成されています。

「歳入」は、自治体にとってのお金の出どころ。主な内訳は地域の住民や企業から預かった税金と、国から交付される交付税や交付金などです。民間企業でいうところの「売上高」に該当すると言えば分かりやすいでしょうか。

もう一つの「歳出」は、自治体のお金の使いみち。民間企業でいうと、キャッシュアウトを伴う諸々の費用に当たります。
ちょっと詳しくみてみましょう。自治体がお金を使う目的ごとにざっくり分類するとこんな感じになります。

出典:総務省公式ウェブサイトより一部加筆

ご覧の通り、歳出で挙げられているもののほとんどが私たち地域住民の快適で豊かな生活を実現するための対策に使われているのが分かります。
この「歳出」に計上されている様々な予算こそ、自治体ビジネスの元手となる予算の出どころ。
私たち地域住民の生活の維持や、地域の様々な分野の困ったことや課題の解決のため、技術・サービス・ノウハウを持つ民間企業に仕事を依頼することで予算が使われるのです。

自治体ビジネスの価格戦略を立てる上で欠かせないこうした予算の情報、以前のコラムで触れましたが自治体のオープンデータの一つ「予算書」に明記され公式ウェブサイトで開示されています。自社の製品やサービスの予算感を把握するためにも、ぜひとも予算書に目を通す習慣をつけたいものです。

知っておきたい自治体予算の3つの決まりごと

さて、こうした使われ方をする自治体予算。民間企業が自治体のパートナーとして仕事をする際に、予算がらみの決まりごとがあるのだとしたら知っておきたいですね。

予算に関するルールや原則などは枚挙に暇がありませんが、ここでは最低限知っておきたい決まりごとを3つほどご紹介しましょう。

① 予算を決める「スケジュールと期限」がある

これは今までのコラムでも何度か触れてきたことですね。自治体の予算は、基本的には前の年度に歳入と歳出の額面がざっくりした内訳も含めて既に決まっています。特に、次年度の予算の額面や使い道を各課で決めなければならない期日は(自治体の人口規模によって若干異なりますが)、毎年9月から10月ごろ。ちょうど今頃の季節です。

ちなみにこの期日を過ぎると、どんなに取り組みたい施策であっても次の年度を待たなければなりません。この9月から10月あたりに自治体から見積もり依頼があったら、ぜひしっかりと対応したいものです。

② 予算には「当初予算」と「補正予算」がある

先ほど触れた期日やスケジュールがある予算は、自治体が毎年繰り返して組む予算です。「次の年度はこうしたことにこれだけ予算が必要だろう」とある程度の見通しを立てて組まれるもので、「当初予算」と呼ばれています。

ところが、当初予算を組んで次の年度になった段階で、想定外の事態に見舞われ、前の年度でそれに使う予算を確保していないケースがしばしば起こります。例えば台風。地域に大きな被害がもたらされ、避難した住民の支援やインフラの復旧などにお金がかかりますが、前の年には台風を想定した予算を確保していません。

こんな時に臨時で組まれるのが「補正予算」。想定していなかった事態に対応するための予算が、3の倍数月に開催される地方議会にかけられ議決を経て、地域のために使われます。
今年度社会を襲った新型コロナウイルス感染対策などは、まさにこれに該当しますね。どの自治体も大きな規模の補正予算が組まれています。

歳出面での当初予算と補正予算の大きな違いの一つに、いつ予算が使われるかという点があります。原則として、当初予算は編成されても使うのは次の年度ですが、補正予算は編成された年度で使われます。この辺りは民間企業にとって受注の時期を左右するポイントですので押さえておきましょう。

ちなみに、新型コロナウイルス感染症対策で組まれている補正予算を多くの企業が追いかけているのは、民間企業にとっては「年度の中で売り上げが上げられる」ことに魅力があるからに他なりません。

③ 予算が確保されても発注先企業が決まったわけではない

いまだにこの辺りのところがまだピンときていない民間企業さんが多いようなので、改めて3つ目としてあげておきます。

例えば自治体に見積もりを提出し、守備よく当初予算の中に自社が提案したソリューションが計上されたとします。
ところが、それはあくまでも予算枠が確保できただけの話であって、自社が発注先として選ばれたわけではありません。

お金の出どころ、すなわち歳入の内訳の大部分が多くの人や企業から預かった税。その大切な税を投じる発注先企業は、原則として公平・公正なプロセスの競い合いで決められます。
この「競い合い」の仕組みが、競争入札や企画競争(プロポーザル)と呼ばれるもの。前の年度で見積もりが採用されて予算が確保できたのなら、入札や企画競争にしっかり取り組んで受注を目指しましょう。

まとめ

ちなみに競争入札やプロポーザルになっても、前年度にその案件の見積もりを出して予算化したものであれば、少なくとも価格面の判断は他社より断然有利です。ということは、前年度に提出した見積もり金額が、次の年度の競い合いの戦いやすさを左右しそうですね。

というわけで、次回は価格戦略の続き。自治体に提出する見積もり金額についてのお話です。どうぞお楽しみに。

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株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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