オープンデータは意外と身近!地方自治体による活用事例
オープンデータとは、行政機関などが開示しているさまざまな情報です。行政の透明性や信頼性の向上、経済の活性化と行政の効率化といった目的があり、官庁と民間企業が協力して国民に役立つ情報を開示してきました。そう聞くと難しい印象があるかもしれませんが、オープンデータは私たちの生活と密接なかかわりがあります。
例えば、地方自治体が行っているオープンデータは、街の防犯情報や防災情報などを知ることができたり、医療機関の情報も得たりすることができます。
今回は福岡市の事例を中心に、地方自治体によるオープンデータの活用事例を詳しく紹介します。
福岡市オープンデータビュー
「福岡市オープンデータビュー」は、公共施設や医療機関、防犯防災などの情報を検索閲覧できるiPhone向けアプリです。これに登録しておけば、福岡市で生活する上で、何かと便利な機能を利用することができます。例えば、医療機関は診療科目をチェックして探すことができるため、受診したい病院をすぐに見つけることができます。
また、福岡市営地下鉄をはじめとした電車の路線情報や運行情報、福岡県警が配信する防犯情報や注意情報などもチェックすることが可能です。検索した施設はブックマークができるため、同じ施設等を検索するのにも便利です。
感染症流行警告アプリ「ワーンニング」
「感染症流行警告アプリ・ワーンニング」は、インフルエンザなどの感染症の流行状況を知ることができるアプリです。保健所が公表している感染症の流行をいち早く知ることができるため、風邪予防などに役立てることができるでしょう。
また、情報を知るだけでなく、「風邪情報を投票する」こともできます。例えば、家族がインフルエンザになったとき、自宅近くの地点を投票することで、他の利用者がどの地点でインフルエンザの患者が出たかを知ることもできます。
利用者が投票し、自治体が保有する感染症データを使うことで、より正確な感染症の情報をいち早く知ることができる便利なアプリです。
オープンデータマップ
「オープンデータマップ」は、位置情報や校区別人口などを、地図上で確認できるサイトです。例えば、福岡市に引っ越す予定があり、子供の小学校を検索するときにオープンデータマップを利用すれば、どこの地域なら何小学校になるのかといった情報を一目で調べることができます。
オープンデータマップは、校区別人口などを色分けして表示する「地図塗り分け」データと、施設等の位置を表示する「位置情報」データの2つを調べることができます。何歳くらいの人口がどこに集中しているのか、そんな情報も一目で見ることができるので、試すだけでも面白いサイトになっています。
福岡県PM2.5・大気汚染速報アトモス
「福岡県PM2.5・大気汚染速報アトモス」は、大気汚染物質の速報値をグラフや表で確認できるアプリです。空気汚染物質の測定値がグラフに表示されて一目で分かり、空気中の大気汚染の状況をリアルタイムで知ることができます。自分が住んでいる地域などを登録しておけば、1タッチでその地域の各測定値が表示されるため非常に便利です。
福岡をはじめとした九州地方は、中国からの黄砂をはじめとしたPM2.5が国内でも多く飛散してしまう地域です。このアプリを利用することで、あらかじめマスクをつけたり外出を控えたりと、大気汚染対策を講じることができます。
ララキャッチ
「ララキャッチ」は福岡市の教育関連のオープンデータを活用している検索サービスです。このアプリに登録することにより、自分が持っている情報を会員に発信できたり、その情報に関心を持った人とメッセージを交換したりできます。例えば、福岡市内にある中学校の評判はどうなのか、そのような疑問を発信すれば、中学校の情報を持った会員が情報を返信してくれることもあるでしょう。
ララキャッチは「教育学習」といった各種情報をリストとマップから検索することができます。福岡市の教育関連のオープンデータが活用されているアプリです。
AEDナビ
「AEDナビ」は、福岡市のAEDオープンデータを使ったナビゲーションシステムです。そもそも、人の命を救うべくいろいろな場所に設置してあるAEDは、オープンデータとして誰でもが自由に検索できるよう、各自治体が情報を無料で発信しています。
AEDナビは各地域に設置してあるAEDの場所を基準とし、福岡市内を分かりやすくナビゲーションしてくれます。徒歩での移動を想定しており、歩行者が安心して通行できるような道案内、横断歩道などを分かりやすく案内してくれます。
まちかど安全ガードけいご君
「まちかど安全ガードけいご君」は、福岡市内の防犯情報をリアルタイムで通知してくれるAndroidアプリです。福岡県警から発信される「ふっけい安心メール」の内容を、リアルタイムで通知してくれます。例えば、「小学校の近くで不審者が出た」「駅周辺に刃物を持った人がいる」といった情報をすぐに通知してくれます。
そのため、子供がいる家庭では学校にお迎えに行ったり、駅周辺では気をつけて行動したりと、情報を知ることであらかじめ防犯対策をすることができます。
また、オレオレ詐欺といった特殊詐欺などの情報も得ることができるので、市内にいるお年寄りに声を掛けたり、怪しい人に対して声を掛けたりと、市民の防犯意識を高めることにもつながります。
※サービス終了してます
オープンデータ・アプリコンテスト
東京都では2017年にオープンデータを活用した、「オープンデータ・アプリコンテスト」が開催されました。これはオープンデータの存在を、より多くの人に知ってもらうこと、オープンデータをこれからますます普及展開させよう、といった狙いがあります。
このコンテストの募集テーマは「子育て」「障がい者福祉」「観光」の3つに分けられ、例えば、子育ては「子育て家族がベビーカーで気軽に移動できるようにする」といったテーマが出されています。個人やグループなどの枠を超え、誰でも何点でも応募できるコンテストです。これにより多数の応募があり、個人や団体から多くのオープンデータを使ったアイデアが集まりました。審査の結果は2018年に発表される予定です。
東京都オープンデータアイデアソンキャラバン
また、オープンデータ活用を推進するイベントとして2017年に「東京都オープンデータアイデアソンキャラバン」を開催しました。これは、特別区、多摩地域、島しょ地域の都内各地域を巡行して行われたものです。
内容としては、テーマに関心のある人が自由に参加でき、各6名ほどのグループに分かれてディスカッションを中心とした活動をします。有識者からの情報提供、インターネットからの情報などを踏まえ、オープンデータを活用した課題解決のためのアイデアを話し合いました。一例として、日野市では「認知症の方の外出支援」といったテーマがありました。話し合いの末「買い物サポートアプリを制作し、認知症の人とサポーターのマッチングをはかる」といったアイデアが出されました。
こうしたイベントによりオープンデータに興味を持つ人が増え、生活に役立てていこうという意識が出始めています。
まとめ
いかがでしたか?
まだまだ活用が期待されているオープンデータ。
行政だけでなく、企業や市民を巻き込んだ動きに注目です。