STOP地域消滅!約1000人の集落で住民が社員の株式会社を設立(広報やすぎ どげなかね 平成29年11月号)
日本全国共通の課題「少子高齢化」。特に地方に行けば行くほど問題は深刻です。
もちろん国は補助金などの制度で地域をサポートしていますし、各地域では行政を中心にさまざまな取り組みを行っています。また、住民がボランティア活動を頑張っている地域もあります。今回ご紹介する安来市も同じように熱心な取り組みを行う地域ですが、実は他とは違うユニークな方法で活動を行っています。
さっそく「広報やすぎ どげなかね」の特集記事を見てみましょう。
えーひだカンパニー株式会社設立
安来市の最南端にある比田地区は、人口1084人の小さな集落。ただ、高齢化率は市内最高の48.7%で、このままでは25年後に人口が500人を割り込むと予測されています。
この「地域消滅」の危機をなんとかしようと、地域では「いきいき比田の里活性化プロジェクト」を立ち上げ、88個のアイデアからなる比田の地域ビジョンを策定しました。
と、ここまではよくある話。ふつう、ここから先は「国の補助金で」とか「地域のボランティアを募って」という流れになるのですが、比田の場合は違います。なんと地域住民が社員となって株式会社を設立、補助金やボランティア精神に頼らず「利益を生み出す事業」として地域ビジョンを実行することにしたのです。ちなみに会社の名前は「えーひだカンパニー株式会社」。10年後も「えー日だ」と話せる地域づくりを目指しています。
「一般的な株式会社は株主利益を最優先しますが、私たちは比田住民の幸せ追求のために事業を実施します」という言葉の通り普通の株式会社とは違った目的のもと、地域づくりを行政任せにしない「自治機能」、自治機能のために自分たちで必要な財源を生み出す「生産機能」を持った活動は、いままでの一般的な地域おこし活動とは全く違う、興味深い活動といえるでしょう。
4つの事業
えーひだカンパニー株式会社では、4つの事業を柱にさまざまな活動を展開しています。
1.産業振興
地域ブランド米「比田米」の生産・販売、JAからの各種農作業受託、ドローンを使った病害虫防除作業などを行います。農産物による加工品開発も、カンパニーの事業です。
2.生活環境
道が狭くバスの乗り入れが難しい地区内で住民の足を確保するため、来年の3月から市のデマンド交通社会実験を行う予定です。また行政のハザードマップに情報を加えた比田版ハザードマップの制作をはじめ、将来的には災害時の見守りネットワークの構築や、塾のない地域の子どもたち向けに寺子屋の開設も検討しています。
3.地域魅力アップ
地域の伝統行事の継承や、地域を盛り上げる新しいイベントの企画も行います。今年の夏は「夏いちごまつり」や、「えーひだ見つけ隊」という交流イベントを企画しました。
4.定住推進
比田版定住パンフレットの作成をはじめ、UIターンフェアへの参加や地域内外の職業提供、空き家の情報提供なども行っていく予定です。現時点でも、縁結びイベントや「女子会」の発足、出産祝いの提供など、幅広い取り組みを進めています。
自立した地域づくりで未来を見据える
比田地区の取り組み、いかがでしたか。
特に、行政にも住民のボランティア精神にも頼らず、自分たちの手で「持続可能な組織」を作ろうとする姿勢が印象的です。もちろんすべての地域で同じ取り組みができるわけではありませんが、自分たちの暮らしは自分たちで守る、という意識の部分はどの地域でも見習えると思います。
まずは自分たちの地域に関心を持つこと。地域の未来は、一人ひとりのそんな心がけから始まるのかもしれませんね。
「広報やすぎ どげなかね」平成29年11月号
http://machiiro.town/p/27308#page/4
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