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  1. 国の動向やトレンド予測!【令和4年度予算】

国の動向やトレンド予測!【令和4年度予算】

営業において、相手のことをよく理解しておくことは、営業の基本です。もちろん自治体営業においても、提案先の国や自治体の動向やトレンドを把握しておくことは非常に重要です。

でも、どうやって国や自治体の動きを把握すればいいのか。

日々のニュースリリースを確認する、国の中央省庁が出している「白書」を読むなど、様々の方法があります。
数ある方法の中でも、「いつ」「何を」「どのような形で」お金を使おうとしているのか「予算」を把握することで、お金の流れから国や自治体の動向やトレンドを掴むことができます。

そこで今回は、中央省庁の令和4年度予算案を基に、国の動きを予想してみました。

令和4年度予算案の概要

令和4年度予算は、令和3年度補正予算と⼀体として、新型コロナ対策に万全を期しつつ、「成⻑と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算となっています。

令和3年度と同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、医療提供体制の確保、ワクチン接種体制の整備、治療薬の確保等を措置するとともに、変異株による感染拡⼤等、予期せぬ状況変化に備え、コロナ予備費5兆円を措置しています。
また、「科学技術⽴国」の観点から、デジタル、グリーン、量⼦、AI、宇宙、次世代半導体等の研究開発の推進や「デジタル⽥園都市国家構想」の実現に向け、⾃治体の創意によるデジタル技術の実装等を幅広く⽀援し、デジタル推進委員を全国に展開などの成長戦略に新しく予算が追加されています。

令和3年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止や新型コロナウイルスよる経済の影響に対する施策をやりつつ、デジタル庁による「デジタル⽥園都市国家構想」に向けた動きが各府省庁で進められていくのではないかと読み取れます。

分野別の予算ポイント

各分野の予算の特徴をグラフに簡単にまとめました。
自社サービスに関わりのある分野の動きを捉えることでより詳しく国の動向やトレンドの把握ができます。

 
社会保障・後期⾼齢者医療の患者負担割合の⾒直し・被⽤者保険の適⽤拡⼤等を実施予定
・看護の処遇改善や不妊治療の保険適⽤、介護・障害福祉、保育等の処遇改善などの
 診療報酬改定
科学技術・教育・デジタル・グリーン・量⼦・AI・宇 宙・次世代半導体等の研究開発の推進
・⼩学校⾼学年の「教科担任制」の推進や外部⼈材の活⽤による環境整備
デジタル・地⽅創⽣
(デジタル⽥園都市国家構想)
 ・デジタル社会形成の司令塔機能の強化
・地方創成推進交付金やデジタル⽥園都市国家構想推進交付⾦等によるるデジタル技術
 の実装・地域の課題解決⽀援
経済安全保障・量⼦暗号通信の研究開発、重要技術の管理体制、サイバーセキュリティ対策を強化
公共事業・公共事業関係費の安定的確保
・ドローン点検等を活⽤した⽼朽化対策や⼟地利⽤規 制・避難計画等のソフト対策を
 強化した治⽔・地震対策など、防災・減災、国⼟強靱化への推進
農林⽔産・農林⽔産物・⾷品の輸出5兆円⽬標の実現に向けた総合的な支援
エネルギー・環境・太陽光、洋上⾵⼒、地熱等の再⽣可能エネルギーの導⼊、クリー ンエネルギー⾃動⾞
 の導⼊や、⽔素、アンモニア等の実⽤化・普及に向けた研究開発
・脱炭素に意 欲的に取り組む⾃治体を継続的・包括的に⽀援するための交付⾦の創設
外交・防衛・戦略的外交を推進するための外交・領事実施体制や対外発信の強化
・ミサイル防衛や南⻄地域の島嶼部の防衛のほか、宇宙・サイバー・電磁波といった
 新領域の能⼒強化
復興・被災地のニーズに応じた復興・再⽣の取り組み推進
地⽅財政・地⽅団体に交付される地⽅交付税交付⾦は18.1兆円(昨年度対比+0.6兆円)

 (参考)財務省「令和4年度予算のポイント

各分野の特徴を捉えることで、どの分野が何に注力するのか(≒何にお金が動くのか)を予想することができます。特に、これから営業をかけるであろう地方自治体への交付金や具体的な施策を掲げている分野については、国の予算に沿って、地方自治体も予算設計を行うケースも多いため、自社サービスに関連している場合は、最新情報をチェックしていると、ニーズの高まりをいち早くキャッチすることができるので要チェックです。

しかし、分野の特徴だけだと国のおおまかな動きだけの把握となり、どこにアンテナを立てればいいのか、難しいのではないでしょうか。

そこで、官民連携で代表的な各府省庁の令和4年度予算案をピックアップして、より細かく見ていきます。

各府省庁別に予算案をピックアップ!

各府省庁の予算案を確認したい場合は、各府省庁の公式ホームページにて公開しています。
今回は、一部抜粋している内容になりますので、詳細は各ホームページよりご確認ください。

文部科学省

令和4年度の文部科学省予算案にて、一般会計予算額が52,818億円(昨年度対比で0.3%減)です。
文部科学省の予算ポイントは「GIGAスクール関連・ポストコロナ」です。

運営支援・指導力向上支援等 14億円(補正予算:136億円)計上しています。中でも、GIGAスクール運営支援センター設備費用に10億円を計上し、”「人」中心の支援を、民間事業者を活用して学校のICT運用を広域的に支援する 「組織」中心の支援体制へと発展・充実させ、より安定的な支援基盤を構築する必要がある。 ”と民間との連携を唱っていたり、GIGAスクールにおける学びの充実に4億円計上し、メインをICT活用ノウハウ・能力の育成としているため、GIGAスクール構想が準備から実行に移っている傾向にあります。
また、 学習者用デジタル教科書に23億円(補正予算:65億円) 計上しており、学習者用デジタル教科書普及促進事業も開始される予定です。

他にも、CBTシステム「MEXCBT:メクビット」の拡充・活用推進に5億円(補正予算:5億円) 計上。令和3年度に希望する全国の小・中・高等学校において活用を開始する予定なので、GIGAスクール関連でサービスを展開している企業は「MEXCBT:メクビット」の動きは昨年度に引き続き把握しておきたい部分です。

デジタル庁

令和4年度のデジタル庁予算概算請求額は、5,426億円です。
デジタル庁の予算のポイントは「デジタル⽥園都市国家構想の推進」です。

昨年9月1日に開設された部署ということもあり、予算請求額の97.8%にあたる5,303億円が情報システムの整備・運用に充てられています。ただし、各府省のシステムのため、地方自治体のシステム整備・運用費ではありません。しかし、各府省の情報システムが地方自治体へ展開いく可能性は高く、動きは把握しておくと良いでしょう。

他には、マイナンバー制度の推進等に係る経費に10.7億円計上されています。すでに導入されているサービスを推進していくためには、地方自治体に動きが見られることは予想できます。

国土交通省

令和4年度の国土交通省予算案にて、一般会計予算額が6兆9,439億円(昨年度対比で18%増)です。
国土交通省の予算案のポイントは「災害対策・災害情報×ICT」と「交通機関×ICT」です。

まず「災害対策・災害情報×ICT」についてですが、地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援 (防災・安全交付金) 8,156億円(補正予算:3,773億円) 計上しています。地方公共団体等の取組を集中的に支援のため、危険区域の認知向上・防災拠点や避難所の確保と整備を例に挙げており、民間サービスが入り込むことができるのではないでしょうか。

もう1つの「交通機関×ICT」について、自動車の電動化等の促進に4億円(補正予算:10億円) 計上し、地域交通のグリーン化に資する次世代自動車の本格普及に向けた集中的導入支援の実施 の他、AIを活用したリアルタイムタイムな最適配車が可能な「AIオンデマンド交通」やバス運行に関するリアルタイムな情報提供など、危機に瀕する地域公共交通の確保・維持と新技術の活用等による地域のくらしや移動ニーズに応じた交通サービスの活性化に208億円(補正予算:285億円)計上しています。

経済産業省

令和4年度の経済産業省の予算請求額は1兆2,257億円(昨年度対比2.2%減)です。
経済産業省の予算のポイントは「グリーン成長の加速のための補助金」です。

新型コロナウイルス拡大により、経済回復のために予算の大半が請求されています。新しい施策や事業にお金を動かすことは難しいです。そのような中でも、未来に向けて、予算を計上していたのが「グリーン成長の加速のための補助金」です。クリーンエネルギー自動車・インフラ(※充電設備や水素ステーション等、クリーンエネルギー自動車の普及に必要不可欠な設備)導入促進補助金に375億円計上。他にも、クリーンエネルギー自動車導入促進等補助金に155億円、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金に125億円と、このあたりの補助金の動きを把握しておくと良いでしょう。

環境省

令和4年度の環境省の予算請求額は、3,161億円(昨年度対比3%増)です。
環境省の予算のポイントは「脱炭素先行地域等への交付金」です。

かなりシンプルですが、環境省は新しい重点施策として、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」に200億円計上しています。この新しい事業は、脱炭素先行地域等に取り組む地方公共団体等を継続的に支援する交付金となります。募集要項次第では、自治体との官民連携で交付金を狙える可能性もあります。

さいごに

いかがだったでしょうか。
これは予算案から推測した国の動きにすぎません。ただ、やみくもに営業するより、ある程度の情報を掴んだ上で営業することは、自治体営業を成功させるカギです。

今回は、令和4年度の予算案を見ていきましたが、他にも、ニュースリリースや「白書」など、情報を掴む方法は沢山あります。日頃から国や地方自治体からの発信にアンテナを立てて、営業に活用していきましょう。

なお、弊社では自治体営業ノウハウや自治体の類似事例など、自治体営業に関する情報をメルマガにて配信しています。ぜひご活用ください。

この記事を書いた人
株式会社ジチタイワークス 中山 有希
2017年、新卒として株式会社ホープへ入社。広告事業にて自治体営業を担当し、プロポーサルによる企画・提案、入札を約4年間経験。2021年より、ジチタイワークス事業のマーケティングを担当している。

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