第2世代交付金とは? 事業者が知るべき「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の仕組み・補助率・事例を解説

「第2世代交付金」は、自治体の自由度が最も高い「新しい地方経済・生活環境創生交付金」で、ソフト・拠点整備・インフラの3分野を原則、国が1/2補助で支援する制度です。公募はこれまで年2回行われており(令和7年は1月と6月)、自治体が申請主体ですが、実質的には事業者の提案や協働が不可欠です。
事業者にとって、この交付金は「自治体との連携」を通じて自社の技術やサービスを地域課題の解決に活かし、持続的な連携や導入につながる重要な機会となります。
1. 第2世代交付金とは?制度概要と新しい地方経済・生活環境創生交付金の位置づけ

第2世代交付金(新しい地方経済・生活環境創生交付金)は、政府が「地方創生2.0」を推進するため、令和7年度から本格的に開始した大型の地方創生支援制度です。
平成26年、安倍晋三内閣の下で「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、「地方創生」がスタートしました。しかし依然として東京への人口集中や地方の人口減少といった課題に直面しています。
こうした状況を受け、令和6年10月に発足した石破茂内閣は、「地方創生2.0」を掲げました。第2世代交付金は、従来の「デジタル田園都市国家構想交付金」などを発展的に引き継ぐものであり、地方自治体が自らの発想に基づいて行う地域づくりを国が強力に支援することを目的としています。
地方創生2.0の政策全体像について詳細は下記コラム参照
2. 第2世代交付金の仕組みと特徴

ここでは、交付金全体の体系や、他の制度と何が違うのか、その基本的な仕組みと特徴について解説します。
2-1. 第2世代交付金の位置づけ
この交付金は平成26年から続く「地方創生」政策の新たな段階として創設され、「地方創生2.0」の中核をなす柱として位置づけられています。
主な狙いは人口減少や東京一極集中の流れを是正するため、各地域が自らの強みや特色を活かし、持続可能な発展を遂げることを促す点にあります。
2-2. 他の新地方創生交付金(デジタル実装型など)との違い
「地方創生2.0」で新設・再編された新しい地方経済・生活環境創生交付金は、主に次の4つの類型(第2世代交付金、デジタル実装型、地域防災緊急整備型、地域産業構造転換インフラ整備型)に分かれており、それぞれ目的や内容が異なります。

他の交付金が特定の目的(デジタル・防災・新産業)に特化しているのに対し、第2世代交付金は「地域総合型」であり、自治体の裁量が大きく、地域づくり全般を対象にできる自由度の高さが大きな特徴です。
3. 第2世代交付金の対象となる3つの分野

自治体が第2世代交付金を活用して実施する事業は、大きく3つの分野に分けられます。
3-1. 地域課題解決のための「ソフト事業」
事業を推進するための体制組成や構想・計画立案にかかる経費、外部人材の招聘や人材確保に関する経費が対象となります。また、事業の試行・実証にかかる経費や、広報・PR、プロモーション経費、市場調査経費なども含まれます。ソフト事業に直接関連する施設整備や事業設備・備品の経費も、事業期間中のソフト事業経費の5割以内であれば計上することが可能です。
3-2. 地域経済を支える「地域拠点整備事業」
建築物の新築、増築、模様替え、改築といった整備が対象です。また、その建築物と不可分となっている機能を有する設備や、その他の設備整備・備品、用地造成、外構工事、既存施設の除却・解体なども含まれます。加えて、整備する施設に関連したソフト事業も対象となります。
3-3. 生活基盤となる「インフラ整備事業」
従来の地方創生整備推進交付金の対象に限定されることなく、より幅広いインフラ整備が対象とされています。
これら3つの事業は、従来個別に申請が必要だった複数の地方創生交付金(推進タイプ・拠点整備タイプ・整備推進交付金)を統合したものです。これにより、人材育成(ソフト)と拠点整備(ハード)を一体的に計画・実施できるようになり、より効果的な事業展開が可能になった点が、第2世代交付金の特徴です。
参照:新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金) 制度概要
4. 事業者が押さえるべき第2世代交付金の補助率・予算規模の目安

第2世代交付金において事業者が押さえるべき補助率・予算規模の目安は、事業タイプによって異なります。
4-1.事業タイプ別の補助率・予算上限
交付金の補助率、事業期間、および自治体が国から受け取れる交付金の上限(国費)は、以下の表の通りです。
あなた:
| 事業タイプ | 補助率 | 事業期間(原則) | 交付上限額 (1自治体当たりの国費) |
| ソフト事業 | 1/2 | 3か年度以内 | <年度上限> ・都道府県/中枢中核市:15億円/年 ・市区町村:10億円/年 |
| 拠点整備事業 | 1/2 | 3か年度以内 | <年度上限> ・都道府県/中枢中核市:15億円/年 ・市区町村:10億円/年 |
| インフラ整備事業 | 1/2等 (各省庁の要綱に従う) | 5か年度以内 | <計画期間中の総国費> ・都道府県:50億円(単年度目安10億円) ・中枢中核市:20億円(単年度目安4億円) ・市区町村:10億円(単年度目安2億円) |
事業者から見た「総事業費」の規模感
事業者にとって重要なのは、上記の「交付上限額」は国が補助する金額(国費)であり、補助率が1/2であるため、実際の「総事業費」はその2倍の規模になるという点です。
- ソフト事業・拠点整備事業の場合
予算は「年度ごと」の上限額で設定されています。例えば一般市区町村では、「年度上限」で国費10億円が交付されます。これは、自治体が年間最大20億円規模(国費10億+自治体負担10億)の事業を発注できることを意味します。原則3年間の計画であれば、総額60億円規模のプロジェクトになり得ます。 - インフラ整備事業の場合
「計画期間全体」での上限が設定されています。例えば一般市区町村では総国費が10億円です。これは、原則5年間の計画を通じて、総事業費20億円規模(国費10億+自治体負担10億)のプロジェクトが上限の目安となります。
5. 第2世代交付金に採択されやすい事業の「3つの傾向」と過去事例

自治体が国に交付金を申請し、予算がつくケースには、一定の傾向があります。事業者はこの傾向を理解し、自治体に提案する企画に盛り込むことが採択への近道となります。
5-1. 第2世代交付金に採択されやすい事業の「3つの傾向」
近年の採択結果や内閣府の分析から、採択されやすい事業には大きく3つの明確な傾向があります。
傾向1:国の重点分野との連動性
採択される事業は、国が示す大きな方針や重点テーマと連動している必要があります。特に「移動(MaaS)」「脱炭素(グリーントランスフォーメーション)」「関係人口創出」といった、現在の日本が直面する課題解決に資するテーマは高く評価されます。防災、モビリティ、観光、福祉といった個別の分野を、これらの大きなテーマに結びつけて提案することが重要です。
傾向2:「地域課題の解決」+「持続的な経済効果」の両立
単に社会的な課題(例:高齢者の移動手段確保)を解決するだけでなく、それが将来的に地域の経済を回す仕組み(例:観光客の周遊促進にもつながり収益が生まれる)につながる設計が求められます。短期的な成果ではなく、人口減少下でも継続的に地域経済が循環するような「持続可能性」や「自走可能性」が採択の鍵となります。
傾向3:自治体内・他地域との「横断的連携」
事業の実施主体が自治体単独ではなく、地域の多様な関係者と連携していることが重視されます。産官学金労言(産業界・行政・大学・金融機関・労働団体・メディア)といった自治体内の横断的な連携はもちろん、地域外の企業や大学など「他地域」の主体を巻き込んだ共創体制が、事業の実現性や発展性を高める評価につながります。
5-2. 第2世代交付金の過去採択事例紹介
採択事例(1)長野県伊那市:「森といきる 伊那市」地域ブランド推進事業
長野県伊那市は、令和5年度から3か年の「地域ブランド推進事業」を進めています。この事業は、伊那市独自のアイデンティティを明確にし、地域の魅力や暮らしの豊かさを市内外に発信・活用することを目指すものです。
この事業は、行政だけでなく多様な事業者が参画する「共創型」で推進されている点が特徴です。受託事業者であるユイット株式会社のほか、ブランディングアドバイザー、森林ディレクター、アートディレクター、組織開発コーチなど、市内外の専門的な「地域人材」が連携し、事業を推進しています。
※本事例は、令和5年度に旧制度である「デジタル田園都市国家構想交付金」により採択された事業で、制度移行に伴い第2世代交付金の事例として紹介されています。
採択事例(2)富山県朝日町:「まちづくり会社を中核とした官・民・地域共創型『たのしい未来』づくり事業」
富山県朝日町は、株式会社博報堂と連携し、第2世代交付金を活用した「まちづくり会社を中核とした官・民・地域共創型『たのしい未来』づくり事業」を開始しました。この事業は、朝日町がこれまで博報堂と取り組んできた公共ライドシェアサービス「ノッカルあさひまち」や、マイナンバーカードを活用した「LoCoPiあさひまち」といった公共DXサービスをさらに発展させるものです。
具体的には、「LoCoPi」システムを拡張し、地域通貨「あさひまちコイン」による域内消費の創出や、災害時に避難者管理が可能な「防災機能」を実装しました。さらに、観光客向けLINEミニアプリ「ファンる〜ぷ あさひまち」を導入し、観光DXと公共DXを融合させ、分野横断的なサービスで地域全体の活性化を図っています。
採択事例(3)岡山県奈義町:地域住民が主役の暮らしやすく、永続できるまちづくり
岡山県奈義町は、「SDGs×奈義町版全世代全員活躍のまち=持続可能な永続できるまち事業」として第2世代交付金を活用しています。この事業は「地域住民が主役」をスローガンに掲げ、住民自らが事業の担い手となることで、世代を超えた助け合いと「全員活躍」の実現を目指すものです。
具体的な取り組みとして、保健師や助産師らが専門職として継続的にサポートする「奈義町版ネウボラ」(地域ぐるみの子育て支援)があり、これが高い合計特殊出生率(令和3年-令和5年平均2.25)にも寄与しています。特定の民間企業が主導するのではなく、住民参加型の運営体制が特徴です。
※本事例は、令和5年度に旧制度である「デジタル田園都市国家構想交付金」により採択された事業で、制度移行に伴い第2世代交付金の事例として紹介されています。
参照:交付対象事業の概要
6. よくある質問(Q&A)

ここでは、第2世代交付金に関して、事業者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 第2世代交付金の公募はいつから実施されますか?
A.第2世代交付金の公募(募集)は、年2回(上期・下期)のスケジュールで実施されています。
令和7年度の募集スケジュールは以下の通りでした。
第1回募集(前期)
事前相談期間:令和6年12月末〜令和7年1月上旬
申請期間:令和7年1月27日(月)〜1月29日(水)
交付決定:令和7年3月下旬
参照:新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)を活用する事業に係る地域再生計画の認定申請受付について(第73回地域再生計画認定申請受付)
第2回募集(後期)
事務連絡(公募開始):令和7年5月中旬頃
申請期間:令和7年6月17日(火)〜6月18日(水)
交付決定:令和7年8月〜9月頃
参照:新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)を活用する事業に係る地域再生計画の認定申請受付について(第74回地域再生計画認定申請受付)
今後も(令和8年度)以降、毎年度2回実施の原則が維持される見込みとされています。
Q. 事業者が直接、第2世代交付金を申請できますか?
A.いいえ、民間事業者が直接、国に申請することはできません。
第2世代交付金(新しい地方経済・生活環境創生交付金)は、地方公共団体(都道府県・市区町村)を対象とした制度です。国への申請主体は、あくまで自治体に限定されています。民間企業やNPOなどの団体は、自治体と連携し、事業の「実施パートナー」として参加することで、この交付対象事業に関与することが可能です。
Q. どんな業種でも対象になりますか?
A.はい、特定の業種に限定されないのが大きな特徴です。
制度の趣旨が「地域課題の解決」と「地域経済・生活環境の向上」にあるため、地域に貢献する事業であれば、ほぼ全ての業種が対象となりえます。実際の採択事例を見ても、製造業、観光業、教育、建設業、福祉、IT・システム開発など、非常に多分野の企業が参画しています。
Q. 自治体への提案や営業は、いつ行うのが効果的ですか?
A.最も効果的なのは、自治体が国へ計画を申請する「前」の段階です。
国の募集(例:1月申請)に向けて、多くの自治体はその前年秋頃から計画の策定準備に入ります。この段階で自社のソリューションを提案できれば、計画そのものに組み込んでもらえる可能性があります。もちろん、国の交付決定後(例:3月下旬や8月頃)に、自治体が事業者を選定するための公募(プロポーザル方式など)を実施するケースも多いため、自治体の入札・公募情報をこまめにチェックすることも重要です。
Q. 採択された自治体や事業の一覧はどこで見られますか?
A.内閣府の地方創生推進事務局の公式ウェブサイトで、交付決定の都度、採択団体と事業概要一覧が公表されます。
どのような事業が採択されているか、過去の事例をリサーチすることで、国が重視するテーマや傾向を具体的に掴むことができます。
Q. 自社はA市にありますが、B市の事業にも参加できますか?
A.参加可能です。第2世代交付金は、地域内の連携だけでなく、知見や技術を持つ地域外の企業や大学との連携(広域連携)も推奨されています。「採択されやすい3つの傾向」で触れたように、多様な主体との連携は評価ポイントにもなりますので、自社の強みがその自治体の課題解決に合致すれば、所在地に関わらず積極的に提案する価値があります。
7. まとめ

第2世代交付金は、自治体が地域課題の解決を前に進めるための大きな後押しになります。
事業者にとっては、自治体と一緒に現場での実装まで進めながら、地域に役立つ取り組みを着実に広げていける機会です。この機会を活かすために重要なことは、「待ち」の姿勢ではなく「提案」の姿勢です。自治体からの公募を待つだけでなく、自社の強みや技術を整理し、「当社のこの技術(サービス)を使えば、〇〇市のこの課題を解決できます」と具体的に提案することが、官民連携による地方経済の活性化に向けた第一歩となります。
まずは、連携したい自治体の総合計画や、公表されている地域の課題をリサーチすることから始めてみてはいかがでしょうか。
株式会社ジチタイワークスでは、これまで培ってきた自治体ノウハウ・ネットワークのもと、自治体向けプロモーションサービスをご提供しています。自社に合う自治体へのアプローチ方法がわからない、自治体営業をしているが思うように上手くいかないなど、自治体営業にお困り事がありましたら、いつでもご連絡ください。
この記事を書いた人:自治体クリップ編集部
ジチタイワークスが運営する企業向けメディア『自治体クリップ』の編集部です。予算制度や提案の進め方など、企業が自治体と連携するうえで役に立つ情報を分かりやすくお届けします。
