ジチタイワークス「ふるさと納税特集号」
発刊によせて
平成20(2008)年に始まった「ふるさと納税」。全国に浸透しながら参加自治体や寄附者を増やし続けたこの制度は、平成29(2017)年度の時点で寄附額3600億円を超える規模にまで拡大しています。
しかし、いつしか人々の視線は目先のメリットに向けられるようになり、「地方を応援する気持ちを寄附で示す」という本来の姿は見失われ、返礼品の豪華さを競い合う場のようになってしまいました。
そんな中、平成31(2019)年6月から法改正による新ルールの適用が開始。返礼品に対し「還元率は30%以下」、「地場産品に限る」という規制のもと、「ようやく空しい競争にブレーキがかかる」という安堵の声が飛び交っています。それと同時に、自治体ではどのように対応していけば良いのか、といった不安も多く聞かれます。返礼品を提供してきた事業者も同様です。
本誌では、そういった自治体の方々のお役に立つことができればという思いで、専門家の見解も交えながら、自治体の成功事例や事業者との連携方法、それに寄り添った民間企業のプロモーションなど、いくつかの実例をとりあげ、現場のコメントも交えながら紹介しています。
この一連の取材を通して、ふるさと納税が誕生した経緯や、制度が迷走するに至った原因、それを修正しようとする人々の努力など、様々な背景が見えてきました。そして、取材に関わってくださった方々全てが、今後のふるさと納税に対して大きな期待を抱き、同じ未来を見ていることも分かりました。
誌面では、できるだけ実務での即時活用ができるようにと、特異な事例などは避け、どんな地域や自治体にも当てはまるようなものをピックアップしています。今回、取材に応えていただいた各方面の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。掲載された専門家の方々の研究結果や、各自治体での取り組み、企業からの提案などを通して、一つでも多くの「ヒントとアイデア」が全国で活かされていくことを願ってやみません。