リーダーシップには発信力も必要。Twitterで注目の市長・知事まとめ5選
日本の国会では、国民に選出された議員により国の代表となる首相が選ばれますが、地方の自治体では二元代表制という制度がとられています。二元代表制とは首長と議会議員のそれぞれを住民が選ぶ方法です。
有権者から間接的に選ばれる首相に対して、直接有権者に選出された首長には行政機関を動かすことができる強い権限があります。そのため、住民にダイレクトな影響を与える可能性もある首長がどのような考えや方針をもっているかは、住民にとっても自治体職員にとっても重要です。
そこで、斬新な政策で積極的に動いている5人の首長を紹介します。
行政のトップは権限も責任も大きい!首長は住民の代表
選挙によって住民に直接選ばれる首長は、まさに住民の代表。地方自治体は、首長と、同じく住民により選ばれ住民代表である議会の2つの代表により構成されています。首長と議会はそれぞれに役割を持ち、力関係では対等な立場を維持していることが基本となります。
首長は予算案を提出する権利や執行権などを持ち、議会は議決権を有しチェック機関としての役割を持っています。役割としては異なる立場である2つの代表がそれぞれの意見をときに対立させ、住民にとって良い方向を模索し進めていくことがより良い街づくりには大切となるのです。
また、首長は住民の代表として、常に街の声に耳を傾け情報を収集する必要もあります。そして、同時に住民に対して情報を開示することも重要です。提示する施策などを住民に理解してもらうためには情報を正しくわかりやすく伝えることは必須となります。
現代ではネットなどのツールがあるため、上手に活用して情報を発信することも首長にとって大切な手腕とされているのです。
SNSの発信力に定評!福岡市・高島市長
出典:福岡市 市長のオフィス http://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/mayor/index.html
SNSを利用した情報発信力に定評のある市長が福岡市の高島市長です。以前は福岡市のテレビ局で13年間アナウンサーをしていましたが、2010年の市長選で現職市長に大差を付けて初当選し、福岡市長に就任しました。就任時の年齢は福岡市長として史上最年少である36歳です。
当選後は、市長選で掲げた「発信力で福岡市を変える」という公約を実行に移すべく情報発信に力を入れて注目を集めています。高島市長がまず行ったのが、市長室に直轄した広報戦略室の新設です。さらに、「福岡チャンネル」という動画サイトを開設し、定例記者会見や市政情報を発信しています。
加えて、ツイッターやブログといったSNSを通して市内のさまざまな問題について市民に議論を呼びかけ、積極的に住民とのつながりを持つように努めているのです。かつて、大きな事故が起きた際にはSNSを活用し、事故情報をリアルタイムで発信しました。
そのほかにも、2012年にはスタートアップ都市・福岡宣言を行うなど先進的な取り組みでも存在感を発揮しています。首都であるワシントンから遠く人口も少ない街でありながら世界的な成長企業が多く生まれているアメリカ・シアトルを目指した福岡の街づくりにも取り組んでいるのです。
そして、2014年にはスタートアップ特区を獲得し、市を開業率日本一へ導いたり、市税収を過去最高額にしたりするなど、着実に結果も出し高い評価を得ています。
自らも3分の1以下に!革新的な給与削減を行った名古屋市の河村市長
出典:名古屋市 市長の部屋 http://www.city.nagoya.jp/mayor/category/318-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
日本の議員が受け取っている給与は世界的に見ても高額といわれています。そのような中、大きな給与削減を行い、注目を集めた首長が名古屋市の河村市長です。
1993年から衆議院議員として活動していましたが、首長を目指し2009年に議員を辞職しました。そして、政治家の家族がいるわけでもなく、官僚出身でもない立場から「庶民改革」を掲げ、同年2009年に過半数の得票率を得て名古屋市長として初当選したのです。
議員が自らの身分や生活を守ることを優先とし、政治家が稼業となることを危惧した河村市長は、市長となった自らの給与の減額に着手します。今までの名古屋市長が受け取っていた2750万円の給与を800万円に減らし、1期で4220万円ついていた退職金をゼロにしたのです。
さらに、名古屋市議の給料も半分に減額するなど革新的な改革を実行しました。河村市長が給与削減とともに力を入れている政策が減税です。「すべて行政改革により起債によらず市民税10%減税を」と掲げたマニフェストも2018年の時点で5%の減税まで達成しています。
そのほか、2009年の初当選時に出したマニフェストは7割まで実行に移すなどの実行力とツイッターなどでの発信力がある首長として住民から高い評価を得ている市長です。
当選時最年少市長!画期的な施策に取り組む若き首長は千葉市の熊谷市長
出典:熊谷俊人公式Webサイト https://www.kumagai-chiba.jp/
全国最年少市長として31歳で千葉市長選に当選した首長が熊谷市長です。2001年に大学を卒業後、NTTコミュニケーションズに就職するも、その後2007年に千葉市議選に出馬します。そして、前千葉市長が収賄容疑で逮捕され辞任した2009年に市長選に出馬し当選したことで市長になりました。
市長への就任後は保育所の待機児童数を10分の1以下へと大幅に減らしたり、24時間訪問介護サービスを開始したりするなど新たな改革を積極的に行い、成果をあげています。しかし、新しいことを始める際には、少なからず反論する声はあるものです。そのため、市民への理解を深めるための対策も欠かしていません。
包み隠さず情報公開を行うことに努め、市民とのつながりを持つために積極的なSNSの活用も行っているのです。中でも、SNSによる市民と市長の交流会は新しい取り組みとして注目されています。Twitter上で夜の9時から90分間、市長が直接市民と意見交換を行う時間を設けるというものです。
また、経済・産業に関する施策にも尽力し、600億円ほどの市の借金を返済させるなど、財政再建に貢献したことも高い評価を得ています。さらに、人事では観光担当課長を民間から登用し、外国人宿泊者数を就任前の3倍以上にする成果も挙げているのです。
ほかにも、新商品を市役所が優先的に発注して市内企業の販売実績を作るトライアル発注制度の創設など次々と画期的な施策に取り組んでいます。
現職知事では最年少!革新的な視点で注目を集める三重県・鈴木知事
出典:三重県 知事のページ http://www.pref.mie.lg.jp/CHIJI/index.htm
現職知事では最年少となる三重県の鈴木知事は、自ら育休を取得するなど革新的な視点を持つ首長として期待されています。もともと、鈴木知事は現在の経済産業省にあたる通商産業省で官僚として約10年間勤めていました。しかし、2011年、三重県知事選に出馬し知事に就任します。
鈴木知事の妻は元シンクロナイズドスイミング五輪メダリストの武田美保さんです。結婚後もシンクロの解説をはじめ、さまざまな活動を行っています。このため、共働きする夫として長男が誕生した2012年には3.5日間の育児休暇を取得しました。そして、職員や住民への育休促進のため、その様子を公開します。
さらに、2016年にも長女の育児のために約5日間の休暇を取得したことを発表しているのです。自らの育児に積極的に関わった鈴木知事は夫婦だけで育児を行うことの難しさを体感します。そして、個人の幸福につながるキャリアと育児の両方の充実を目指すために働く夫婦を行政がサポートする仕組みを作りたいと新たな取り組みを始めました。
その取り組みとは男性の育児参画を促す「みえの育児男子プロフェクト」です。モデルケースとして三重県庁のすべての局長に対して育休取得率10%を目標とするように指示します。そして、具体的な策として本人または配偶者の出産や育休、復帰の時期についての情報を記載する「育児参画計画書」を導入し、全国平均の10倍以上の取得率を達成させているのです。
さらに、産育休取得者と所属長が定期的に面談を実施する取り組みや、県民税の超過課税分を使い子どもや子育て施策の安定財源にする「子ども基金」の創設などといったさまざまな革新的な活動も行っています。
twitterで活発に意見発信!橋下徹から市長職を継いだ大阪の新市長・吉村市長
出典:大阪市ホームページ http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000013641.html
弁護士から大阪府知事、大阪維新の会代表、大阪市長と躍進を続け注目を浴びた橋下徹前市長から大阪市長の席を受け継いだのが、前市長からの信頼が厚い吉村市長です。
前市長と同じ弁護士出身で、2011年に大阪維新の会より出馬し、2015年10月まで大阪市会議員として活動していました。そして、同年11月に大阪市長選に当選したことで大阪市長に就任しています。
そもそも市長選の出馬のきっかけとなったのが、大阪都構想の否決を受けて引退した前市長の理念を受け継ぎたいという思いからだった吉村市長。市長のマニフェストとしても、東京一極集中となっている国家機能を危惧し、副首都として大阪市を確立させることを挙げています。
また、大阪府と一体で戦略を展開することで世界的に通じる大阪市の成長を目指した取り組みも行っているのです。吉村市長が特に活発に行っている活動の1つがSNSです。twitterではさまざまな課題に対する意見を述べて、自らの考えを積極的に発信しています。
また、2018年の大阪北部地震では地震発生直後から迅速にリアルな情報を発信し、高い評価を集めました。
良い街づくりには信頼できる首長がいることが重要!あなたの街の首長はどんな人?
従来は、権力を行使し職員らを動かすタイプの首長が活躍することが一般的でした。しかし、現代は職員たち、ひいては自治体の働きを良い方向へと誘導する体制を作り、サポートを行うことが首長に強く求められています。
自治体の首長には強い権限があるからこそ、先見の明を持ち、時代に合わせた政策を立て、迅速に取り組むことが求められているのです。住民が自分たちにとって、より良い生活環境を作るためには、信頼できる首長が自治体のトップとなっていることが大切なポイントの1つとなります。
また、自治体職員が充実した仕事を行い、達成感を持ちながら誇りを持って仕事をするためにも首長の存在は重要です。あなたの街の首長はどんな首長ですか。