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  1. 「読んでうれしい広報紙」の作り方(埼玉県所沢市・佐々木さん)

「読んでうれしい広報紙」の作り方(埼玉県所沢市・佐々木さん)

広報紙作りにあたって、「行政からの情報伝達だけにならないように」との心がけをよく耳にします。一方通行にならないために、住民の写真を掲載し、コメントを載せる住民参加型の広報紙が増えてきました。

「広報担当者インタビュー」の第七弾となる今回、市民がせりふ付きの写真で登場する埼玉県所沢市の「広報ところざわ」に注目しました。クイズや投稿コーナーには、手紙やメールが月平均約250件。話を伺った佐々木さんは、今シリーズ初の女性広報紙担当。広報紙にかける情熱と思いが伝わって来ました。

町中が広報の先生

――まずは自己紹介をお願いします

佐々木有希乃ゆきの と申します。所沢市出身の26歳です。東京の短大卒業後、地元の所沢市役所に入り、資産税課で4年勤務。広報課に来て2年目になります。

広報担当になって、正直なところ、それまであまり気にしていなかった市内の動きなど広い範囲に目が行くようになりました。自分の町に対してアンテナを張るようになり、ちょっとしたイベントや情報でも、「広報紙で取り上げられるかな?」と考える癖がつきましたね。

もともと広報に関わるような知識は全くなかったので、他自治体の広報紙はもちろんのこと、雑誌やポスター、新聞の広告面などにも注目するようになりました。人に何かを伝えるための媒体はとても勉強になります。言わば、身の回り町中の全てが広報の先生という感じです(笑)

リニューアル広報紙で「一席」受賞

――2016年11月号が今年2月に発表された全国広報コンクール埼玉県審査で、最高賞の特選に次ぐ「一席」を受賞されましたね。おめでとうございます。

ありがとうございます。「まだまだ」と思っていたので、予想外の受賞でした。

「読んでうれしい広報紙」をコンセプトに掲げたリニューアルは、2016年5月号から始まりました。

目玉となる新企画は、市内事業者から提供いただいた賞品が当たるプレゼントクイズコーナーです。事業者はお店のPR、読者は新しい楽しみの発見、市は応募に伴う読者意見の聴取ができる三者WIN-WIN-WINの仕組みです。プレゼントを店頭引き換えにすることで、確実に来店させるとともに「ついで買い」などを誘発するように工夫しました。

コーナーを新設した結果、以前はほとんど届かなかったハガキやメールが一ヶ月に約250件届くようになりました。読者である市民の皆さんあっての広報紙なので、色々なご意見・感想は参考になりますし、励みにもなっています。いただいた感想と担当者のコメントを新コーナー「読者感想文」として掲載しています。

一席をいただいた11月号の特集「食品ロス」とは、食べられるのに捨てられる食品のことです。所沢市では年間1万7000トンと推定されています。

ロスを減らす特集にあたっては、広報紙担当の先輩職員と担当部署の資源循環推進課と打ち合わせを重ね、一人でも多くの方に「これなら私でもできるかも」と思ってもらえるような内容で、且つわかりやすく伝えようと漫画調にしました。

家庭で余った食材を使って、市内の料理店のご主人が「豆腐と長ネギのふわとろハンバーグ」を作るというストーリーで絵コンテを書きました。市民の方に協力をいただき、「ちょっと待った!」「おいし~い」「すごーい!」など、いろいろなポーズをリクエストして撮影し、実際にハンバーグを食べてもらいました。

発行後、「特集を見て、わが家でも余り物でハンバーグを作ってみました!」という感想をいただいたときは、とてもうれしかったです。

先輩と二人三脚のリニューアル

――リニューアルの発案者は佐々木さんですか?

2016年4月に同じく広報紙担当になった鹿島慎一さんと一緒に考えました。違う目線で二人三脚で進められたことが相乗効果を生み出し、一人では作ることができなかったものが出来上がったと思っています。上司や周囲の方からのアドバイスもありがたかったです。

今回、一席をいただけたことで、市民の皆さんに参加してもらうのは間違っていないと確信しました。毎月、試行錯誤の連続ですが、これからも一歩一歩、前に進みたいと思います。

市民の声は担当部署にフィードバック

――リニューアル前と比べて市民の反応の変化を感じますか?

「広報紙を読むようになりました」という声が増えたのが単純にうれしいですね。そんな声をもっと増やしたいと思っています。

毎月感想やご指摘を読ませていただくことで、読者の皆さんの求めていることが分かりプラスになっています。29年1月号の特集「所沢の魅力、再発見。」はそんな読者の声から生まれました。

また、特集を掲載した後は、市民から寄せられた声を担当部署にフィードバックして、今後の仕事に役立ててもらっています。幅広く市民の声を聞くことが可能になり、担当部署の職員にとって、仕事の意欲向上にもつながっているようです。

広報はマニュアルにのっとった仕事ではなく、「自分発信」で進めていけます。入庁6年目で広報課内でも最年少ですが、意見を尊重して聞いてもらえる恵まれた職場環境に感謝していますし、とてもやりがいを感じています。

「読んでうれしい!」を所沢を好きになるきっかけに

――今後、どんな広報紙を作っていきたいでしょうか?

リニューアルに際して決めたコンセプトは「読んでうれしい広報紙」。うれしいという感覚は、親切で役に立つ・おもしろい・共感できる、など人によって違うと思います。

そのために、特定の年齢層や関係者以外の方も興味を持ってもらえるようなプラスαの工夫を常に考えています。特集に限らず広報紙に載せる情報は「何のため?」「誰のため?」と自問自答が続きます。

そうやって試行錯誤を重ねつつ、生みの苦しみを感じながらも、「読んでうれしい!」と思ってもらえる広報紙を作っていきたいです。そして、広報紙をきっかけに所沢を好きになってもらい、所沢のファンを増やしたいと思っています。

取材:読売新聞西部本社 Copyright (C) The Yomiuri Shimbun.

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