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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜価格で決まる「入札」に価格戦略は必要か?〜

BtoLGマーケティングの実務 〜価格で決まる「入札」に価格戦略は必要か?〜

BtoLGマーケティングの実務 〜価格で決まる「入札」に価格戦略は必要か?〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
さて今回からは、BtoLGマーケティング、4Pでもっとも重要な「価格戦略」の核心に踏み込んでいきます。

テーマは、ずばり「入札」。

一体いくらだったら自治体に製品やサービスを買ってもらえるのか?
落札できる価格はどうやって判断すればいいのか?
そもそもその時のライバル会社の金額で左右される入札に、価格戦略は意味があるのか?

そうした皆さんの素朴な疑問を少しでも解消すべく、今回から入札をテーマに3回に分けてお伝えしてまいります。

なお、入札のルールには様々な細かい決まりや例外などもあるのですが、ここでは多くの企業が経験する一般的な基礎知識に絞ってお伝えしていくことにします。実は本職の自治体職員の方で契約事務ご経験者にとっては突っ込みどころ満載なのですが、そこはどうか!「もふっ」とした温かい目で見守っていてください。

自治体ビジネスは「競い合い」が基本

民間ビジネスのマーケティングで「価格戦略」というと、製品やサービスを売る際の価格ですよね。お客様に製品やサービスをご案内する段階では、定価から値引きする場合であっても結果として販売価格が決まっている状態がほとんどです。

一方、自治体ビジネスの場合は、好む・好まざるにかかわらず、他社と競い合って選ばれなければ製品やサービスを買ってもらえません。この競い合いにおいて、自治体が確保した予算の範囲内で価格が最も安い企業を選ぶ手続き、それが「入札」です。入札は価格戦略上、BtoLG市場参入に取り組む多くの企業を悩ませる手続きとも言えるでしょう。

何のために入札というプロセスを踏むのか

これはもう言わずと知れた「公平性・公正性・透明性」の確保。それがわざわざ入札という手続きを踏む理由です。

自治体ビジネスの元手となる予算は、地域住民や企業から預けられた税金そのもの。お預かりした大切な税金を使って、首長や職員の個人的な思惑で選んだ企業に仕事を発注したり、なんだかよくわからない不透明な手続きで特定の会社ばかりに発注先が決まったりという事態はあってはならないこと。そもそも税を預けた住民や企業にとっては「そんなこと勝手に決めていいのか!」となってしまいますよね。

だから、誰もが納得する公平な判断基準、オープンになったプロセスで、複数の企業から発注先を決めて「どんな仕事を、どこの会社に頼んだか、それはなぜなのか」について、税を預けた住民や地元企業に対して説明責任を果たせるようにしているのです。

入札の種類を押さえよう

それではまず、入札の基本の「き」。
ちなみに、入札で選ばれることを「落札」といい、落札企業をどうやって選ぶか、その方法から見ていきましょう。

競い合いで発注企業を選ぶ方法には、いくつかの種類があります。大まかにいうと、手続き的には「入札に参加する企業の集め方」と「落札企業の決め方」の2つの手続きの組みわせとなっています。それぞれを簡単に解説していきましょう。

① 入札に参加する企業の集め方

【指名】
自治体から複数の企業に対して「入札に参加しませんか」と声をかけます。この声かけのことを「指名」といい、声がかかった会社だけで入札を実施します。この声がけは非公開で行われます。

【公募】
自治体の公式WEBサイト等に「こういう仕事を発注したいので入札を実施します。奮ってご参加ください」というお知らせを載せて、幅広く入札に参加する企業を集める方法です。参加資格を満たしている企業なら誰でも参加できます。「お仕事してくれる方、この指とーまれ!」というわけです。

② 落札企業の決め方

【競争入札】
仕事の内容を示した「仕様書」を事前に示し、その仕事をいくらでやってもらえるのか各社が決められた期日に価格を提示します。最も低い価格を示した企業が落札する方法です。

【企画競争(プロポーザル)】
自治体が求めていること、仕事の目的、予定価格などを事前に示し、その仕事をどのように実現してくれるのか「提案」で競い合うものです。自治体があらかじめ定めた評価項目に基づき客観的に提案した企業を評価し、最も優れた提案を示した企業に仕事を発注する方法です。

【総合評価落札方式】
入札とプロポーザルのハイブリッド方式が、この総合評価落札方式。応募した企業の提案の「技術点」と、その後に実施する入札価格で算出される「価格点」の合計で最も高いポイントを獲得した企業が落札する方法です。

「企業の集め方」と「落札企業の決め方」の組み合わせを整理すると、下表のようになります。

コラムのテーマは「価格戦略」。というわけで、最低価格で決定する一番上の行、「入札」にフォーカスして引き続き詳しく見ていきましょう。

「入札」の価格戦略の悩ましさ

なんと言っても入札で一番悩ましいのが、「入札で提示する価格」。入札では、こちらが設定した「売りたい価格」では落札できる、つまり買ってもらえるとは限りません。なぜならば、ライバル会社が自社よりも安い価格で入札してきたり、提示した価格が自治体の予算を上回ってしまうと落札できないからです。

だったら、一体いくらで価格を設定すれば落札できるのでしょうか。それ以前に、そもそも落札価格はどうやって決めればいいのでしょうか。ここが自治体ビジネスにおける「価格戦略」の一番悩ましいところで、民間ビジネスの価格戦略と根本的に異なるところでもありますよね。

落札とはどのような状態を言うのか

価格オンリーで決まる入札。だったらその金額の幅は1円から無限大の青天井?
こんな「思い込み」から、多くの入札の経験が浅い企業が金額をえいやっ!と営業部長の勘や経験で決めてしまうことも実際にあったりします。

確かに相手のあることですから、いくらで落札できるか1円単位での正確な金額までは予測できません。でも、「1円から無限大の青天井」ではなく、ある程度入札価格の幅が予測できるとしたら?ヒントになるのが、入札で落札できた時の状態。簡単に図で示すとこんな感じになります。

さて、もうお分かりですね。

「最低制限価格」
「自治体の予算(予定価格)」
「他社が提示した応札価格」

この3つの金額をある程度予測できれば、自社の入札金額の幅が把握できます。
「1円から無限大の青天井」で勘や経験で価格を決めるよりもはるかに入札の精度・落札の確率が上がるというわけです。

さて、本コラムの表題を思い出してください。「価格で決まる入札に価格戦略は必要か?」でしたね。

「価格戦略は必要不可欠」。これが答えです。

まとめ

今回は、入札の基本的なルールから、価格の幅を予測するための考え方までお伝えしました。

次回、入札をテーマとした2回目のコラムは、入札金額を予測するのに不可欠な3つの要素について順次解説を加えます。
どうぞお楽しみに。

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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