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BtoLGマーケティングの実務 〜「入札」HACK!〜

「入札」HACK!

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
さて今回は「入札」シリーズ3回目の最終回。今回は、入札シリーズの締めくくりとして、普段馴染みのない入札でつまづきがちなポイントについて、HACK的にご紹介することといたします。

落札できない原因の多くは、実は「価格」ではない

普段民間企業でお仕事をしていると、なかなか「入札」に接する機会はありませんよね。せいぜい個人的にヤフオクでお目当てのものの入札に参加する、くらいだと思います。そう、一般的に触れる機会がないが故、入札への参加プロセスのあらゆる段階で単純なルールでつまづいたりしてしまうのです。

入札は、よく価格をどうするかが議論になるのですが、実はそれ以前の問題。知っていればクリアできるところで失注してしまうことが驚くほど多いのは、本当に残念なこと。

というわけで、入札を乗り切るための様々な知識を、入札の準備・入札の実施・入札後に分けてご案内していきます。

入札の準備段階

まずは、入札に参加する前の準備段階。特に、初めて入札する企業様がよくハマってしまう、思わぬ落とし穴的なところから。

① 入札参加資格を取得していない

これは当たり前のことなのですが、念のためのアラート。自治体の入札に参加するためには、原則としてその自治体に対する入札参加資格の申請をしてあることが条件です。

資格を取るための厳しい評価があるわけではなく、単にリストへの登録申請に近いですね。就活のエントリー申請をイメージしていただくと近いかもしれません。

参加資格は、提供する製品やサービスの領域ごとに登録カテゴリーが分かれていますので、たとえ資格を取っていてもエントリーしているカテゴリーが違うと入札に参加できないことも。何れにせよ、入札にあたっての応募資料をよく読んで、手続きにしたがって進めましょう。

(ちなみに、応募資料の文字と漢字の多い文章に「うっ・・・!」とひるんでしまう方も多いかもしれませんが、そこは慣れの問題。文学作品の原典を読んでいるわけではないので、基本的に5W1Hを確認しながら丁寧に読み込むようにしましょう。理想を言えば、一人よりも複数名で資料に目を通すと確認漏れが少なくて済みます。)

② 入札保証金のキャッシュを用意していない

入札には「入札保証金」という制度があります。

案件によっては、入札に参加するときに事前に自治体に決められた金額を払い込まなければいけないこのルールが適用されていることがあります。ちなみに入札保証金の金額は、応札価格の100分の5以上。入札保証金ルール適用入札の場合、あらかじめこの金額を納める必要があります。

これ、民間企業にとって最も不可解なものですよね。
なぜお金をもらう方が、あらかじめお金を払わなきゃいけないのか??

これは、落札した企業が何らかの理由で契約締結をしなかった場合、入札の準備や実施にかかったコストや、発注時期が遅れることによる損害が発生しますよね。それを穴埋めするために、契約をしなかった会社から納めてあった入札保証金を没収するというもの。これは会計法29条に規定されている、れっきとした法律です。自治体の横暴などでは決してなく、コンプライアンス的に遵守する必要があるものです(ちなみに入札後はもちろん返還されます)。

さて、「受注する企業側があらかじめお金を納めておかなければならない」というこのルール。民間企業として認知されていなかったり想定外だったりするため、入札への参加が決まってから担当者がこのルールに気付くことがあります。

慌てて上司に「いや実は入札保証金のキャッシュが〇〇円必要で・・・」といきなり報告しても、なんだそれは!ということで急に保証金のお金が用意できなかったりすることも。

入札がらみのこうしたルールは、あらかじめ社内で徹底しておくと良いでしょう。

③ 電子入札専用のパソコンの準備

入札は、現時点では昔ながらの紙入札と、パソコン上で実施する電子入札と2つの方法が並走しています。ここでは電子入札のお話。

電子入札は、決められた期日に応札金額をパソコンに入力して入札するというものですから、その入札期日に当該パソコンがしっかり使えるようになっている必要があります。通常業務で使っているパソコンを入札に使うと、通常業務に伴う思わぬエラーが影響して入札が無効になることも。

こうしたことを防ぐため、電子入札専用のパソコンを1台用意しておくことを強くお勧めします。もちろん最新ハイスペックパソコンでなくてもOKですが、電子入札に要求されるパソコンの機能が指定されていますので、それに準拠したものを選びましょう。

④ 会社のハンコのもらい忘れ

あらかじめお断りしておきますが、これは紙入札のお話です。最近社会的に旗色が悪い「ハンコ」。

入札の場合、いまだに提出する書類や入札の封筒などに会社のハンコが求められることがあります。会社のハンコ、急いでいるので押印お願いしますと簡単にもらえるものではありませんよね・・・。三文判ではNGの場合が多いので、事前に法人印や部署の印鑑をもらえるスケジュール感は社内的に確認しておきましょう。

入札の実施段階

① 応札価格のちょっとした工夫

これは以前コラムで触れたかもしれませんが、応札金額は「キリのいい数字にしない」こと。

たとえば、280万円で応札しようとしたときには、279万9970円などというように数円から数百円の間でコストダウンし、なるべく半端な金額で入れるようにしましょう。これはまさに小ネタと言える技。理由は不明ですが、実は多くの会社が1,000円未満をゼロで揃えてくる傾向があります。

一般競争入札は1円でも下回れば勝ちなので、利益の確保に大きく影響しない数十円から数百円の範囲で半端に下げると落札できる可能性が上がります。可能な範囲でぜひ試してみてください。

② 2番札・3番札に進んだ時の価格設定

入札は1回の入札で落札企業が決まらないことがあります。理由としては、全ての企業が予定価格を上回っているケース。その場合は2回目の入札にその場で突入します。そう、その場で、です。

「え!2回目の価格、いくらで入札するか会社として決めてない!」

これが入札の経験が浅い企業によくある失敗パターン。会社として、入札が2回目・3回目に進むことを想定し、それぞれの回の金額を決めておくのは必須です。営業担当者に一任する、というルールにしている企業も多いですね。

③ 予備の入札用紙など持参忘れ

さて、これも自治体に訪問して紙で入札するときのお話。入札が2回目・3回目に進んだときに、金額を書いて再提出する入札書が手元に必要となります。
この予備の入札書を持っていないとゲームセット。その先の入札に参加できません。

まさかその場に居合わせているライバル会社に「予備の入札書分けてくれませんか」なんて頼むわけにもいきませんよね・・・(筆者は過去に分けてくれ!と他社営業担当者から懇願されたことがありました。お人好しの筆者は勢いに負けて思わず分けてあげちゃいました。運よく自社が落札できたのですが、あとで営業部長にめちゃくちゃ怒られました)。

紙入札の場合は、ブランクの入札用紙を予備で3枚程度必ず持参するようにしましょう。
ちなみに、周りの他社の様子をさくっと観察しながら、その場で金額を書き直したりするツワモノ担当者もいます。そういう担当者は、訂正印や修正液なども持参していますのでご参考までに。

入札の後の段階

① 入札後の契約タイムフレーム

入札後には、契約の期日が決められています。決められたタイムフレームを守って手続きを進めましょう。入札は、落札したからといって契約企業になるわけではありません。第一優先契約交渉事業者となるだけです。ルール通りに進めないと失格になり、次点の企業に仕事が入ってしまうことも理解しておきましょう。

② 契約書の内容

これも比較的よくあることなのですが、落札後に契約書を取り交わす段階で、自社の法務部門が「この契約内容では契約締結ができない」というNGが入ること。自治体と自社の法務部門の間で担当者が板挟みになってしまいます。

NGになる契約内容としてよくあるのが、成果物の取り扱い。知財管理に関わる部分が多いように思います。
自治体に収めた仕事の成果は、原則としては公有財産となるわけですから、落札後に契約書の内容に異議を唱えるのはほとんど認められません。だからこそ入札前の段階で、契約書(案)が自治体から共有されているわけです。

入札前にあらかじめ自社の法務部門に根回しをしておくか、契約書(案)をチェックしてもらい、会社として譲れない条項がある場合はそうした案件にはエントリーしないという社内ルールを作っておくと良いでしょう。

まとめ

今回まで競争入札の価格戦略について3回にわたってお届けしてきました。
さて、次回は企画競争。プロポーザルと呼ばれる提案書の競い合いのときに、価格をどのように考えればいいのかについてお話ししてまいります。
どうぞお楽しみに。

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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