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  1. 政府が推進するオープンデータ戦略!その定義と意義

政府が推進するオープンデータ戦略!その定義と意義

オープンデータという言葉を知っていますか。これは東日本大震災をきっかけに、日本政府が今起きている災害情報などの開示や、透明性のある国策を国民に示すべきだとして、web上を中心にさまざまな情報を公開する方法です。

また、災害時といった特別な場合だけでなく、交通機関の利用を便利にしたり、普段食べている食材の産地を明確にしたりと、日常生活においても密接な関わりがあります。

今回は政府が推進するオープンデータ戦略の定義と意義を、詳しく見ていきましょう。

政府が推進するオープンデータ戦略とは?

「オープンデータ戦略」と聞くと、非常に難しいイメージがあるかもしれません。しかし、ざっくりオープンデータを説明すると、誰でも、どのような組織であっても、それを知ったり利用したりすることが可能なデータのことです。例えば、大学の論文や研究データを公開するといった取り組みは昔からありました。しかし、それを他の人が自分の論文に使いたい場合、その大学に許可を申請するといった手間や経済的負担が掛かっていました。

オープンデータはこのような論文などをインターネット上で公開し、利用したい人や組織に負担が掛からないようにしています。こうした動きをオープンデータ戦略といい、日本政府も公共データを中心に可能な限り多くの人に公開しています。

政府は「行政の透明性や信頼性の向上」「国民参加、官民協働の推進」「経済の活性化と行政の効率化」この3点をオープンデータにおける目標としています。平成24年7月には「IT総合戦略本部」が決定し、電子行政オープンデータ戦略を積極的に行うと明言しました。その12月には内閣官房や総務省が主体となり、官庁と民間企業が協力して実務者会議が行われました。

オープンデータ戦略はその後自治体を中心に展開され、例えば、災害時にweb上で避難区域や公共トイレの情報を提示するなど、さまざまな情報開示が行われています。

オープンデータ戦略の推進が叫ばれるようになった背景

“日本でオープンデータ戦略が推進されるようになったのは、東日本大震災がきっかけです。未曾有の大惨事に襲われた国内ではさまざまな情報が飛び交い、すぐに知りたい情報を知ることができず、混乱する現場が多数ありました。

例えば、福島原発が被災したことで、日本全体が「節電に取り掛かろう」といった意識が高まりました。しかし、日本政府が公表する電力消費量などのデータは、一般市民にとって難解なものが多かったのです。そのため、行政情報を分かりやすく国民に開示すべく、オープンデータ戦略の推進が叫ばれるようになりました。

さらに、国や自治体に対して透明化を望む声が高まった背景もあります。例えば、福島原発事故は国民にとって衝撃を与え、それまで安全だと思っていたものが信じられなくなったきっかけでもありました。そこで、原発事故における情報の開示や、透明性のある国策を国民に示すべきだという世論が高まり、オープンデータ戦略の重要性が叫ばれるようになったのです。

また、この頃からブロードバンドが普及し、スマートフォンやタブレットのIT能力が著しく向上したため、一般企業や個人が大量のデータを扱えるようにもなりました。例えば、企業などでは多くの情報を取り入れることにより、今後はどうすべきか運営予測ができたり、業務改善や売上増大を目指せたりすることにもなります。

いずれにせよオープンデータ戦略は、自分たちが情報を分かりやすく知ることができ、今後どう行動すべきか判断する材料にもなるでしょう。

政府が定義するオープンデータとは?

政府が定義するオープンデータとは「機械判読に適したデータのこと」「二次利用が可能なルールのもと公開されたデータのこと」とされています。もう少し分かりやすく見ていきましょう。

まず「機械判読に適したデータ」とは、あまり手間をかけずにインターネット上で公開できるデータのことです。インターネット上で情報を開示するには、ソフトウェアによるデータ取得や加工作業、他のデータと組み合わせた分析などが必要になることもあります。コンピューターが文章内容を理解でき、適切に処理できるような簡単なデータであることが必要です。

逆に、その情報が判読できないような難解文章であったり、数値が処理できないような複雑なものだったりすると、オープンデータとして利用できないことになります。

そして「二次利用が可能なルールのもと公開されたデータ」とは、データ所有者があらかじめ「二次利用として開示して良い」と許諾しているデータのことです。よく聞くのが「著作権」の問題です。二次利用を認める場合、「著作権の不行使を宣言している」データが必要になります。

このように、オープンデータにおける情報は、二次利用が可能でなかったり、機械判読が難しかったりして、情報開示ができないものもあります。しかし、政府の持つ情報を広く公開し、経済の活性化をはかったり、行政の透明化につなげたりすることは重要です。著作権の問題などを徐々に解決し、自由に使えるデータを増やすことで、オープンデータの活用がさらに発展することが望まれます。

オープンデータの実証実験も活発化

オープンデータの実証実験は、さまざまなところで行われており、一定の成果をあげています。例えば、「東京公共交通オープンデータチャレンジ」は、これから行われる東京オリンピックをふまえ、外国人観光客をはじめとした多くの人が交通機関をスムーズに利用できるよう開発されたアプリです。

電車の時刻表や運行状況、バスの予定到着時間や、飛行機の発着時間などを知ることができます。そして、全国のボーリングデータの所在情報を公開・提供しているウェブサイトでは、全国の地方自治体を対象とした地盤情報を知ることができます。

また、災害関連に関するオープンデータは、多くの自治体によって活用されています。そのうちの1つである避難所ナビサービス「ヒナンパス」は、2016年に起きた最大震度7の熊本地震で活躍しました。

これは被害の大きかった熊本市と益城町が、ウェブ上に公開している避難所リストを使い、暫定的に対応したアプリです。地図上で簡単に避難所の位置が分かり、最寄りの避難所への経路も分かりやすく、多くの人の避難誘導に活躍することができました。

そして、オープンデータは災害や避難時、移動だけに限ったことではありません。例えば、生鮮農産物などの分野では、購入した野菜のバーコードを読み取るだけで、その野菜がどこで生産されたか、農薬はどのくらい使われているのかなどの情報が分かるオープンデータも開発されています。

このようにオープンデータは、さらなる公共交通のサービスの向上や、地震・災害大国である日本の安全性を保つための情報取得が期待できるとして、存在意義が大きいものになっています。

オープンデータの活用が身近に

オープンデータと聞くと難しく聞こえますが、実はすでに私たちの身近に存在しているものかもしれません。ある自治体では、オープンデータによるゴミの収集品⽬と収集⽇を⼀覧できるアプリを開発し、ゴミ出しが分かりやすくなったという声が寄せられているそうです。

このようにオープンデータを活用したアプリの開発などはどんどん進んでおり、実は知らない間にオープンデータを利用しているケースも多いです。まだまだ開示できる情報が少なかったり、インターネット利用が苦手な人への対応に苦慮したりと、オープンデータにおける問題点はあります。

しかし、これからはもっと技術が開発され、さまざまな取り組みも開発されることが予想されます。そのときは活用がますます身近になり、新たな活用事例が生まれていることにも期待しましょう。

 

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