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  1. 【#3/3 セミナーレポート】デジ田交付金 計画申請書とスケジュール

【#3/3 セミナーレポート】デジ田交付金 計画申請書とスケジュール

2023年6月28日、株式会社ジチタイワークスは「デジ田交付金 デジタル実装タイプの採択事例と今後の動き」というテーマの企業向けオンラインセミナーを開催しました。本セミナーでは、デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の参事官補佐である小野様をお招きし、過去の採択事例と今後の動向についてお話しいただきました。今回は、そのセミナーの模様を3回に分けてお届けいたします。
※本記事は2023年7月時点での内容となります。最新情報については、各関連省庁の公式ホームページ等をご確認ください。

2023-06-06-21-05-30_小野 康佑さん デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐

スピーカー:小野 康佑 氏
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐
新卒でNTT東日本に入社。新規事業開発室や戦略子会社(株式会社NTTe-Sports)の立ち上げに関わったのち、神奈川県横須賀市への在籍出向を経て、2022年7月より現職(出向)。

計画申請書とは?

株式会社ジチタイワークス 林(以下、林):
デジ田交付金には計画申請書というものがあるのですか?

小野 康佑 氏(以下、小野):
そうですね。先ほどお伝えしましたが、自治体さんから国に対して、交付金を申請する際に、申請書があります。ホームページ等で公表はしてないのですが、全ての自治体さんにはお配りしています。民間企業の方と一緒に作っているような自治体さんも中にはあるのですけれども、申請書を作るときにはこういうポイントが必要、ひいては民間企業様もこういうポイントに刺さるような中身を説明すると自治体さんも交付金の申請がしやすいと認識頂けたらと思います。

林:
ありがとうございます。そのポイントについてお伺いしてもよろしいでしょうか?

小野:
はい。ポイントはシンプルに6個だけです。

小野:
特に大事なのが1番と2番ですかね。1つ目は、民間企業が提供するサービスがちゃんと地域課題解決に資するものなのかという形で。例えば、とりあえずメタバース面白そうだから何かやってみようとかではなくて・・・関係人口を広げたくて、若者も含めて、あの市を知ってもらいたい、だからメタバースで関係人口を作るみたいな。全体の課題設定、目指す世界観みたいなところが非常に重要なので、そこはきっちり考えていただいて、というのがまず大事になります。

2つ目は、先ほどの事例にもありました、KPIを設定して、しっかり定量的な成果、目標値を定めてもらっている形になります。

3つ目も重要で、官民が連携した推進、皆さまは『民』だと思うのですけれども。自治体さんだけじゃなくて、様々なステークホルダーの方を巻き込みながら連携体制を作っていくみたいなところも強く求めていくところでございます。

4、5、6のところは上と比べるとそこまで重要ではないのですが、しっかり2年目3年目以降の計画がなされているか。PDCAがしっかり組まれているというところですとかが評価されます。実際に交付金出すタイミングではまだ入札で契約はしていないと思うのですけれども、経費項目もなんかバクっと1,000万の委託費とかではなくて、ある程度その経費の内訳が出されていなくてはいけないので。自治体さんと話していくときには、きっちり1円単位とかの必要は全くないのですけれども、大体どんな項目でいくらぐらいかかるみたいな参考見積もりは、しっかり出していくと、そういったところも喜ばれるのではないかなというふうには思っています。

先ほどもお話したので簡単に補足しますけども、まず解決したい地域の課題をしっかり徹底するというところですね。例えば、自治体さんがこういう災害で困っているとか、そういう課題設定のところを、営業をする際にもしっかりしていらっしゃる営業の方も多いと思うのですけれども。我々のサービス、民間がもっているサービスは地域の課題を解消しうるものですよというのを皆さまからもしっかり伝えていただきたいなと。その上で、サービス選定と事業の申請を自治体さんにしていただきたいと思っております。

小野:
次に、計画申請のつまずきやすいポイントなのですけれども、よくあるのが、「デジタルを活用したサービスが住民にメリットがあることを特定できない」みたいなところですね。例えば、スマホ教室。「デジタル人材を育成します」みたいな形で目的が不明なものは認められないので、「ドローンを活用した農業DXと、そのドローンの操縦士を育成する事業です」という形で、ちゃんとデジタルサービスの実装に資するものがないとダメです。あとは既に確立されているモデルではない、実証や研究開発段階のものもダメだということも意識していただければと思います。

小野:
あとは、KPI設定がちゃんとできていないとか、「1年目はとりあえずやってみます。2年目以降の計画は不明です」みたいなものもよろしくないですし、PDCAサイクルの整っていないものも評価が下がる形でございます。繰り返しにはなりますが、官民連携の体制みたいなものをしっかり組んでいきながら、先ほどの課題とKPI設定をしっかりできるような・・・「このサービスを入れるとこういう効果も見込めます」ということも、しっかり自治体さんにお話していくことが、イコール、自治体さんに対する申請書類の精度アップにもつながってくるのではないかなというふうに考えます。

小野:
こちらの項目は以上になります。

林:
ありがとうございます。計画申請書の内容をしっかり押さえて、自治体さんに伝えていく、情報提供の際のポイントになるかと思いますので、民間企業様もぜひこの情報をご活用いただけたらと思います。

交付金の今後の動きとスケジュール

林:
続いて、企業が自治体営業を行う上で、大きな鍵となる交付金のスケジュールについてお話いただいてもよろしいでしょうか?

小野:
はい。右上に赤字で書いているのですけども、想定かつ昨年度ベースの動きを独自にまとめたものになるので、必ずこうなるわけじゃないといったところと、それが必ずしもその一つの正解ではないということをご認識いただきつつ・・・国・自治体の基本的な動きはこういうふうになっています。もしかすると、ここら辺は詳しい民間企業の方も多いかもしれないので、聞き流していただきつつ、少し補足させていただきますね。

小野:
デジ田交付金に関しては、今(2023年6月28日)が1クォーター末、これから2クォーターに入ってくるタイミングです。実際に制度設計は内閣官房でしています。自治体さんの目線で言うと、その交付金を活用するか、具体的な検討を2クォーターで始めて、「じゃあこの母子健康手帳で交付金を検討してみよう」みたいな話をしますと。国からは大体12月くらい、予算取りもこの時期に終わっているので制度概要説明会をして、自治体さんから我々の方に「こういう申請書で出そうと思っているのですけどいかがでしょうか」と事前相談をいただきます。その後、我々がいわゆる赤ペン先生をして、お戻しして、そこから1月末ぐらいに本申請を上げていただく。2月に審査結果を通知し、3月末に公表。そして、4月1日から事業を進めてくださいという形で、費用が発生して・・・と、大まかにこんな動きになっていくため、おそらく今年度もこういう動きになっていくのではないかと思っております。

国の動きに対して自治体さんがどんな動きをしているかというと、当初予算と補正予算、二つの軸で動かしています。当初予算は、今(2023年6月28日時点)まさに来年度予算の計画をしていて、各原課さん、福祉課とか教育課とか、色んなところに「来年はお金をいくら、なぜ欲しいの?」みたいなヒアリングがあります。2クォーター末の9月に「大体このぐらいで来年度予算を計上しよう」みたいな・・・サマーレビューとかファーストノートとか色々呼ばれますが、大体9月ぐらいに予算を組んでいます。3クォーター・4クォーターでは交付金の事前相談とか、次年度の方針固めに入り、3月議会で当初予算を計上します。そこに交付金の申請結果なども加味して、というのが当初予算です。

ただ、当初予算だけではなく、交付金に採択されることが決定してから、はじめて残りの自治体負担分の金額を補正予算で取って実施するパターンが中にはあるというふうにお聞きしています。毎年度クォーターごとに補正予算の機会があり、その補正予算のタイミングで予算取りすると。交付金の流れで言うと、採択の結果通知が来てから、6月の補正予算で自治体側で負担する残りの金額の予算取りをしているという形です。

本格的に検討が動いていくのは7月からという形になってくるのではないかなと推測しているところでございます。全体のざっくりとしたスケジュール感、年間スケジュールとしては以上になります。

林:
ありがとうございます。大体の民間企業様が、当初予算に組み込んでもらうために9月までにアプローチを完了させていくっていうのが一般的なお話だと思うんですけれど。デジ田交付金に限っては、10月から11月ぐらいに今年度の制度の詳細が固まる形になるかと思います。そうなってくると、制度が固まるこの時期にも、交付金への興味・関心が高まるタイミングがあるのではないかなと個人的には思っていまして。当初予算だけではなく、補正予算を狙って、9月から11月ぐらいの間でもアプローチをしていくことの必要性があるのではないかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか?

小野:

必ずそうとは限らないですが、交付金をそもそも知らなくて、10月の説明会で、「デジ田交付金の実装タイプみたいなのがあるんだ。当初予算では組んでいないけど、これを使って何か新しいことをやってみよう」みたいな自治体さんは結構あると思います。 当初予算の9月のサマーレビューに向けて営業したけど、間に合わなかったみたいなときもあるかと思います。そこを諦めずに・・・予算が組まれてないかもしれないんですが、「交付金の申請も視野に入れながら、このサービス導入にチャレンジしてみませんか」という話を、10月・11月・12月にするのはありなのではないかなというふうに思っています。むしろ我々的にはなかなか各原課さんに交付金の存在をまだまだ伝えきれていない、我々のPR不足もあるので、そういったところを民間企業の方からも積極的にですね、ご案内いただきたいなというふうに思っています。これはお願いでございます。

林:
ありがとうございます。ちなみに今、当初予算と、補正予算でデジ田交付金を活用される自治体さんってどのくらいの割合になられるのですか?

小野:
アンケートを取っているわけではないので確定したことは全く言えないのですけど、感覚的には、半分ずつぐらいなのかな。もしくは補正の方が多いのではないかなって気もちょっとしています。

林:
補正予算に組み込んでいただくためのアクションも大事だということですね。

小野:
そうですね。最後まで諦めずに営業するというのはとても大事なんじゃないかな、というふうに思います。

林:
ありがとうございます。

最後に

林:
本日はご多忙のところ、弊社セミナーにご参加いただきまして誠にありがとうございました。小野さんも本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

小野:
民間企業の皆さま、ぜひ営業を頑張っていただきつつ、そこで交付金のご案内も広く、自治体さんのほうにしていただけると大変ありがたく存じます。質問等は、直接、我々の方の窓口に問い合わせいただくことも可能ですので、メールもお電話も日々いただいていますが、遠慮なくいただければと思います。ぜひ不明点のほう解決してですね、ご案内いただければと思いますので、よろしくお願いします。本日はありがとうございました。


林:
ありがとうございました。それでは失礼いたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。デジ田交付金を活用した、自治体向けサービスの拡大に向けて、本セミナーレポートの内容をぜひご活用いただけますと幸いです。

また、弊社では、民間企業様の「自治体へ向けた営業活動」をご支援するサービスを複数展開しております。全国の自治体へ11.5万部を
無料配布をしている行政マガジンをはじめ、認知拡大・リード獲得等、ニーズ調査など、自治体へ向けた営業活動のお困りごとやお悩みについて、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先

株式会社ジチタイワークス 担当:林・諸藤
TEL:092-716-1480/Email:btog@zaigenkakuho.com

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