【#1/2 セミナーレポート】自治体から選ばれる企業になる!説得力のある提案でビジネス拡大を狙え
「サービスの説明は聞いてもらえるが、導入に至らない…」
自治体へ営業を行う中で、上記のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
それは自治体が導入を検討しやすくなるポイントをおさえられていないからかもしれません。
ジチタイワークスでは、官民連携促進の専門家・新井氏と、出水市職員で現在ジチタイワークスに出向中の中村が
「根拠に基づくアプローチ」「自治体職員の意思決定プロセスの流れ」「営業を受ける自治体職員の本音」 などについて
ご紹介するセミナーを開催しました。今回は、そのセミナーの内容をレポートとしてお届けします!
※本記事は2024年12月時点の内容となります。
株式会社地方創生テクノロジーラボ
代表取締役社長 新井 一真 氏
「地方活性化に寄与したい」という思いから、地方創生事業に特化した会社「株式会社地方創生テクノロジーラボ」を2017年に設立し代表取締役社長に就任。地方自治体と企業とのマッチング支援を行う自治体コンシェルジュとして全国の自治体と企業との公民共創を推進。
地方創生テクノロジーラボHP▷ https://www.lc-techlab.co.jp/
目次
● 公民連携の重要性とメリット
● トレンドの変化と新たな取り組み
● 自治体の予算編成の流れ
● 自治体の新規事業における企画検討と予算化プロセス
● 自治体向け提案のポイントと効果的なアプローチ
公民連携の重要性とメリット
公民連携事業とは、行政が提供する様々な行政サービスを民間企業のノウハウや技術を活用して効率化し、質を向上させる取り組みです。このような事業が注目されるようになった背景には、住民ニーズの多様化や自治体職員数の減少、財政の逼迫といった問題が挙げられます。住民は、窓口に行かなくてもスマートフォンで行政手続きを完結させたいという要望を持ち、これに対応するために行政はより効率的な方法を模索しています。しかし、すべての課題を行政だけで解決するのは難しくなっており、そこで民間の力が必要とされています。
トレンドの変化と新たな取り組み
近年、行政の考え方にも変化が見られます。従来は保守的な姿勢が強かった自治体も、今では挑戦的な思考を持つようになり、新しい技術の導入や他の自治体が行っていないことに取り組む姿勢が増えています。自治体と企業が協力して地域全体を巻き込む「共創型」の取り組みが広がりつつあり、ビジネスの規模も大きくなっています。
一方で、民間企業から提案を募る「民間提案制度」の活用が広がっており、これにより企業が自治体に対して新しい事業アイデアを提供しやすくなっています。この制度を通じて、自治体と企業が連携し、住民に新しいサービスを提供する機会が増えています。
他にも、CSV(Creating Shared Value)事業に取り組む企業も増加傾向にあります。こちらは企業の利益と社会的責任の両方を満たすような事業モデルとなっています。一般的な事業では、民間企業が自治体からの発注を受けてサービスを提供しますが、CSV事業では、まず自治体と民間が連携し、自治体から民間サービスの利用告知を行い、民間企業が住民に直接価値を提供します。自治体が民間企業のサービスを推奨し、住民の生活向上に貢献することで、企業も地域社会も共に発展するという新しいビジネスモデルです。
最近の動向として、デジタル技術を活用した「デジタル都市国家構想」が注目されています。これに伴い、「デジタル田園都市国家構想交付金」が「新しい地方経済生活環境創生交付金」に改称され、予算も倍増する予定です。このように、デジタル技術を活用した地方創生が今後さらに加速し、民間企業との連携がますます重要になっていくでしょう。
自治体の予算編成の流れ
全国の自治体では、建設や土木といった従来のイメージだけでなく、人材育成や観光プロモーション、行政のDXに至るまで、多岐にわたる業務が民間企業に発注されています。自治体の意思決定は、区長や市長などの首長と議会の二元代表制によって行われます。住民サービスの提供は、まず首長が事業の必要性を議会に提案し、議会での審議・承認を経て実行されます。住民は、直接行政に意見を言うのではなく、議会を通じて請願や陳情を行う仕組みです。このように、自治体では議会が住民の意見を反映させ、行政サービスを提供する役割を担っています。
自治体の会計年度は4月から翌年の3月までで、毎年度予算を策定し、その範囲内で事業が行われます。各部署が新年度の予算をどのように使うかは前年度から検討され、7月頃から中期財政見直しや予算編成会議が始まります。10月には各部門が財政部門に予算要求を行い、庁内での査定を経て最終的に議会で承認されることで、翌年度の事業が実施されます。このため、自治体が新しい事業を行う場合には、早期からの情報収集や調整が重要です。
自治体の新規事業における企画検討と予算化プロセス
自治体が新規事業を行う場合、通常の予算化プロセスとは異なる流れが必要となります。特に、これまで行っていない新しい取り組みを進める際には、入念な事前調査や情報収集が求められます。首長が選挙で掲げたマニフェストに基づき、政策の担当部署が課題を抽出し、各部門がさらに詳細な情報を集めます。これにより、新規事業が翌年度の予算として組み込まれる準備が進められ、議会の承認を経て、入札が開始されます。入札期間は通常2週間程度ですが、それ以前の企画段階は長期間にわたることが多く、半年から1年をかけて、他の自治体の事例を参考にしながら、担当者が情報を集めます。この段階を経て、ようやく事業者が決定され、事業が本格的に進行します。
自治体向け提案のポイントと効果的なアプローチ
自治体への提案を成功させるためには、自社のサービスが自治体にどのような効果をもたらすかを具体的に示すことが求められます。新規事業を自治体に提案する企業にとって、重要なのは、どのような効果が提供できるかを自治体側に具体的に示すことです。事業の成功には、まず自治体が直面している課題との整合性を確認し、適切な解決策を提示することが求められます。例えば、業務の効率化や観光振興など、自社のサービスが解決できる範囲を明確にし、さらに効果の定量化、過去事例の提示、短期・中長期の成果予測を行うことで、提案の説得力が増します。自治体にとって、事業導入後の具体的な成果が見える形で提示されることが、最終的な意思決定の大きな要素となります。
次に、自治体とのコミュニケーションの構築についてお伝えします。各自治体が抱える課題や要望は異なるため、サービスのカスタマイズやサポート体制についても丁寧に説明し、安心感を与えることが大切です。加えて、コミュニケーションを密に取り、双方向の情報共有を図ることで、自治体側に寄り添った提案を行うことができます。初期段階での対話や定期的なミーティングを通じて信頼関係を築き、長期的な協力関係を構築することが、自治体への提案を成功に導く鍵となります。
この記事では、行政と民間企業が協力して地域課題を解決する公民連携事業の重要性やメリット、そしてトレンドの変化について紹介しました。デジタル化や地方創生が進む中で、企業にとっても自治体との連携がますます重要になっていくでしょう。
お問い合わせ先
株式会社ジチタイワークス 担当:大元・諸藤
TEL:092-716-1480/Email:btog@zaigenkakuho.com