【初めてでもわかる】官公庁入札の種類・違いをわかりやすく解説

官公庁入札は、低価格入札競争だけではありません。官公庁入札の種類は、実務上大きく「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つに整理できます。
まず整理しておきたいのが、官公庁の調達には「契約方式(誰を呼ぶか)」と、その中での「落札者の選び方(どう決めるか)」という2つの軸がある点です。
- 契約方式:一般競争入札、指名競争入札、随意契約
- 選び方:最低価格落札方式、総合評価落札方式、プロポーザル方式
本記事では、一般競争入札・指名競争入札・随意契約の違いを整理したうえで、オープンカウンターやプロポーザル方式等の特徴、初めて参入する企業が押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
目次
代表的な3つの入札の種類

官公庁が民間企業と契約を結ぶ際、その入り口となる方式は大きく分けて「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つです。
これらは法的には契約の種類として定義されていますが、実務上や一般的な解説では、これらを総称して入札の種類と呼ぶことが多くあります。まずは、それぞれの仕組みとどのような企業に向いているのかという全体像を掴みましょう。
| 方式 | 誰が参加できるか | 向いている案件 | 新規参入向き |
| 一般競争入札 | 条件を満たせば広く参加可 | 定型業務・物品 | ◎ |
| 指名競争入札 | 指名された企業のみ | 実績重視案件 | △ |
| 随意契約 | 発注者が選定 | 少額・緊急・特殊案件 | 〇 |
一般競争入札
一般競争入札は、公共調達の基本で原則とされる方式です。
官公庁がインターネット上の公告や官報などで案件を広く周知し、公募の条件を満たす企業であれば、参加の意思を示すことができます。
- 仕組み:公告された条件(仕様)に対し、複数の企業が価格や提案を提示し、最も有利な条件を出した企業が落札します。
- 特徴:透明性と公平性が非常に高く、新規参入の企業にとって間口が広いため、公共領域へ参入したい企業も挑戦しやすくなります。
- メリット:実績が乏しくても、条件さえ満たせば大企業と同じ土俵で戦えます。
- デメリット:参加社数が多くなりやすく、結果として「価格の叩き合い(低価格競争)」に陥り、利益率が圧迫されるリスクがあります
指名競争入札
指名競争入札は、官公庁側が「この業務を任せるのにふさわしい」と判断した特定の数社をあらかじめ選定(指名)し、その中だけで競争させる方式です。
- 仕組み:官公庁から直接「指名通知」が届いた企業だけが、入札に参加できます。
- 特徴:専門性が極めて高い業務や、不特定多数に参加させると事務手続きが膨大になりすぎる場合に採用されます。
- メリット:ライバルが数社(おおむね数社〜10社程度)に限定されるため、一般競争入札に比べて落札率が飛躍的に高まります。また、指名されること自体が「行政からの信頼の証」とも言えます。
- デメリット:指名を受けるためには、過去の実績や「格付け(ランク)」が重要視されるため、新規参入直後の企業にはハードルが高い傾向にあります。
随意契約(入札によらない契約方法)
「随契(ずいけい)」とも呼ばれます。入札による競争を行わず、官公庁が特定の1社を選んで直接契約を結ぶ、例外的な方式です。
「競争がないのは不公平では?」と思われるかもしれませんが、談合等の不正が起きないように適用条件が法律で細かく規定されています。
主なケースは、以下のとおりです。
- 特命随意契約:代替が出来ない特許や技術を有する、あるいはシステムを開発した会社への保守など、競争入札に適さない場合
- 少額随意契約:契約金額が少額で、入札の手続きを踏むよりも直接買ったほうが効率的な場合。
- 緊急の必要:災害時の復旧作業など、入札公告を出している余裕がない場合。
ただし特命随意契約を除き、随意契約であっても、公平性を保つために、多くの機関では、複数見積やオープンカウンター等で競争性を確保しています。
入札の原則は一般競争入札
日本の公共調達制度において、最も基本的かつ優先されるべきと定められているのが一般競争入札です。
なぜ、手間のかかる公告や審査を経てまでこの方式が徹底されているのでしょうか。そこには、国民の税金を適切に運用するための「3つの大原則」があります。
- 公平性の確保:特定の業者との癒着や談合を防ぎ、公平な競争環境を保つため。
- 透明性の向上:どのような条件で、誰が、いくらで落札したのかを公開し、不正の余地をなくすため。
- 経済性の追求:広く競争を促すことで、税金を最も効率的に活用できる(=良質なサービスを適正価格で提供できる)パートナーを選定するため。
会計法第29条の3および地方自治法第234条においても、契約は原則として競争入札によるべき旨が定められており、指名競争入札や随意契約は、あくまで「一般競争入札では目的が達成できない場合」に限られた例外措置に過ぎません。
一般競争入札の主な種類

「誰でも参加できる」のが一般競争入札の原則ですが、実務上は、案件の性質に合わせて「通常の一般競争入札」と「制限付き一般競争入札」の2つに使い分けられています。
特に後者の「制限付き」は、一見すると参入障壁が高そうに見えますが、実は、条件に合致する企業にとっては、強力なライバルを排除できるチャンスでもあります。
通常の一般競争入札
この方式は、原則として「その案件を公告した機関の入札参加資格」を持っていれば、規模や実績に関わらず参加できる方式です。ただし、参加できる「範囲」は、取得した資格によって異なります。
国の案件の場合、「全省庁統一資格」があれば、省庁の案件に応札可能です。ただし、実際に参加できる案件は、競争参加地域、資格の等級区分、営業品目などの条件によって異なります。
自治体の案件では、案件を出す自治体(都道府県・市区町村)ごとの入札参加資格が必要です。「資格さえあればどこでも」ではなく、狙いたい自治体ごとの資格をあらかじめ取得しておくことが、参加の絶対条件となります。
主な案件例は、以下のとおりです。
- 既製品のパソコンや事務用品の大量購入
- 仕様が完全に固定された定型的な作業委託(データ入力、単純な清掃など)
- 特殊な技術を必要としない配送業務
門戸が広いため、価格のみに依存した受注競争になりやすいのが難点です。一方で、入札のやり方を学ぶための第一歩としては最適です。
制限付き一般競争入札
誰でもOKにしてしまうと、落札後に「遠方すぎてトラブル対応に時間がかかる」「業務を完遂する実力が不足していた」といった事態を招き、公共サービスが停滞するリスクがあります。これを防ぐため、あらかじめ特定の条件(制限)をクリアした企業だけに参加を絞り込む方式です。
具体的には、以下のような「制限」がよく見られます。
- 地域制限(本店・営業所の所在地):「〇〇市内に本店があること」といった条件です。これは、災害時の迅速な駆けつけや、地元の雇用・経済を守るという意図があります。地域密着型の企業にとっては、大手企業を抑えて受注できる絶好の機会です。
- 実績制限(同種業務の経験):「過去5年以内に、同規模以上の業務を元請けとして2件以上完了していること」といった条件です。品質管理の観点からも、業務の確実性を担保するための重要なフィルターとなります。
- 格付け(ランク)制限:入札参加資格の申請時に決定される「A・B・C」などのランクによる制限です。「本案件はBランク以上の企業のみ」とすることで、会社の規模や財務状況に見合った適切な発注が行われます。
新規参入の段階では、「実績制限」が一番の壁に感じるかもしれません。しかし、自治体によっては、小規模な案件にはあえて実績制限を設けないケースもあります。
まずは制限のゆるい案件で1つ実績を作り、その実績を武器に、次は制限のある高単価な案件へステップアップしていくのが、官公庁ビジネスを軌道に乗せる方法になります。
指名競争入札の主な種類

指名競争入札は、官公庁が信頼できると判断した企業をあらかじめ絞り込み、その数社で競争させる方式です。誰でも参加できる一般競争入札とは異なり、官公庁からの信頼が参加のチケットとなります。
通常の指名競争入札
官公庁が保有する「入札参加資格者名簿」の中から、案件にふさわしい業者を選び、直接「指名通知」を送る方式です。
- 選定の基準:過去の施工実績、事故の有無、経営状態、そして「格付け(ランク)」などが総合的に判断されます。
- 実務のポイント:指名されるためには、まずは名簿に登録されていることが大前提です。その上で、日頃から誠実な履行を積み重ね、発注機関内での評価(客観点・主観点)を高めておく必要があります。
公募型指名競争入札
相手からの指名を待つのではなく、企業側から「この案件に参加したい」と手を挙げる(=参加希望を出す)方式です。
- 仕組み:官公庁が案件を公募し、希望する企業は技術力や実績を証明する資料を提出します。官公庁側はその資料を審査し、条件を満たした企業を改めて「指名」します。
- チャンスの広がり:通常の指名競争に比べ、新規参入でも特定の技術や熱意がある企業が選ばれる可能性が高いのが特徴です。
- メリット:自社の強みを企画書や技術提案書で直接アピールできるため、実績が少なくても評価される可能性があります。
指名競争入札はライバルが少ない分、落札率が高い案件です。しかし、指名されるためには「この会社なら安心して任せられる」というエビデンス(証拠)が求められます。
品質管理の現場でも「エビデンス」が全てであるように、入札の世界でも小さな一般競争入札での完遂実績やミスのない丁寧な書類作成が、将来の「指名」へと繋がる評価材料になります。
随意契約について

随意契約は入札による競争を行わない例外的な方式ですが、その中身は目的や金額によっていくつかに分類されます。自社の状況に応じて、どのような随意契約が関係しやすいのかを整理しておきましょう。
随意契約の主な種類
特命随意契約
特定の1社をあらかじめ指定して契約する方式です。官公庁が「この業務は貴社にしか頼めない」と判断した場合に成立します。
主に、唯一無二の特許技術を持っている、その企業しか扱えない特殊な機材がある、あるいは災害時の緊急対応など、競争に付すことが不合理な場合などに用いられます。ハードルは高いものの、自社にしか提供できない技術や体制がある場合は、価格競争以外の強みが評価されやすい契約形態です。
少額随意契約
契約金額が一定の基準以下である場合に適用される方式です。
金額の上限は発注機関によって異なり、例えば国(各省庁)の場合は物品購入300万円以下、役務契約200万円以下が目安とされています。
地方自治体の場合は、地方自治法施行令第167条の2に基づき、各自治体が規則で定めており、自治体ごとに異なるため、参入を検討している自治体の契約規則を個別に確認することをおすすめします。
随意契約の詳細は「随意契約の条件とは?入札との違いや認められる種類、提案のコツを解説」をご参照ください。
随意契約でよく使われる実務上の方法
見積もり合わせ
選定した数社に対して見積書の提出を依頼し、最も有利な条件(基本は最低価格)を提示した企業と契約する方式です。
「指名」に近い形ですが、入札ほど厳格な手続きを必要としません。過去の取引実績や対応の丁寧さが、次回以降の見積依頼につながることもあります。
オープンカウンター方式
見積もり合わせをさらに公開型にした仕組みです。官公庁側が業者を指定するのではなく、案件をホームページ等に掲示し、期限までに見積書を提出した企業の中から選定します。実績がなくても、見積書さえ出せば参加できるため、コネクションのない新規企業にとって、公共実績を作れるチャンスです。
企画競争/プロポーザル方式
価格だけでは測れない「知恵」や「ノウハウ」を評価して契約相手を決める方式です。
随意契約で用いられることもありますが、詳しくは後述します。
競争入札・随意契約での落札者・契約相手の決め方

入札に参加する以上、避けて通れないのが「どうすれば選ばれるのか」という評価基準の理解です。近年の公共調達では、単に「安い」だけではなく、良質なサービスを、確実かつ継続的に提供できるかという品質面が厳しく問われるようになっています。
主な決定方式は、以下の3つに分類されます。
価格で決める(最低価格落札方式)
あらかじめ官公庁側が決めた予定価格の範囲内で、最も低い価格を提示した企業が自動的に落札者となる、シンプルな方式です。
主な案件例は以下のようなものが挙げられます。
- 既製品(事務用品、家電など)の購入
- 仕様が固定された単純作業(定期清掃、警備、草刈りなど)
この方式では、過去の入札情報や落札結果を確認し、類似案件の価格帯や競争状況を把握したうえで、適切な応札価格を見極めることが重要です。単に安ければ良いわけではありません。自治体や省庁が設定した基準よりも極端に低い価格で応札すると、以下のようなリスクが発生します。
- 低入札価格調査による履行能力の疑い
- 最低制限価格による即失格
重要なのは、過去の入札結果を参考にしながら、妥当な価格帯を見極めて応札することです。
価格+品質で決める(総合評価落札方式)
「入札価格」と「技術提案(品質)」の両方を数値化し、その合計点(総合評価点)が最も高い企業を落札者とする方式です。
主な案件例は以下のようなものが挙げられます。
- 複雑な建設工事
- 専門的な役務(システム運用、調査研究など)
勝負のポイントは、安ければ勝てるわけではありません。たとえ他社より価格が高くても、優れた技術提案や地域貢献度、SDGsへの取り組みなどの加点項目で逆転することが可能です。
加点要素の例としては、ワークライフバランスへの取り組み、地元の若手・女性技術者の登用、独自の品質保証体制などがあります。
提案内容で決める(プロポーザル方式)
主に高度な専門性や創造性が求められる業務で採用されます。価格は参考程度(または上限額が設定されているだけ)で、「誰が、どのような手法で課題を解決してくれるか」という提案内容そのものを審査して契約相手を選びます。
主な案件例は以下のようなものが挙げられます。
- デザイン・広報・イベント企画
- 経営コンサルティング・調査業務
- システムの導入・活用支援
発注者の抱える課題を深く理解し、自社ならではの解決策を提示する高い提案力が欠かせません。価格競争に巻き込まれにくいため、自社の専門性を活かして正当な利益を確保したい企業が注力すべき方式と言えます。
自社が「価格競争」に強いのか、それとも「提案(品質)」に強いのかによって、検討しやすい方式は全く異なります。実績の少ないうちは、まず最低価格落札方式で実績の数を稼ぎ、徐々に自社の専門性を活かせる「総合評価」や「プロポーザル」へシフトしていく方法もあります。
入札参加者が知っておくべきポイント

入札に参加する際、単に「勝てそうか」だけでなく、その方式特有のメリットと、裏に隠れたデメリット(リスク)を正しく理解しておくことが重要です。自社のリソースと照らし合わせながら、最適な方法を選びましょう。
一般競争入札:公平なチャンスと「価格勝負」の現実
最も門戸が広く、新規参入企業が最初に取り組みやすい方式です。
メリットは、門戸の広さと公平性です。特別なコネクションや過去の実績がなくても、参加資格さえあれば誰でも挑戦できます。中小企業や新規参入企業にとって、参加しやすい方式です。
デメリットは、競争相手の多さと利益圧縮のリスクとなります。参加制限が少ない分、競争相手が非常に多くなりがちです。最終的には「1円でも安い企業」が選ばれる価格勝負になりやすく、落札できたとしても利益が大幅に圧縮されるリスクを抱えることになります。
指名競争入札:高い落札率と「関係構築」の壁
官公庁から選ばれた企業だけで競う、クローズドな方式です。
メリットは、限定されたライバルと高い安定性です。参加できる企業が数社に絞られているため、一般競争入札に比べて落札できる確率が高まります。
デメリットは、指名を受けるための信頼関係です。そもそも官公庁から「指名」されなければ参加対象になりません。そのためには、日頃から小規模な案件で実績を積み、官公庁の担当者に自社の履行能力を認めてもらうという、地道な関係構築が重要になります。
特命随意契約:圧倒的な「技術力」と「独自性」
競争なしで特定の1社と契約を結ぶ、極めて戦略的な方式です。
メリットは、確実な受注と専門性の評価です。競合他社との競争がないため、選定されれば確実に受注できます。自社の強みを最大限に活かした契約が可能です。
デメリットは、他社の追随を許さないハードルが必要なことです。他社ではなく、なぜ貴社なのかという明確な理由が求められます。特許を持っている、あるいはその企業にしかできない高度な技術力や独自性が証明できなければ、選定の対象にはなりません。
少額随意契約:地道な「関係性」と「価格」のバランス
一定金額以下の案件において、見積もり合わせなどで契約相手を決める方式です。
メリットは、スピーディに契約が行える点です。入札の手続きが簡略化されるため、企業だけでなく、自治体や省庁にとっても効率よく契約を進めることができます。
デメリットは、信頼とコストパフォーマンスの両立です。基本的には数社からの見積もり合わせ(相見積もり)となるため、納得感のある価格提示が必要です。また、過去の取引を通じた良好な関係性がある企業が優先的に声をかけられる傾向にあります。
企画競争・プロポーザル:価格を超えた「提案力」
価格よりも企画・業務遂行力が評価される、クリエイティブな方式です。
メリットは、付加価値による差別化と適正利益です。価格のみの競争を回避し、自社のノウハウを正当に評価してもらえます。安売りをする必要がないため、適正な利益を確保しやすいのが最大の特徴です。
デメリットは、膨大な準備コストです。魅力的な提案書を作成するために、多くの時間と人手を割く必要があります。他社を圧倒する提案力がなければ、準備にかけたコストが無駄になるという営業リスクも伴います。
参考:いつでも見れる!オンデマンド配信
「実践に活かせる!プロポーザル入門編
ー企画書の作り方ー」
本セミナーでは、プロポーザル入札における企画書づくりのポイントについてご紹介します。
入札に参加するには?

入札の仕組みを理解しても、そのままでは案件に応札することはできません。官公庁ビジネスを始めるための絶対条件であり、最初のハードルとなるのが「入札参加資格」の取得です。
入札参加資格とは、企業が官公庁と取引をするための許可証のようなものです。「税金を滞納していないか」「経営状態は健全か」「過去に不正を働いていないか」といった項目を官公庁側が事前に審査し、それをクリアした企業だけが「入札に参加する権利」を与えられます。
この資格がない状態では、どんなに優れた提案書を作っても、門前払いです。
取得すべき2つの主要な資格は、全省庁統一資格(国の案件)と自治体資格(都道府県・市区町村の案件)です。自社が狙いたい案件(ターゲット)に合わせて取得しましょう。
なお、資格取得の流れや申請時期、必要書類の詳細は「入札参加資格とは?種類・等級・申請の流れと『まず取るべき資格』の決め方」で解説しています。
全省庁統一資格(国の案件)
全省庁統一資格は、国の機関やその出先機関の物品・役務系案件で使う共通資格です。希望する競争参加地域内で、各省庁の調達機関において利用できますが、実際に参加できる案件は、資格の等級区分、営業品目などの条件によって異なります。
自治体資格(都道府県・市区町村の案件)
都道府県や市役所、町村役場などが発注する案件に参加するための資格です。自治体ごとに個別の申請が必要なため、「まずは地元の市役所から」という場合は、その自治体の募集要項を確認しなければなりません。
特に、「審査時期」と「有効期限」は、スケジュール管理と同様に、重要なポイントです。
- 申請はいつでもできるわけではない:多くの自治体では、1〜2年に一度「定期受付」という期間を設けています。この期間を逃すと「随時受付」まで待たされることになり、参加できる時期が数ヶ月遅れるリスクがあります。
- 有効期限の管理:資格には通常2〜3年の有効期限があります。更新を忘れると、進行中の案件があっても参加資格を失ってしまうため、社内での期限管理が求められます。
また、資格を取得する際、企業の経営規模や実績に基づいて「A・B・C・D」といった格付け(ランク)がなされます。「1億円以上の大型案件はAランク企業のみ」「1,000万円以下の案件はCランク企業のみ」というように、ランクによって参加できる案件が決まるため、自社がどのポジションで戦うのが最も有利かを戦略的に考える必要があります。
よくある質問

制度や種類を理解したら、次は「実践」です。初めて参入する企業が迷いやすいポイントを、Q&A形式で深掘りして解説します。
入札にはどうしたら参加できますか?
まずは「入札参加資格審査申請」を行い、自治体や国の「名簿」に登録されることが必須です。
前述の通り、資格は大きく分けて2種類あります。自社の営業戦略に合わせて、どちらから取得するかを決めましょう。
- 全省庁統一資格:国の機関(省庁)やその出先機関の物品・役務系案件を狙うなら、まず検討したい資格です。複数の省庁で共通して使える資格のため、広く国の案件を探したい企業には便利です。ただし、実際に参加できる案件は、競争参加地域や資格の等級区分、営業品目などの条件によって異なります。
- 自治体資格:各都道府県や市区町村の案件がターゲットなら、それぞれの自治体へ個別に申請します。例えば同じ県内でも違う市区町村の両方を狙う場合は、それぞれに申請書を出す必要があります。
申請には、納税証明書や登記簿謄本、財務諸表など準備に時間のかかる書類が多く、そもそも入札参加資格を取得していなければ案件には応募できません。公告が出てから準備を始めても間に合わないことがあるため、狙いたい発注先の資格申請は早めに進めておくことが重要です。
入札情報はどこで探したらいいですか?
公式の公開システムや、効率化のための民間ツールを活用しましょう。
案件は日々、膨大な数が公示されています。漏れなくチェックするには以下の場所を確認します。
- 国の案件:官報や、インターネット上の「調達ポータル」で検索できます。
- 自治体の案件:各自治体の公式ホームページ内に「入札・契約」という項目があり、そこで公告PDFなどがアップされることが多いです。
- 例)東京都 入札情報サービス
- 民間検索サービス:毎日数十のサイトを見回るのは非効率です。最近では、入札情報をキーワード一つで一括検索・メール通知してくれる民間ポータルサイトを活用して、情報収集することも可能です。
例)入札情報速報サービスNJSS
指名競争入札や随意契約に参加するにはどうしたらいいですか?
「実績」と「信頼」という無形の資産を積み上げることが唯一の道です。
これら「指名・随契」を獲得するには、発注担当者に「この会社なら任せられる」と確信させる材料が必要です。
- 実証実験やトライアル事業への参画:近年、新しいサービスの導入前に実証実験(プロモーション)やテスト導入を募集しています。こうした機会を通じて、自社にしかないサービスや技術を実際に活用してもらい、会社ならではの価値を直接認識してもらうことが、将来的な随意契約(特命随契など)への足がかりとなります。
- 一般競争入札で「行政との取引実績」を作る:一つでも「公共案件の完遂実績」がある企業は、官公庁内での評価(格付け点)が上がります。この実績が、将来的な「指名」に繋がります。
- 担当者に自社の「強み」を正しく認識してもらう:名簿登録時の申請書類や、日々の業務を通じて、自社にしかない独自技術やサポート体制をアピールしましょう。
まとめ

官公庁入札は、仕組みを正しく理解すれば、新規参入の企業にとっても大きなビジネスチャンスとなります。最後に、本記事の要点を振り返ります。
- 「一般競争入札」から:透明性が高く、資格さえあれば実績が少なくても平等に挑戦できます。
- 「制限」を味方につける:地域や実績の制限は、条件に合う企業にとっては競合が減るチャンスです。
- 「提案力」で勝負する:総合評価やプロポーザル方式を選べば、価格以外の強みを評価してもらいやすい傾向があります。
- 実績が次の「指名」を呼ぶ:小さな案件で誠実に実績を積むことが、将来の優良案件(指名・随契)へつながっていきます。
官公庁との取引実績は、社会的信用に直結します。まずは参加したい自治体や省庁の「入札参加資格」を取得し、まずは対象となる案件や資格要件を確認するとよいでしょう。
この記事でご紹介したような、自治体ビジネスに役立つ実務ノウハウを、メルマガで定期的にお届けしています。まずは情報収集から始めて見ませんか?
株式会社ジチタイワークスでは、これまで培ってきた自治体ノウハウ・ネットワークのもと、自治体向けプロモーションサービスをご提供しています。自社に合う自治体へのアプローチ方法がわからない、自治体営業をしているが思うように上手くいかないなど、自治体営業にお困り事がありましたら、いつでもご連絡ください。
この記事を書いた人:自治体クリップ編集部
ジチタイワークスが運営する企業向けメディア『自治体クリップ』の編集部です。予算制度や提案の進め方など、企業が自治体と連携するうえで役に立つ情報を分かりやすくお届けします。
