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【#2/2 セミナーレポート】自治体から選ばれる企業になる!説得力のある提案でビジネス拡大を狙え


こちらの記事はパート2の内容となっております。最初から読みたい方は、下記の前回の記事よりご覧ください。
※本記事は2024年12月時点の内容となります。

テックラボ_ジチワク中村さん_プロフ用

株式会社ジチタイワークス
ビジネス開発部 中村 公平(自治体職員)
2018年、鹿児島県出水市役所入庁。保健福祉部介護保険係に配属され、2年間窓口業務を経験。
その後政策経営部財政係に異動となり、5年間在籍。教育費以外の予算費目を全て担当する。
人材交流のため、株式会社ジチタイワークスへ出向中。(2024年3月末まで)

目次

● 予算編成のスケジュールとその重要性
● 予算編成に関わる組織とその役割
● 予算獲得のための効果的なアプローチ
● 補助金の活用と歳出削減の工夫
● Q&A

予算編成のスケジュールとその重要性

予算編成は、自治体における財政管理の中でも非常に重要なプロセスであり、通常は議会の時期に合わせて進められます。自治体の多くでは、6月、9月、12月、3月に議会が開かれ、これに対応して補正予算書が作成されます。補正予算は、当初の予算計画に対する修正や追加が必要となった場合に、議会で承認を得て執行されます。

6月補正予算:
国や県の補助金に紐づく事業の予算が追加されます。4月の中旬ごろに前年度の補助申請に基づいて内示が出て、その内示に応じて6月議会で予算要求をして事業を通す流れになります。

9月補正予算:
長雨や台風など、災害が多い時期になりますので、特に災害対策やその影響に対する予算が多く計上される傾向があります。

12月補正予算:
ここでも、国や県に紐づく事業の予算が追加されます。また、年度末に向け決算見込みも見えてくるタイミングですので、それに伴う追加予算の調整等が行われます。

3月補正予算:
国の追加補正が12月~1月に発表されますので、それに応じて追加の予算が組まれます。事業費が確定しますので、その調整もこのタイミングで行われます。

次年度当初予算:
10月から編成が始まります。1月には次年度の予算書が完成し、予算編成が一通り終わるという流れになりますが、この過程で各部門がどのような提案を行い、どのように調整するかを把握しておくことが重要です。

予算編成に関わる組織とその役割

予算編成は、自治体内のさまざまな組織が関与しながら進行します。まず、各部門から予算に関連する情報が財政課に集められ、財政課はそれを取りまとめて、最終的には市長や教育長に報告します。自治体の組織は通常、総務部、企画部、福祉部、教育部、商工部、建設部など、いくつかの部門に分かれています。それぞれの担当者が、自身の所管する分野での必要な予算を見積もり、財政課に提出します。

新規事業の場合、毎月開催されている政策審議会で事業の必要性や効果について検討され、そこで取り組むべきとなった場合のみ、予算の申請が可能になります。事業に取り組むことが決定すると、そこから見積依頼、予算要求資料の作成、財務会計システムへの入力等の作業を行います。この予算要求資料を基に各部門と財政課との間でヒアリングが行われます。このヒアリングでは、事業の目的や規模、費用対効果などが議論され、予算要求が妥当であるかどうかが判断されます。
※審議会・委員会などは、地方自治法第138条の4第3項で規定する附属機関で、地方公共団体の事務の審査・審議・調査等を行う機関として定められています。

予算獲得のための効果的なアプローチ

予算を獲得するためには、いくつかの効果的な戦略があります。まず、事業効果を具体的に示すことが重要です。原課の視点として、住民や事業者、議員の期待に応える形で予算要求を行うことが求められます。また、予算要求等にあたって資料を作成するのは基本的に係長になりますが、業務が忙しくなかなか手が回らないというのが現状です。その他、どこの自治体でも共通して、十分な予算が確保できないといった課題があります。
そのため、事業の成果が明確に予算に見合うものであることを示す必要があり、事業計画において具体的な効果や成果指標の設定が求められます。たとえば、窓口業務の効率化や、公共サービスの提供にかかる時間を短縮することができることを説明すると、財政課や原課もその事業に対して前向きに予算を付けやすくなります。

また、他の自治体での成功事例を参考にすることも有効です。似たような事業が他の地域で成功を収めたという実績がある場合、その効果やメリットを事例として提示することで、予算獲得の説得力が増します。さらに、住民や地域社会に対するアピールポイントも重要です。住民のニーズに応え、地域全体の利益につながるような事業であることを強調することで、議員や市長の支持を得やすくなります。

一方で、過度な営業や自己主張は逆効果となる場合があるため、慎重な対応が必要です。飛び込み営業は自治体担当者への負担となる可能性が高く、個人的にはあまり効果が期待できない手法だと思います。財政課や市長とのコミュニケーションを円滑に進め、必要な情報を適切に提供すること、いかに自治体職員の負担を軽減できるか?といった視点で提案を持っていくことをお勧めします。

補助金の活用と歳出削減の工夫

予算編成において、国や県からの補助金を活用することは非常に効果的な手段です。先述の通り、どこの自治体も十分に事業の予算を確保できないという課題があります。補助金は、特定の事業やプロジェクトに対して与えられるため、自治体が自らの財源だけで全てを賄う必要がありません。そのため、国や県が提供する補助金の情報を常に把握し、これを積極的に活用することが事業導入への近道になります。

また、歳出削減のための工夫も求められます。歳出削減は、限られた予算を効率的に活用するために不可欠な要素です。たとえば、既存事業の見直しや業務の効率化を進めることで、不要となった経費を削減し、新規事業や重点施策に予算を充てることができます。人件費の削減や外部委託の見直し、業務フローの簡素化など、具体的なコスト削減策を講じることが重要です。

予算編成において、市長の方針や公約が大きな影響を与えることは言うまでもありません。市長が掲げる施策や公約は、自治体全体の政策方針に直結し、それが優先的に予算にも反映されます。そのため、市長が特に重視する分野や施策については、その意向を十分に理解し、提案を行うことで自治体職員に寄り添うことができます。

Q&A

Q1.担当課から申請される予算要求はどのような内容か?

予算要求はすべてシステム上で管理しています。基本的には費目(総務費・土木費など)が書かれていて、次に予算要求金額、そして事業の概要について記載します。

Q2.担当課からの予算申請時に特に注視しているポイントは?

基本的な誤りがないか?という部分はもちろんのこと、その他で一番注視するのは費用対効果の部分です。当年度の費用だけでなくランニングコストがどれだけかかってくるのか、という部分もしっかり確認します。

Q3.予算申請時に「これは文句のつけようがない」と感じるものは?

既存事業を廃止する代わりに新規事業に取り組ませてほしいという内容で説明に来られると、文句がつけられないな、と思います。今の事業より効果が高い、手間がかからないといった提案を持ってきていただけると自治体職員としてはうれしいです。

Q4.自治体に提供する資料の中で押さえておくべきポイントは?

重複する内容になりますが、費用対効果が明確にわかるもの、自治体での導入実績(特に提案先の近隣自治体・同規模自治体での実績)があるととても参考になります。どうしても前例踏襲型の傾向が強いので、説明の際にうまくいっている事例があると承認がおりやすいです。

Q5.予算編成を行う期間では新しい提案をしても無駄なのか?

基本的には無駄なことはありません。議会は年に4回ありそのタイミングで予算要求もできますし、数は少ないですが他の予算からの流用という形で予算を捻出して事業を実施することもあります。また、新規事業の導入に関する審議会は毎月実施されており、そこでOKが出た事業のみ予算申請が可能になります。自治体の取り組みはどうしても長くかかってしまうため、早めにアプローチしていただいて、伴走しながら進めていただければと思います。

Q6.補助金について、一般の公開情報以外で自治体のみが閲覧できるものはあるか?

一部、そういった情報をまとめている団体もありますが、基本的には新しい補助金ができた際に、国や県から随時情報提供があるので、そういったものをためておいて把握しています。財政課では、概算予算の要求で規模感がどれくらいになるかなどをみて、市全体の予算の調整をどのようにするのか?を考えています。

この記事では、営業を受ける自治体職員側の視点で、予算編成の基本の流れやアプローチのポイントについてご紹介しました。自治体へ提案を行う際には、ぜひ今回の記事を参考にしていただき、職員さんとより良い関係性を築いていただければと思います。

お問い合わせ先

株式会社ジチタイワークス 担当:林・諸藤
TEL:092-716-1480/Email:btog@zaigenkakuho.com

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