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  1. 自治体へのアプローチ方法の鉄則

自治体へのアプローチ方法の鉄則

自治体へのアプローチ方法の鉄則

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

前回は、自治体内部でどのように民間ビジネスの元手である「予算」が確保されるのかを見ていきました。
今回は、いよいよ地方自治体へのアプローチ、特に訪問する前の準備からアポイントを取るときのちょっとしたコツをお送りいたします。

あらかじめ進めておきたい「事業者登録」

さて、地方自治体が発注先の企業を募ったら100社を超える応募が来てしまった!なんてことが起きたらどうなるでしょう。これでは入札やプロポーザルといった選定プロセスが整っていても、最終的に1社に決めるのに何ヶ月もかかってしまいます。

そこで自治体はまず「エントリーしてね」という手続きを用意しています。そう、就活で志望する企業にエントリーシートを書いて提出するのと同じ。自治体は仕事をしたいと希望する企業にまずはエントリーしてもらい、入札やプロポーザルの応募条件としています。要は発注候補企業のリスト作りのようなものでしょうか。

このエントリーにあたる手続きが「事業者登録」と呼ばれるもの。入札参加資格申請などとも呼ばれます。お目当ての自治体で事業者登録をしておけば、入札やプロポーザルへの参加のスタートラインに立てるというわけです。

事業者登録の手続きは自治体によって異なります。電子申請でネットから登録できる自治体もあれば、昔ながらの紙の申請用紙で受け付けているところも。いずれにせよお目当ての自治体の公式ウェブサイトで手続きの方法や提出資料を確認して進めてみてください。

なお、新規性の高い事業については入札やプロポーザルの応募資格に事業者登録が入っていない場合もあります。新しい事業に取り組もうとしたとき、リストの中の企業が必ずしもその事業に必要な技術を持っているとは限らないからです。

自治体にアプローチする前に何を準備したらいい?

事業者登録を進めつつお目当ての自治体に、さあ訪問。その前に準備すべきことは何でしょうか。
大きくは次の3点です。

①情報収集

まずは訪問する部署にかかわらず、その自治体の首長は誰か、人口は何人か、主要産業はどのようなものかなどの基本情報を押さえておきましょう。これは公式ウェブサイトで拾えるレベルで充分。訪問した時の職員とのコミュニケーションに役立ちます。

特に自治体の人口は必ず頭に入れておきましょう。理由としては、自治体は人口規模によって財源の大きさも違い、それに伴い展開できる事業の規模や種類も異なるからです。

②持参する資料の準備

ほとんどの会社が会社概要や製品・サービスカタログを持っていきますよね。もちろん会社を知っていただくためには必要ですが、ともすれば会社概要や製品のアピールで時間切れ。結果的に自社の自己紹介で終わってしまうことも。

まず最初のステップは、自社の製品やサービスの採用を最終的にしてもらうための情報収集と位置付けましょう。そうすると会社概要や製品カタログだけではなく、その部署がどんな地域課題を抱えていて、それに対して何をどのように進めているのか、そうした状況やニーズをしっかりお伺いすることが最初のアクション。そうしたお伺い事項に漏れ抜けがないよう、ヒアリングのチェックリストなどを準備しておくといいでしょう。

③ヒアリング項目のリストアップ

そうすると、何をお伺いすればいいかヒアリング項目のリストアップが重要になってきますよね。「何かお困りごとはありませんか?」だけでは答える方も「色々です」止まりのふわっとした回答をせざるを得ません。ここは可能な限り具体的な項目を設ける必要があります。

そんな時に役に立つのが「行政計画」。自治体は長期的なまちづくりの方向性を示した「総合計画」そしてそれに紐づく各部門の中期計画を示した「個別計画」を作っています。この計画の進捗に合わせて毎年必要な事業が決まり予算が確保されて執行というサイクルになっているので、その部署の事業や課題感を確認する元ネタとなります。

例えば子育て支援だったら「次世代育成支援計画」、観光振興なら「観光振興プラン」、防災なら「地域防災計画」など。関連する行政計画に必ず当たっておき、自社の製品やサービスに関係する事業への質問はヒアリング項目としてリストアップしておきましょう。チェックリストのフォーマットを作って部署内で共有し、記入して使えるようにしておくと漏れ抜けなく効果的です。

ちょっと不安な自治体へのアポ入れ。うまくアポを取るコツは?

準備ができたら、さあアポイントを取りましょう。
おすすめなのは電話を入れること。ここで担当者の心によぎるのは「ガチャ切り」のトラウマ。初めて訪問する民間企業に電話アポを入れると、多くの場合はガチャ切りされて心が凹みますよね。

ご安心ください。自治体の場合はその心配は一切無用。自治体側は地域住民や企業からの問い合わせに対してはまずは真摯に対応、というルールになっています。ガチャ切りなどしたら大苦情になってしまいますよね。ですから、どんなに聞き慣れない名称の会社であっても、まず話は聞いてくれます。

ここで、訪問につながりやすいアポイントトークのちょっとしたコツを共有させてください。

①自治体が開示している情報にフック

自治体は地域のあらゆる情報を地域住民のために開示しています。情報を開示しているからには、その情報に関する説明責任が生じますよね。だから、開示している資料の内容をぜひお伺いしたい、という申し出には自治体側としては対応するのが基本。

例えば「観光振興プラン」に「インバウンド観光客の誘致に重点的に取り組みます」等と書いてある場合、「重点的な取り組みを詳しく伺いたい」という申し出には説明責任があるわけです。いろいろな開示情報があるので、その中で自社の製品やサービスに関係するところを見出し、そこをフックに情報交換を目的としてアポイントを入れてみましょう。

②業界の最新情報を持っていることを伝える

自治体は特に年度の前半は次年度事業のネタ探しや情報収集に力を入れる時期。その時期に「業界の最新の情報を持っているので一度情報交換させてください」という申し出は迷惑どころか逆に渡りに船です。自社の製品やサービスの事業領域の最新の動向を集めておいてアポを取りましょう。

③他都市の事例をお持ちしますと申し出る

自治体は、とにかく他自治体の事例を重視します。他の自治体でうまくいっている実績は自分のところの自治体で予算を取って進める時に財政担当や議会、その他のステイクホルダーへの説得材料となるものです。そんな他都市の事例を持っている民間企業の話は時間をとってでも聞きたい、となるわけです。

こうしてアポイントが取れたら、上記「自治体にアプローチする前に何を準備したらいい?」の①〜③の資料や情報は必ず「紙」にして持っていくこと。担当職員は面談の後に必ず上司に報告します。その時に紙の資料があるとその後の決済に進みやすく、部署内を勝手に回覧されて紙が営業してくれます。また、誰でもアポイントが取れるように標準化できる部分についてはトークスクリプトを作っておくと良いでしょう。

では、メールでのアポ入れはどうでしょう。これはあまりお勧めできません。情報セキュリティなどの観点から、外部接続しているパソコンが部署に1台しかない自治体も。それも、部署の代表メールのみの受付だったりするので、内容を精査して担当者に転送というワンクッションが入ります。多くの場合営業目的のメールは地域住民や通常の事務連絡と比べると優先順位が最下位。レスポンスがとても遅くなるのは避けられず。最悪忘れられてしまうこともあったりしますので、メールは関係性ができてからにしましょう。

なお、意外に有効なのがFAX。紙がリアルに出てくるので、必ず部署内の「回覧」に回り目に留まります。

実は結構うまくいくアポなし訪問

さて、こうした電話アポもついつい自社のアピールに終始してしまい、うまくアポが取れないこともあります。決して自己紹介にならないように、自治体にとって繋がっておくとメリットがある企業だなと思わせるコミュニケーションに心がけましょう。

それでもうまくいかない時は、アポなし訪問をしてしまうのも効果的。自治体は東京都のような大きなところは別として、ほとんど建物の入場や部署に直接訪問するのに受付は必要ありません。お目当ての部署のフロアに直接訪問し、関連する事業の担当者を呼び出してもらいましょう。あまり時間は取れませんが名刺交換だけでもしておけば次に繋げることができます。

まとめ

最後にざっとおさらいです。

・事業者登録をしておく
・アポイントの準備:情報収集・持参する資料・ヒアリング項目
・アポイントのコツ:開示情報にフック・最新情報・他都市の事例
・情報は紙にして持っていく
・メールよりも電話・ファックス
・時にはアポなし訪問も効果的

いかがでしたでしょうか?自治体はお役所というイメージが強く、なんとなく電話アポには高いハードルを感じがち。今回のお話でハードルは全くの思い込みだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
自治体営業は年度当初の初動が重要。どんどん積極的に自治体にアプローチしてみてください。

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