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  1. 自治体ビジネス徹底分析! 〜観光編③ 観光振興計画を活用しよう〜

自治体ビジネス徹底分析! 〜観光編③ 観光振興計画を活用しよう〜

自治体ビジネス徹底分析! 〜観光編③ 観光振興計画を活用しよう〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

今回は行政計画の一つである「観光振興計画」の活用がテーマ。
観光関係ビジネスを展開している企業にとって、観光振興計画の確認は欠かせません。なぜ欠かせないのか、その背景や理由・読み解き方などを高知市の観光振興計画を題材としてお伝えして参ります。

観光振興計画とは

「観光振興計画」とは、地方自治体が地域の観光政策の考え方や方向性を示した計画書。多くの場合5年ごとに更新されます。計画の名称は必ずしも「観光振興計画」ではなく、「観光推進計画」「観光基本計画」「観光振興プラン」とされていることも。上位計画の「総合計画」、地方創生推進のための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に組み込まれていることもあります。

自治体は観光振興計画をどのように作るのでしょうか。「地域の観光のあり方を観光産業や住民に一言もなく役所が勝手に決めていいのか!」という声が聞こえてきそうですね。とんでもない、どんな自治体もこうした計画を決めるときには必ず地域住民の声に耳を傾けます。

例えば地域住民や外部の専門家で構成される委員会で内容を検討しながら策定を進めたり、地域住民に計画案を公開しパブリックコメントを募ったり。出来上がった計画は公式ウェブサイトなどで誰でも見られるように開示されています。皆さんのお住まいの自治体にも観光振興計画はあるはず。ぜひご覧になってみてください。

観光振興計画がなぜ要チェックなのか

この観光振興計画、なぜ自治体ビジネスを進める上で要チェックなのでしょうか。それは、観光関連の仕事は原則としてこの計画に沿って発注されるからに他なりません。計画で示されるのは、5年後の観光が振興された姿。その実現のため、計画ができた時点から5年間かけて毎年具体的施策が計画され、施策を実現させるための業務が民間企業に発注されます。つまり、この計画書を見れば「どんな観光振興施策が民間企業に発注されそうか」予測できるというわけなのです。

では、計画書のどこをどのように見ればいいのでしょうか。地方自治体が出している行政文書、たいがいページ数は多め。観光振興計画も例外ではありません。
えっこれ全部熟読するの?そう思うだけでやる気が失せてしまいますよね。大丈夫。全部熟読する必要はありません。
早速「高知市観光振興計画」を題材に、全体構成やビジネス上押さえておきたい記載ポイントを見ていきましょう。

まずは高知市公式ウェブサイトにアクセスし、「観光振興計画」をダウンロードしてください。
https://www.city.kochi.kochi.jp/site/kanko/kankoshinko-keikaku-h31-h35.html

観光振興計画の全体構成

まずは目次をご覧ください。全体が第1章から第6章までの6つのパートと巻末資料で構成されていますね。それぞれの章の趣旨とチェックポイントをざっくり解説しましょう。

第1章 本計画の基本的考え方

なぜこの計画を作ったのか、その背景事情や目的、使いみち、他の行政計画との関連性、計画の有効期間が示されています。
チェックポイントは「計画期間」。もし計画期間5年間の5年目の場合、書かれている内容は5年前に決まったもの。社会の変化が激しい昨今では状況が変わっている可能性が高いので注意が必要です。高知市の場合、2019年度(2019年4月1日)から2023年度(2024年3月31日)までの取り組みを示したもの。2020年2月現在は1年度目の終盤ですから、あと4年間はこの計画書の内容は効力を発揮します。

第2章 高知市の概況

このパートには、高知市の自然環境・気候などの地理的条件、人口・産業・文化などの社会的条件が紹介されています。
チェックポイントは「客観的データ」。高知市の今を示すグラフや数値データが多数掲載されているので、企画提案書を作成するときにこうしたデータが役立ちます。

第3章 観光をめぐる動向

国の取り組みの方向性から始まり、国内・高知県の順番で、過去5年間のデータから導き出される傾向や特徴が太枠で簡潔に示されています。特に22ページ「高知市の観光動向の総括」、24ページ「高知市観光の特徴及び取り巻く状況」は計画期間5年間の施策の基本となる部分。ここはぜひ確認しておくと良いでしょう。
チェックポイントは26ページ「高知市観光の課題整理」。この課題の部分は要チェック。高知市は、この課題解決のために民間企業と連携して様々な取り組みを進めます。ここで示された課題の解決に自社の製品やサービス・ソリューションがどう結びつくのかしっかり見極め、その先にある案件受注の可能性を確認しましょう。

第4章 高知市観光振興の基本方針

課題を踏まえて設定された「基本理念」、基本理念を踏まえて目指「基本目標」及び「成果指標」、目標の実現に向けた「基本施策」が体系的に示されています。
チェックポイントは「基本施策」と「成果指標」。高知市が観光振興で具体的に何に取り組みどんな成果を出したいかがわかります。その達成のためのサポートに自社の強みを発揮できる企業にとってはチャンスとなるでしょう。

第5章 高知市観光振興のためのアクションプラン

3つの基本施策に沿って具体的な取り組み内容がいくつも示されています。特に新しい取り組み・既存の取り組みを充実させたもの・優先的に取り組む項目が一目でわかるようになっているのは嬉しいところ。
チェックポイントは、それぞれに細かく示されている「現状・課題」と「優先的に取り組む項目」。優先的に取り組む事項が自社に関係ある領域であれば、こちらもビジネスチャンスになり得ます。

第6章 高知市観光振興の取り組み推進

計画を確実に推進するために大切なのは進行管理。既存の「事務事業評価制度」との関わりや、「高知市観光進行計画検討委員会」によるPDCAサイクルでのチェック体制などが示されています。
チェックポイントは「事務事業評価制度」。高知市役所は全ての事業効果を評価し開示する制度を運用しています。ちょっと上級技になりますが、観光振興事業の事務事業評価結果から自社が課題解決に貢献できる余地があるか見極めるのも一つの方法です。

以上が高知市観光振興計画のあらましです。他の自治体の観光振興計画も概ね同じような構成。ぜひ読み込むときの参考にしてください。

計画書の中で必ず押さえておきたいところ

さて、今までの解説をひとことで言うと「盛り沢山」。日々忙しい仕事の合間で、ポイントだけを短時間で理解する手立てが欲しいところ。実は、必ず押さえておきたいところが1カ所あります。それは「施策体系」。高知市観光振興計画でいうと31〜32ページの見開きの部分です。

今まで解説してきた基本理念からアクションプランまでの内容を体系的に図で示してありますね。これを見れば自社に関連しそうな取り組みがどこに書いてあるか一目でわかり、まずはそのページに飛んで確認するという使い方ができます。ほとんどの観光振興計画に、施策の体系は明記されています。時間のない方はまず「施策体系」を目次がわりに活用し、自社にチャンスがありそうな領域を素早く見つけ出してください。

まとめ

最後に全体をまとめてみましょう。

・観光振興計画は、自治体が5年間で取り組む観光施策に関する計画書
・記載内容は「国や自治体の観光の現状と課題」「基本理念・目標・施策」「具体的な取り組み事項」が体系的に整理されている
・どの取り組みを重視しているかがわかるようになっている
・計画の内容構成はどの自治体もほとんど同じ
・「施策の体系」を目次のように使えば自社に関係のある取り組みを見つけることができる

観光振興計画の読み解き方、いかがでしたでしょうか。さて、観光振興計画は実際にどのようにビジネスにつながっていくのでしょうか。実際の高知市のプロポーザル案件を題材に、観光振興計画を使ってどのように企画提案書を作り込んでいくのか紹介していきます。お楽しみに!

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