自治体ビジネス徹底分析! 〜防災編②〜
※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。
地方自治体から民間企業が仕事を受注するための原則。それは、「課題解決」です。
自然災害は年々激しさをます一方で、その変化に地域がなかなかついて行けていない。そこに様々な防災上の地域課題が生まれるわけです。その課題の解決のために自社の製品やサービスが役立つことを提案できれば、予算や財源の問題をクリアできれば受注に結びつきます。
都市部と地方とでは防災上の課題は異なる
では、防災に関する課題にはどのようなものがあるのでしょうか。まずは防災に関する地域課題の概要を押さえておきましょう。その上で自社製品やサービスをどのような視点で自治体にアプローチすればいいか参考にしていただければと思います。
まず押さえておきたいのは、都市部と地方とでは防災上の課題が異なるという点です。アプローチする自治体によって防災上の課題は全く異なります。
「都市部」の防災上の課題
都市部の課題は、おおむね次の3つに集約されます。
①避難行動
都市部は人口が密集しているだけに、人が大勢行き交う市街地やターミナル駅での避難行動でパニックが起こる可能性があります。また、帰宅困難者も多数発生するでしょう。また、今まではなかった場所での河川氾濫や土砂災害も頻発するように。こうした事態への対応は駅や市街地がある自治体の役割。通常からの避難行動への認知や情報共有、普及啓発が大きな課題です。
②ライフライン寸断による影響
都市部は電気・ガス・水道・交通などのインフラやライフラインが縦横無尽に張り巡らされており、日常何不自由なく便利に暮らせます。それが一度寸断されてしまうと、避難生活さえ行えなくなってしまいます。このような避難生活で求められるエネルギーの短期的な供給や避難物資の物流をどうするかも頭の痛いところです。
③避難所
都市部は避難所への避難者が一気に集中する恐れがあり、全ての人を収容できないことも懸念されます。また、自治体は災害に必要な物資を備蓄しているものですが、昨今の自然災害の深刻化により避難者が増えた場合避難者全員に行き渡る数が用意できていないことも考えられます。
「人口減少地域」での防災上の課題
一方、人口が減少し地域住民が高齢化している地方での災害では何が課題となるでしょうか。こちらも大きくは3つの課題が挙げられます。
①集落の分散
地方では集落が広域に分散しており、被災者が孤立し物資や情報がタイムリーに届かないことが懸念されます。
分散している集落を結ぶ交通インフラが寸断し、自治体職員が災害対策本部にすぐに集まれない、災害情報を提供する情報インフラも集落の隅々まで行き届いていないことが多く、情報弱者になりやすいなどがあります。
②災害発生時の体制
災害物資の受け入れ態勢を構築するだけの人員がそもそも足りず、被害の情報収集に支障をきたしたりします。自治体職員が被災することも珍しくありません。こういう時の頼みの綱が消防団員ですが、そもそも高齢化や人口減少で消防団員の人数が広域の被災をカバーできるだけ確保できていません。
③避難所の課題
公共施設の老朽化により、多くの被災者を一定期間受け入れられる機能が整っていないケースがあります。また、広域に点在しているため被災情報が所管の自治体に迅速に届かないことがあります。
あくまでも最後は自社のソリューション勝負
いかがでしたでしょうか。都市部、地方とで様々な防災上の課題がありますね。こうした課題の解決に自社の製品やサービスがどのように役立つのか。防災関係で自治体にアプローチするのであれば、まずはソリューションになるのかをしっかりと見極めて資料を作成し、自治体に話をしてみてください。
イメージがわかない場合は、自分が被災した時のことを想定し、何に困るかを考えてみましょう。例えば、被災した方が一番困るのが携帯電話の充電です。普段は当たり前のように暮らしの周りにコンセントがあり充電できますが、災害時には電気がストップ。携帯電話の充電が切れてしまうとSOSも出せませんし、Twitterで情報を発信することも、家族の安否を確認することもできなくなります。こうしたケースに大活躍するのが非常時の電源確保のソリューション。太陽光で充電できる充電器や一度に何十台もの携帯電話が充電できる機材など、こうした技術を持つメーカーが脚光を浴びたのは記憶に新しいところです。
自治体ビジネスは、全て自治体組織や地域住民がいつ、何に困るのか、何を必要とするのかからスタートすることを肝に銘じましょう。
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