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  1. ますます広がる!自治体によるクラウドファンディング事例5選

ますます広がる!自治体によるクラウドファンディング事例5選

資金調達が難しい、ある目的達成のためのプロジェクトに対し、その目的に共感する人から出来る範囲で資金を調達することで早期に該当のプロジェクトを進めることができるという仕組みがクラウドファンディングです。

昔は現場やその周辺だけでは共感者を集めることは難しかったのですが、現在ではインターネットを経由して世界中の不特定多数の人々の中から数多くの共感者を見つけることができます。

その中でも自治体が資金調達のために行うクラウドファンディングをガバメントクラウドファンディング(GCF)といいます。出資金額に対しての返礼品及び税金の控除などを行える点が、ふるさと納税と相性のよいしくみになっています。

自治体によるクラウドファンディングってどんなもの?ふるさと納税とはどう違うの?

ガバメントクラウドファンディング(GCFまたはGovernment Crowd Funding)とは自治体によるクラウドファンディングです。しくみ自体はふるさと納税と非常に似ていますが、ふるさと納税以上に資金の使途が明確な点が特徴です。

ふるさと納税の場合は「地域の福祉のために使う」など目的が若干漠然としていますが、GCFの場合はもっと具体的に「○○という催し物のために必要な資金」としてプロジェクト単位で資金調達されます。

違いとしては、クラウドファンディングの場合は資金の使途・目標金額と募集期間がしっかり表示されているのに対して、ふるさと納税の場合は募集期間も納税する年度の区切りという意味での締切はあるものの、いつからいつまでに○○円必要といった目標金額の提示がないものが多い傾向があります。

自治体のクラウドファンディング、山形市の「皆でおっきな鍋つぐっぺ!未来に繋ぐ『三代目鍋太郎』製作大作戦」

具体的な例として、山形県では「日本一の芋煮会フェスティバル」というイベントを25年間支えてきた巨大な芋煮用の鍋が経年劣化により使えなくなったことから、新しい鍋を作るための資金の一部の調達をクラウドファンディングにより行いました。期限内に目標金額以上の金額が集まり、鍋を新しく作ることができるようになりました。

元から目標金額設定は鍋製造の全額ではなく、製造資金の一部で、残りの資金は税金でまかなわれる事になっています。しかし、この資金が無ければ全額を税金でまかなわねばならないことを考えると財政困難な自治体にとっては非常にありがたい制度です。

ふるさと納税の制度と同様に、寄付をしてくれた人に対して、寄付金額に応じてイベントに関連のある物品を送ったり、税額の控除を行ったりすることで返礼します。その際は「確定申告」又は「ワンストップ特例申請」を行うことが必要です。

山形の芋煮会のイベント自体は、だんだんとメジャーになりつつあるイベントではありますが、やはりこういった費用に関しては自治体で自由かつ潤沢に捻出できるわけではありません。こういった、地域のイベント運営を息の長いものにするためにもクラウドファンディングは役立っています。

 佐賀県のガバメントクラウドファンディング、「どんな境遇の子どもたちも見捨てない!佐賀県発の『子ども救済システム』」

ふるさと納税のシステムをそのまま使用して佐賀県が行ったガバメントクラウドファンディングが、「どんな境遇の子どもたちも見捨てない!佐賀県発の『子ども救済システム』」です。近年問題になっている「子供の貧困」問題に対処するための活動資金として調達され、結果として目標期間内に目標金額以上の資金を調達することができました。

またこの試みには、自治体が行っている「子供の貧困」に対する活動自体も広く伝えることができるというメリットがあります。こういった「子供の貧困」のような一過性の物ではない社会問題に対する活動は、税金だけでは十分に対処できない状況です。

クラウドファンディングのシステムなら、一時的な資金集めのみならず、広く状況とそれに対処する自治体の活動を知ってもらうことができます。また出資者に対しても税金の控除や、返礼品といった形でお返しをすることができるので、今後もまったなしの子供の貧困問題解決に活用が期待されます。

 埼玉県深谷市、夢に向かって挑戦する障がいのある子どもたちを応援「ふっかちゃん子ども福祉基金『夢の架けはし』プロジェクト」

「ふっかちゃん子ども福祉基金『夢の架けはし』プロジェクト」は、埼玉県深谷市のゆるキャラ「ふっかちゃん」のキャラクターを活かし、全国から集まった寄付金を活用して、既存の法律や制度において支援や救済が困難な子どもたちを対象に各種支援事業を実施する目的で開設されています。地元出身のパラリンピック出場選手の競技に必要な装具の制作資金の一部に使われるなど、障がいなどの困難を抱えながらも自分の夢に向かって挑戦する子どもたちのための大きな助けになっています。

2018年に開催されたパラリンピック以降も、プロジェクトととして障がい児スポーツ助成、軽度・中等度難聴児のための補聴器購入費の補助、障がいの早期発見・早期療育開始のための心身障がい児療育経費補助、通級指導教室・特別支援教室にiPadを整備などの4つの取組を中心として障がい児への今後の継続的な支援を行うことになっています。

今後も市として、障がいのあるなしに関わらず等しく夢にチャレンジできるまちを目指し、ユニバーサルデザインのまちづくりの促進にもプロジェクトの資金は活用されます。

 「のら猫の避妊・去勢手術の支援で、猫と共生できる街へ!」大阪府島本町のふるさと納税活用の資金調達!

ふるさと納税のシステムを活用し、「のら猫の避妊・去勢手術の支援で、猫と共生できる街へ!」という目的で資金調達を目指したプロジェクトがあります。こちらは大阪府島本町が「不幸な猫を減らすために。島本町ができること。」のキャッチコピーでふるさと納税の納入先として募集したもので、従来より住民からの要望の多かった「所有者不明猫避妊・去勢手術補助金」制度を創設し、地域住民と協力のもと、のら猫の避妊・去勢手術の取組を動物愛護対策事業への寄附を募っています。

町の税金では手術費用全額を賄うことができず、ボランティアの住民の金銭負担が発生している現状があります。平成29年度より公財をもちいて個人負担なしで手術を受けさせることが可能になりました。

しかし、協力病院が町近辺にはないため対象猫の遠方への協力病院までの搬送費用が必要になっており、プロジェクトの資金は主にその移動費用にあてられるとのことです。寄付金の最低金額の設定が1万円からと高額なことも影響してか目標額には届かなかったようですが、さらに継続して地域の状況の改善につなげるためにも、今後の設定の見直しなどを求める声も町民から寄せられています。

 「めがねのまちで育った新成人の門出に、めがねのまちらしいお祝いを。『大人ファーストめがね』」で福井県鯖江市の資金調達!

「めがねのまちから、成人式にめがねのまちにふさわしい記念品を!」とのキャッチコピーで、めがねのまちとして有名な福井県鯖江市のふるさと納税活用のプロジェクトのために募集が行われました。眼鏡産業が盛んな鯖江市は、地方都市ながら国産フレームのシェア9割及び世界シェアの2割を占めています。

鯖江市出身の新成人に、その実績の凄さとふるさとへの誇りを心に刻み、かつ一人一人が鯖江の眼鏡・鯖江の魅力を全国に発信してもらい、今後の鯖江市を一緒につくっていってほしいという願いのもとに寄付金が募られました。返礼品の魅力や、めがねのまちならではの新成人に向けた前向きな内容の募集に加えて、「寄附金額を1円から自由に決められる寄附コース」という斬新なコースが選択できたことで寄付のハードルが下がり、多くの寄付金が集まりました。

どちらかと言えばクラウドファンディングというより、ふるさと納税寄りの募集をするページのシステムのためか、もともとの目標金額や募集期間がいつからいつまでだったのかが分からず、募集経過が順調だったかが不明なのが多少残念ではありますが、おおむね寄付をした市民からは好評の声が寄せられていました。

今後もふるさと納税を上手く活用した地域発展への期待が高まります。

これからの自治体によるクラウドファンディングの課題と問題解決への取り組み

山形市の芋煮イベント用の巨大鍋の資金調達、佐賀県の「子供救済システム」、埼玉県深谷市の「ふっかちゃん子ども福祉基金」は、募集期間と目標金額を掲げて募集をかける形のどちらかといえば一般的なクラウドファンディングに近いもので、返礼のシステムとしてふるさと納税の仕組みを使ったものでした。

後者の大阪府島本町の「のら猫の避妊・去勢手術の支援」の資金調達、めがねのまち福井県鯖江市の「大人ファーストめがね」のプロジェクトは目標金額の設定が分からず、クラウドファンディングというよりは、よりふるさと納税に近いです。寄付の金額設定は出来るだけ多くの人が気軽に寄付ができるように低めの金額のものも選べる設定にしておいたほうが寄付そのもののハードルが下がる傾向があります。

より多くの人に趣旨に賛同してもらえるうえ、理念も広く世間に広まりやすいという意見が目につきました。財政に多少難がある自治体でも、昔は無かったインターネットを十分に活用するという新しい制度をもちいて資金調達をすることが可能になりました。

今後もさらに地域活性化や、問題解決のためのこういった取り組みが増えたらいいですね。

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「湯~園地」の第二回開催を熱く望みます。

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