自治体ビジネス徹底分析! 〜防災編①〜
※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。
2019年は大きな自然災害に見舞われた年でした。多くの被災された方々、そしてまだ生活が復旧していない方々に心よりお見舞い申し上げます。災害は起こってからの迅速な対応が大切なのはいうまでもありません。だからこそ、災害時に住民の命や財産を守るための日頃の備えはもっと重要になります。
今回は地域の備えを担う地方自治体が防災に関してどんな対応をしているのか、また民間企業が地域防災にビジネスとしてどのように関わっているのかをご紹介します。
災害協定を結び災害時の支援に取り組む民間企業
皆さんは「災害協定」をご存知でしょうか。自然災害に見舞われた時に、自治体は短時間で様々な対応を迫られます。災害対策本部の立ち上げ、人命救助、住民への情報発信、国や自衛隊との連絡調整、避難所の構築と運用など上げていたらきりがありません。
また、自然災害の被害の範囲や影響も広範囲に及ぶようになり、自治体職員自身やご家族も被災することもある中自治体だけで乗り切るのは困難なケースも。そんな時のために備え、地方自治体は民間企業と災害協定をあらかじめ締結し、いざとなった時に民間と力を合わせて災害に対応する態勢をとっています。
少し事例をご紹介しましょう。
まず、大阪府の枚方市が締結している「災害時における天幕等資機材の供給に関する協定」。協定の相手先は、テントに特化した技術を持つ太陽工業株式会社。災害対策拠点の速やかな設置に役立つ大型テントやエアーテントを速やかに供給する協定を結んでいます。
また、被災者の生活のよりどころとなる避難所でプライバシー確保のための間仕切りも提供するという内容になっています。
▼大規模災害時に「製造したテント」を地元自治体へ供給
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000048808.html
そしてこちらは北海道長沼町公式WEBサイトの防災協定専用ページ。ヤフー株式会社や株式会社セブン・イレブン・ジャパンなど、誰もが名前を知る民間企業が災害時の強力に名乗りをあげています。
▼長沼町防災協定
https://www.maoi-net.jp/bousai01/bosai_kyoutei.htm
地域の防災にはきちんとした計画がある
一方の地方自治体、防災対策は協定を結んだ民間企業頼みかというともちろんそんなことはありません。地域の防災に関して、想定される災害などの現状分析や課題、課題を解決するための対策や動き方を「地域防災計画」として取りまとめ、開示しています。
例えば事例として、千葉市の公式WEBサイトを見てみましょう。
▼千葉市地域防災計画
https://www.city.chiba.jp/somu/kikikanri/bousaikeikaku.html
千葉市は、どの災害にも共通する内容を示した計画と、地震や風水害など災害種別ごとの計画に分けてまとめています。内容はどの計画も150ページから200ページごえで全てをここで紹介することはできませんが、例えば災害応急対策編の内容はこんな感じです。
・応急活動態勢(災害発生時の初動対応について)
・情報の収集・伝達(情報連絡体制や雨量・水位情報、被害情報をどのように収集し伝えるかなど)
・災害時の広報(報道機関への発表、協力要請などについて)
・広域連携体制(国、県、民間団体、消防機関、自衛隊への応援要請、海外からの支援の受け入れなど)
そのほかにも災害救助法の適用、消防・救急活動、警備・交通対策、避難対策、医療救護、緊急輸送体制、ライフライン施設の応急対策、生活救援対策、要配慮者(障がいを持つ方、お年寄り、外国人など)の対策、住宅対策、環境対策、教育対策、ボランティアとの連携、帰宅困難者対策など・・・全部はご紹介できませんが、どれも災害時に絶対に必要なことばかりですね。
防災を支える民間企業の仕事
さて、このように自治体が力を入れている防災計画も「行政計画」の一つ。この計画に沿って、必要な予算措置が取られ、民間企業へ仕事が発注されるという流れはその他の行政計画と変わりません。昨今では防災情報をいかに迅速に伝えるかが課題となっており、情報発信や防災無線機能のアップデート、ハザードマップの見直しに伴う仕事などが数多く発注されています。
いくつか事例をご紹介します。
大田原市防災情報伝達システム整備事業
▼大田原市防災情報伝達システム整備事業に関する公募型プロポーザルhttps://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2019041700020/
こちらの案件は、総務省による無線設備の規格変更があり、この際防災行政無線にかわる新たな防災情報伝達システムを提案してほしいというお仕事。
事業の総額上限は5億5,000万円、企画提案書で競い合うプロポーザル方式。受託したのは、株式会社NTTデータ・アイでした。
久留米市WEB版ハザードマップの導入に関わる業務委託
今までハザードマップはWEBサイトに掲載していましたが非常に使いにくく、紙媒体を全戸配布するとコストがかかりました。その課題を解決するためにハザードマップのWEB版を作成して導入の仕組みまで提案してほしいというものです。
予算は230万円、こちらも公募方のプロポーザル方式です。受託したのは大成ジオテック株式会社でした。
まとめ
防災関係の自治体ビジネスを展開しようとする企業は、まずは情報収集から。防災協定があるならどんな会社と協定を結んでいるのか、内容を確認しましょう。場合によっては一緒に連携できることもあるかもしれません。
また、地域防災計画の確認も必須事項。地域の災害について自治体がどう考え、何が課題として共有されているのかを確認することがビジネスのニーズになります。そして、発注案件のチェックも欠かせませんね。どんな仕事が発注されているのかをみておくと、他の自治体も同様の災害対策をしていることが多いので参考になるはずです。
民間企業として地域防災にビジネスとして関わることは、社会貢献そのものでもあります。利益を出しつつ社会へも貢献する自治体ビジネス防災分野、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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