BtoLGマーケティングの実務 〜民間ビジネスとちょっと違う4Pのお話〜
※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。
皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
前回のお話はマーケティングのSTPのところまで。引き続きどんどん進めていきましょう。
とても古典的な手法ですが、次は4Pのお話。
ちょうど今この辺りです。
4Pとは?
改めて4Pとは何のことだったでしょうか。おさらいしてみましょう。
簡単にいうと、顧客に購買行動を起こさせるための実行段階の戦略。頭文字を取って「4P」といい、この4つの組み合わせを「マーケティングミックス」と呼んでいます。
まずは、民間ビジネスで一般的に言われる各々の意味合いをご紹介しましょう。
Product(プロダクト:製品)
企業の利益の源泉、製品をどのような仕様とするかを検討します。「モノ」なら製品の品質はもちろんパッケージ、メンテナンスサービス、保証なども含まれますが、ポイントは製品を通じて顧客ニーズをどう満たすかにかかっています。
Price(プライス:価格)
読んで字の如く、販売価格を検討します。ここはSTPで決定したターゲット層によって価格設定の考え方が異なります。ターゲット層が購入してくれる価格か、製品の価値と見合う価格か、ちゃんと利益が出るかなどが検討のポイントになります。
Place(プレイス:流通)
製品を市場に流通させお客様のもとに届けるための最適な方法を検討します。店舗などの販売する場の設定、立地、流通させる商流が該当します。
また、どのような流通経路を採用するかで製品のイメージを左右することも考慮します。例えば、量販店のワゴンで山積みになっている製品と、一部のセレクトショップや高級百貨店でしか買えない製品とではブランドイメージが異なってきますよね。
Promotion(プロモーション:販売促進)
製品、価格、流通経路が決まったら、最後に欠かせないのが「知っていただく」こと。どんなに優れた製品やサービスであっても存在を知っていただかないと始まりません。製品の情報をどのような切り口や手法でお客様に知っていただくのか、適した方法を検討します。
民間ビジネスとちょっと勝手が違う点とは
というわけで以上が4Pの概略なのですが、これはあくまでも民間ビジネスでの一般的な4Pのお話。これが自治体ビジネスとなると、ちょっと勝手が違ってきます。
どこが一番違うのか。
それは、4Pの中で企業側が自由にコントロールできるものと、完全には自由に進めることができず制約があるものに分かれるという点です。
コントロールできるものは、「製品」と「販売促進」。
製品やサービスをどのようにするかは企業がお客様への価値提供を見据えて自由に生み出せますよね。「販売促進」も自社の創意工夫が活かせるところです。
一方、企業側で自由に設定できないのが「価格」と「流通」。
まず「価格」です。
自治体ビジネスは、原則として自治体が用意できる財源に大きく左右されます。いわゆる「年度予算」と言われるもの。こちらがいくら売りたくても、そもそも自社の製品に適した予算枠が確保できていなければ買ってもらえません。
また、「流通」も同様です。
流通経路の工夫はほとんど製品やサービスが採用されるかどうかに関係がありません。自治体は調達プロセスが公平性・透明性を確保するために細かいルールが設定されています。ものやサービスを売りたい場合は、原則として「入札参加資格」を申請し、価格競争入札や企画競争にエントリーして他社と競い合い、公平なプロセスを踏んで選ばれる必要があります。
包括連携協定や首長専決処分などのルートもありますが、ほとんどの場合は手続きに沿って競い合いに手を上げるのが原則。それ以上の選択の余地はありません。
まず何から着手すべきか
そうすると、まずしっかり検討しなければならないのは「製品」と「販売促進」。
製品については、これまでのコラムで何度も繰り返しご紹介した「社会課題解決のための価値提供」。これを製品やサービスで実現することそのものが提供する製品といえるでしょう。
何度も繰り返します。
自社の製品やサービスが、自治体のどのような課題を解決できるのか。これが採用される製品の一番大切なポイントですね。当然これはクリアできているのを前提に、販売促進のお話に触れましょう。
自治体にどのように認知してもらうのか、そもそも認知してもらうためにはどうすればいいのか。ここで鍵になるのが「情報提供」。
自治体は、特に年度の前半のタイミングで、次年度にどのような製品を買うか、どのような事業を進めるか念入りに情報を集めて検討します。このタイミングで、自社の製品やサービスを認知してもらうための情報提供をするのが非常に効果的です。
そうすると、まずは4Pの中で着手すべきは「販売促進」、すなわちプロモーションですね。そもそも認知されなければ検討も始まりませんし、予算も確保されません。そしてこの販売促進の方法で効果的なのが、BtoBマーケティングで採用されている手法の「コンテンツマーケティング」。この手法を使うのがおすすめです。
一言で言うと、自治体に価値のある情報を提供し続けること。
自社の認知から受注までプロセスごとに適切で有効な情報を出していくことが販売促進につながります。
貴社の課題に合わせた効果的なプロモーションとは?
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まとめ
同じ4Pでも民間ビジネスと自治体ビジネスとでちょっとアプローチが違うと言うこと、ご理解いただけたかと思います。次回は、4Pのうち販売促進に焦点を当て、「コンテンツマーケティング自治体版」とも言うべき内容で自治体への具体的なアプローチ方法をお話ししてまいります。次回もどうぞお楽しみに。
著者
株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子
1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。
自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz