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  1. 自治体は発注案件をこうして創っている

自治体は発注案件をこうして創っている

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

前回は自治体ビジネスの元手「予算」のお話をお送りしました。
それでは自治体はあらかじめ想定した予算をベースに、どのように発注案件の内容を決めて手続きを進めるのでしょうか?今回は自治体内部での予算確保の動きをちょっと覗いてみましょう。

4月〜6月:施策・事業の情報集め

自治体の新しい年度が始まるのは4月1日。人事異動で新たな担当者が各課で仕事を始めるのもここからです。そして、「来年度にどんな事業を実施しようか」「どんなサービスを頼もうか」「何を買おうか」などの予算を検討するのもこの時期から。

それぞれの課が直面している地域の課題や自治体組織内部の課題について自前で解決することも出来るかもしれませんが、効率よく効果的にこうした課題を解決するノウハウは民間企業が持っていたりします。そうしたことから、ちょうど4月から6月にかけては次年度に向けて情報を集める時期となるのです。

インターネットで情報収集をすることはもちろん、業界紙に目を通したり、先進的な取り組みをしている自治体に視察に出かけたり、民間企業優れた技術やノウハウを持っているところがないか展示会に出かけたり、気になる事業を手掛けている民間企業に連絡を入れてみたりします。

自治体ビジネスを拡大したい民間企業がこの時期にやるべきことはもうお分かりですね。そう、お目当ての自治体にアプローチし、自社の持つ技術やノウハウがいかにその自治体の課題解決に役に立つか情報を提供すること。自治体側は少しでも課題解決のヒントになる情報が欲しい時期です。この時期を逃さないようにアプローチをかけ、その課の事業の状況や課題を把握し、関係を構築しておきましょう。

7月〜11月:次年度取り組む事業を決定

自治体の内部でのこの時期は次年度の事業や購買の内容を確定する時期。ざっくりした事業内容とともに予算がどのくらいかかるのか概算で弾き、次年度やるべきことの概要が確定します。(※引き続き情報収集も行います。)
この時期に民間企業はどんな対応をすべきでしょうか。それは事業や製品の「提案」です。自社の製品やサービス、ノウハウがいかに課題の解決に役立つか提案し、その提案内容で予算枠を取ってもらうことが最も重要です。

なぜそれが重要なのでしょうか。自社の提案で事業や製品の予算が確保されれば、その提案内容に沿って次年度の仕事の内容が決まります。そうして確保した予算が次年度入札やプロポーザルで企業を選ぶ段階になった時に落札できたりプロポーザルで勝つ可能性が高まるというわけです。

10月〜12月:予算書作りと財政担当対応

各課の中で次年度の予算が概ね決まったら、次は自治体内部の財政担当課に「うちの課は来年こんな事業をこの予算でやるので予算枠をください」と申請するための資料作りに入ります。

一方、財政担当課は提出された申請資料の内容を「本当に必要な事業なんだろうか」「これ、来年度急いで買う必要があるのかな」などの視点でチェックを行います。何せどの自治体も財政状況は厳しいもの。必要のない予算申請は情け容赦なく却下やカットしていきます。この申請資料、一般的には「予算書」と呼ばれている書類。ちなみに自治体内部で予算書の提出には締め切りがあり、締め切りを逃すとやりたい事業があっても「ちょっと提出遅れちゃったけど頼むよー」というわけにはいきません。よほどのことがない限り1年待ち。お気持ちをお察ししますが次年度の締め切りまでに予算を上げてよね、ということになります。

さて、ここで民間企業が何をやるべきか。自社が提案した内容で予算枠を確保してもらえるよう、自治体の予算書作りをサポートしたり、財政担当課がその事業の必要性を理解する手助けとなるような情報を担当職員に提供したりします。

翌年3月:議会の議決を経て発注先選定

こうして財政担当課のチェックを無事にクリアした予算は次年度の「当初予算案」として取りまとめられ、年が明けてからの3月の地方議会の議決を経て晴れて使える予算となります。事業予算が晴れて使えるようになったら、自治体側はその事業を一緒に取り組む民間企業を入札やプロポーザルなどで選ぶ段階に入ります。

前年度から予算枠取りに絡んでいる企業はしめたもの。事業内容やポイントなどがわかっているわけですから入札やプロポーザルを戦う上で他社より戦いやすくなります。

自治体ビジネスのポイントは「農耕」と「狩猟」のバランス

民間企業に発注する仕事が自治体の中でどのようなプロセスで生まれるのか。そしてそのプロセスの中で民間企業がどう絡むのか。年間の流れやタイミングがおわかりいただけましたでしょうか?

さて、この1年間の流れの中で民間企業として押さえなければならないポイントはどこでしょうか。大きくは2つあります。

一つは、次の年度の予算枠をとるため自社の製品やサービスの「提案」をすること。いわば次の年度の種まきにあたりますね。

もう一つは、目の前に出て来る入札やプロポーザル案件を他社と戦って勝ち取ること。これは狙った獲物を外さず仕留める「狩り」ともいえます。自治体ビジネス市場で安定的に売り上げを伸ばしていきたいなら、この「種まき」、いわば農耕活動と「狩り」すなわち狩猟活動の両立が基本中の基本。次の年の予算枠獲得を仕掛けつつ、目の前にある入札やプロポーザル案件を取っていく。

このサイクルが回るようになるとどうでしょう。次年度のために仕掛けた案件を楽に勝ち取りながら、余裕を持って次の年度の仕掛けに取り組むという安定的な事業展開が可能となります。

ところが、よく民間企業が陥りがちな失敗もまさにここにあります。それは、当年度の売り上げにばかりこだわり目の前に出てくる入札やプロポーザルにばかり自社のリソースを投下してしまうこと。営業担当者や部門長としては目の前の数字欲しさについつい「狩り」に邁進してしまうもの。でも、それではいつまでたっても自社に有利な案件を創り出すことができず、勝ち目の薄い案件に振り回され続けて疲弊してしまいます。

自治体ビジネスに効率的に取り組みたいなら、自治体の中で仕事が生まれる仕組みに沿って「農耕活動」と「狩猟活動」のサイクルを回してバランスよく。自治体ビジネス常連企業は、どこも農耕と狩猟を両立しつつ自治体のパートナーとして活躍していることをぜひ知ってください。

4月1日、令和2年度(2020年度)がスタートするまでまだ2ヶ月以上あります。このブログで発信する情報を踏まえ、しっかり準備していきましょう!

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