地域活性の鍵を握る!シティプロモーションの定義と事例

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「ゆるキャラ」「ご当地グルメ」「田舎ぐらし」など、地方の魅力を伝えるキーワードに触れる機会が増えています。これらは各自治体が中心となって行っている、地元の良さをアピールするためのシティプロモーションのひとつです。

少子高齢化で人口減少の危機が取り沙汰されるなか、シティプロモーションは”地域活性の鍵を握る”ともいわれています。全国の自治体が力を入れているシティプロモーションとは、どのようなものでしょうか。

その背景や重要性など、実際の事例を交えてご紹介します。

シティプロモーションとは?定義と背景

シティプロモーションとは、地方自治体が行う「宣伝・広報・営業活動」のことを指しています。地域のイメージ向上やブランドの確立を目指し、地元経済の活性化などを目的とした取り組みです。

観光資源をもつ自治体では観光客をより増やすこと、過疎が進む自治体では転入者・定住者を増やすことを目標としています。観光地や特産品、ゆかりのある歴史上の人物などをモチーフにした「ゆるキャラ」による営業活動は、よく知られるところです。

シティプロモーションが盛んになった背景は、2014年12月2日に施行された「まち・ひと・しごと創生法」にあります。「地方が活気あるものになれば、日本全体が元気で豊かになる」という狙いで、地方創生は国を挙げての取り組みです。2020年までの具体的な方針としては、「安定した雇用」「移住促進」「若い世代の子育て支援」「地域間の連携」の4つが掲げられています。

首都圏への人口集中による地方の過疎化を緩和するためには、各地方自治体が“魅力的なまちづくり”に力を入れる必要があります。そして、自分たちのまちの魅力を宣伝して、多くの人に知ってもらわなくてなりません。そこで重要視されているのが、シティプロモーションなのです。

地域活性化に不可欠!シティプロモーションの重要性

総務省の発表では、2010年から2015年の5年間で、日本の人口は94万7千人減少したとされています。しかし、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の人口は5年間で51万人増加しており、全国の4分の1以上の人口が集中していることが明らかになりました。

また、2014年に「日本創生会議」から発表された“通称・増田レポート”では、「2040年までに消滅するおそれがある896市町村」の名称が具体的に挙げられています。これは2010年の国勢調査から試算されたもので、2040年には20~39歳の女性がより減少し、ますます出生率が下がると予想されています。そして、人口の激減によって運営できなくなる自治体が、896市町村あると示されているのです。

首都圏への人口の流出を防ぎ、地方を活性化するためには、まちの魅力を知ってもらうプロモーション活動が欠かせません。同時に、住民にもっと地元を知ってもらい、生まれ育った土地への愛情を持ってもらうことも大切なことです。各自治体で行われている、さまざまな工夫を凝らしたシティプロモーションをご紹介しましょう。

「出世の街」プロモーション(静岡県浜松市)

うなぎの養殖で知られる浜松市は、「ものづくりのまち」としても知られています。日本製のピアノやオートバイの発祥の地であり、ヤマハや河合楽器、本田技研工業など、世界的に知られる企業が誕生した土地でもあります。

また、市内にある浜松城は、天下統一を果たした徳川家康が29~45歳までの17年間を過ごしたことから、「出世城」と呼ばれるようになりました。そこで浜松では、「出世の街 浜松」をキャッチフレーズにしたプロモーション活動が行われています。徳川家康をモチーフにしたマスコットキャラクター「出世大名 家康くん」が”福”市長を勤め、浜松の魅力をアピールしています。

「家康くん」の頭にある”うなぎちょんまげ”に触ると、出世運がつくそうですよ!また、食べるだけで出世する(かもしれない)縁起物グルメ「浜松出世飯」では、地元の特産品を味わえるメニューが数多く提供されています。他にも、大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台でもあることから、”出世のパワースポット”と位置付けたシティプロモーションが展開されています。

引用:【浜松市ホームページ】浜松市マスコットキャラクター はままつ福市長「出世大名家康くん」 https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kanko/intro/100year/100chara.html

まちのトレジャーハンティング(福島県国見町)

見慣れた風景に食べなれた食材。生まれたときから身近にあるものは地元の人にとっては当たり前すぎるものですが、外から来た人にとってはとても魅力的に感じることがあります。福島県の最北端にある国見町くにみまちは、まちに眠るお宝を発掘するためのイベント「トレジャーハンティング」を開催しました。

建築やプロモーションの専門家を招いて、2018年1月13日・14日の2日間にわたり行われた「トレジャーハンティング」では、5つのグループに分かれた参加者たちが国見町を歩き回り、さまざまな魅力を発掘しました。その後の報告会では、地形を生かしたスポーツイベントや自然を感じる宿泊施設など、ユニークなアイデアが発表されました。

報告会の様子は「まちのトレジャーハンティング@国見町 報告会&トークライブ(YouTube)」で見ることができます。

映画「わがまち深谷」(埼玉県深谷市)

埼玉県深谷市では、住民や企業、行政などが公共の利益を目標とする”市民協働”に力を入れています。市民協働の取り組みでは、住民同士のふれあいの機会を増やし、地元愛を強めるというメリットが期待できます。企業にとっても、地元で実績を残すことで信頼を高めることができます。

また行政にとっては、住民のニーズを的確に把握した施策を進められることや、職員の意識改革などの効果があります。

県の北西部にある深谷市は、2006年に旧深谷市と岡部町、川本町、花園町がひとつになって誕生しました。誕生から10年を迎える2015年に製作された記録映画「わがまち深谷」も、市民協働によるものです。NPO法人市民シアターエフと協働で製作された「わがまち深谷」では、深谷の歴史や文化、産業や人々の暮らしぶりなどを知ることができます。

引用:【深谷市ホームページ】深谷市誕生10周年記念記録映画『わがまち深谷』 http://www.city.fukaya.saitama.jp/shisei/kyodo/kyoudou_torikumi/1461746213731.html

1000人クッキーダンス(埼玉県久喜市)

埼玉県久喜市のPRビデオも負けていません。久喜市民3058人が登場する「1000人クッキーダンス」が注目を集めています。

「久喜No.1宣言」をスローガンとする久喜市では、シティプロモーション課を設け、市の宣伝活動を行っています。2015年に撮影された「ワンカット撮影編」、2016年の「1000人クッキーダンス」ともに、全国広報コンクールの広報企画部門で2年連続入選。YouTubeに開設された久喜市公式動画チャンネルでは、「1000人クッキーダンス」の再生回数が50万回を超えました。久喜市の歌「笑顔のまち永遠なれ」とともに、明るく親しみやすいイメージが伝わってきます。

うまい仏

地元ゆかりの仏像とスナック菓子という異色のコラボで話題を呼んだのが、岐阜県関市の「うまいぶつ」です。関市は、江戸時代前期の僧侶・円空上人が晩年を過ごした土地と伝えられています。生涯で彫られた12万体の仏像のうち、約290体が関市に残されているのだとか。

スナック菓子「うまい棒」を丸太に見立て、円空仏のような仏像を彫ったのは、岐阜県出身の現代美術作家・河地 貢士かわち こうしさんです。2015年1月23~25日の3日間、愛知県名古屋市のミッドランドスクエアで開催されたイベント「うまい仏~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展~」には107体の「うまい仏」が展示され、約1万3千人が来場しました。関市に現存する円空仏が展示されている「円空館」や「洞戸円空記念館」の宣伝に、効果的なイベントとなりました。

引用:【関市ホームページ】うまい仏~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展~ https://www.city.seki.lg.jp/0000007830.html

まとめ

いかがでしたか?

各地域の趣向を凝らした企画は、そのまま地域の人々や街を活気づけるものだと思います。

シティプロモーションの事例は他にもたくさんありますので、ぜひ気になる自治体を探してみてくださいね。