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  1. 地方創生の鍵を握る、日本版DMOとは?

地方創生の鍵を握る、日本版DMOとは?

テレビや新聞、インターネットなどのメディアで「日本版DMO」という単語をさかんに目にするようになりました。きっかけは、人口が東京都やその周辺ばかりに集中する「東京一極集中」が進み、地方との格差を是正しようと「地方創生」が叫ばれるようになったことです。

「DMO」とは地方の観光資源を有効に使い、地方自治体や民間企業と連携を取りながら新たな観光名所を作り上げることを目的とした法人のことです。海外では一般的でしたが、ようやく日本でも本格化し始めました。

そこで今回は、地方創生を目指す上で重要なキーワードとなる日本版DMOについて詳しく調べてみました。

日本版DMOが求められる背景は

そもそも日本版DMOとはどのような意味なのでしょうか。まず、「DMO」とは「Destination Management Organization」の頭文字をとった造語です。

食や芸術、自然、芸能、風習など、それぞれの地域が持つ観光資源を有効に使い、地域や地方自治体、民間企業などと協力しながら新しい観光名所を作り出し、その地域を盛り上げることを目的とした法人のことを指します。海外では既に一般化されており、地域に根付いた法人が積極的に活動することで、観光客誘致にも成果を出しています。

日本では、2014年に発足した第二次安倍晋三政権が掲げた「地方創生」の政策をきっかけに、DMOが注目を浴びるようになりました。安倍首相は、日本全体の少子高齢化や人口減少が止まらない中、東京都やその周辺にばかり人口が集まり、地方の人口が減少している「東京一極集中」が進んでしまっている現状を問題視しました。そして、地方の人口減少に歯止めをかけて、日本全体の活力を上げることを目指して「地方創生」を掲げました。

こうした中、既に海外では一般的だった「DMO」に着目し、観光資源に精通した法人をマーケティングやマネジメントに生かして「地方創生」の実現につなげようと、観光庁が主導する形で「日本版DMO」という単語が使われるようになったのです。

DMOは複数の事業関係者のパイプ役

観光庁は、日本版DMOを「地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役」を担う法人として位置付けています。その役割の一つが、多様な事業関係者との合意形成です。

そもそも観光地域づくりは、日本版DMOや地方自治体など、一つの組織だけの力では実現不可能です。当該の地方自治体や近隣の自治体はもちろん、複数の民間企業、商店会関係者、商工会議所、学校、地域住民ら、さまざまな相手と協力関係を築き、足並みをそろえる必要があります。

日本版DMOには、観光地域づくりを一緒に担っていくこうした諸団体のパイプ役となり、包括的に合意の形成を目指していくことを求められているのです。

明確なコンセプト、目標設定が必要

地方自治体や企業、地域住民といった複数の関係者の中心的な役割を担う日本版DMOには、観光地域づくりのリーダーとして、目指すべき道筋を示す役割も求められています。したがって、明確なコンセプトに基づいたマーケティング戦略を策定しなければならないのです。各種データを継続的に収集し、分析するのはもちろん、そこから得た正しいデータに基づいて明確なコンセプトを打ち出す必要があります。

そのコンセプトを踏まえて、戦略を策定します。さらに業績評価指標(KPI)を設定し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の「PDCAサイクル」を確立していくことが求められます。

事業の整合性を取るための仕組みづくりが重要

観光地域づくりには複数の関係者が絡んでくるので、舵取り役を担う日本版DMOには、各団体がそれぞれで実施する関連事業と、全体の戦略との整合性がきちんと取れているかを調整し、円滑に進めるための仕組みづくりをする役割も求められます。

たとえば、ある野菜が特産品の町で、町がその野菜の加工品を目玉商品として打ち出そうとしているのに対し、商店会はその野菜を使ったB級グルメでPRしたいと考えたとします。その野菜を使って町を盛り上げたいという「ゴール」が同じでも、足並みがそろっていなければ効率は良くありません。

地方自治体がPRしたい商品やサービスと、民間企業が推したいものとの整合性が取れていなければ、観光地域づくりというゴールが一緒でも、アプローチまでに時間がかかってしまうのです。

こうしたケースに備え、日本版DMOにはそれぞれの事業を調整し、戦略に沿って事業を進められるような仕組みを作っていくことが求められているのです。足並みをそろえて観光地域づくりを行うには、地域社会でのコミュニケーションを密に図り、観光関連事業者への業務支援を通じて、関係者の間で戦略を共有していく必要があります。

さらに、地域が観光客に提供するサービスについて、サービスの維持や向上、評価をする仕組みや体制を構築することも求められます。観光客に対し、地域一体となって戦略に基づいた情報発信やプロモーションを行うことも重要です。日本版DMOには、これらを包括的に解決する役目としての期待もかかります。

日本版DMOになるには

日本版DMOを設立するには、まず候補となる法人の登録が必要となります。登録対象となるのは、地方自治体と連携して観光地域づくりを行うことができる法人です。

DMOの登録区分としては、複数の都道府県にまたがる地方ブロックを観光地域とする「広域連携DMO」、複数の市町村にまたがる区域を観光地域する「地域連携DMO」、基礎自治体である単独市町村の区域を観光地域とする「地域DMO」の三つが設定されています。このDMOの登録業務を行うのは観光庁です。

また、DMOには支援制度が設けられる予定で、内閣府の地方創生推進交付金による支援の対象となり得ることに加え、観光庁をはじめとする関係省庁で構成される支援チームを通じて重点的に支援を受けられるようになります。

日本版DMOへ期待すること

日本の少子高齢化は止まらず、人口減少に歯止めがかかりません。こうした課題に加え、東京都やその周辺にばかり人口が集まり、地方が衰退してく「東京一極集中」への解決策も見当たりません。

こうした現状を重くみた政府が打ち出したスローガンが「地方創生」です。地方を盛り上げ、日本列島全体の活力を上げることで国力を高めたいという狙いがあります。その地方創生の切り札ともいえるのが「日本版DMO」なのです。

地方には魅力あふれる観光資源がたくさんあります。しかし、地方自治体が効果的にPRする能力を持っていなかったり、人手不足によりマンパワーが足りなかったりといった課題を抱え、観光資源を生かしきれない地方自治体は少なくありません。そこで、マーケティングからマネジメントまで幅広いノウハウを持つ法人が一つでも二つでも立ち上がれば、衰退している地方自治体にとっての救世主となれることでしょう。

一口に観光地域づくりといっても、一企業や地方自治体だけで成し遂げられるほど簡単ではありません。地域住民や各種団体、近隣の自治体などと力を合わせて観光資源の魅力を発信していく必要があります。当然、こうした諸団体のパイプ役となる存在は欠かせません。

さらに、正確なデータ収集と分析で明確な戦略を打ち出し、関係諸団体と足並みをそろえて一つのゴールに向かっていくことも求められます。関係諸団体が相乗効果を発揮できるよう、円滑に物事を進めるための仕組み作りも重要です。これらの役割を包括的に担っていく存在だと期待されているのが「日本版DMO」なのです。

海外では既に一般化されているDMOは、日本でも徐々に浸透してきました。日本版DMOは、人口減社会の持つ課題を打破する存在となれるかどうか、今後にも注目です。

 

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