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  1. 「フェアであること」の価値 〜ようこそ、BtoLGの世界へ〜

「フェアであること」の価値 〜ようこそ、BtoLGの世界へ〜

「フェアであること」の価値

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

初めまして。
株式会社LGブレイクスルー、代表取締役の古田智子と申します。
今回から毎週、自治体クリップのコラムを執筆させていただくことになりました。
どうぞ宜しくお願いいたします。

私は、中央省庁や地方自治体をクライアントとするコンサルタント会社出身。
営業責任者として提案活動から予算枠を獲得し、他社と戦って案件を受注し、プロジェクトマネージャーとして案件を執行し、成果品を納め随意契約や周辺案件を獲得する。
変化する官公庁分野の地域課題に寄り添いつつ、こうした一連の仕事を25年近く最前線で手掛けてきました。

事業領域は、官公庁分野のほぼ全てと言っていいほど多岐にわたります。
地方自治体でいうと産業振興・農林水産・観光振興・環境問題・市民サービス・施設管理・情報政策・人事・行財政改革・公営交通・上下水道・・・。通常、コンサルタントは特定の専門事業領域が決まっているものですが、私の場合はかなり例外的。「領域を問わずなんて聞いたことがない」「こんな人に初めて会った」とお客様からよく言われます。

なぜこんなキャリアを歩むことになったか。それはまた別の機会に譲るとして、この一風変わったキャリアが官公庁案件の勝率を高めて受注を伸ばす「メソッド」の確立に結びついたことに関してだけは、無茶振り三昧だった前職の経営層に感謝しなければなりません。

民間企業の力なくては地域課題の解決が成り立たなくなってきた昨今。多くの民間企業の方にこの「メソッド」を習得していただきたいと考え、我が国初の「官公庁分野で勝率を高める方法論を提供する」に事業ドメインを設定し、たった一人で起業したのが8年前。
おかげさまで、多くのお客様や素晴らしい自治体職員の方々に恵まれ、感謝しながら日々事業に取り組んでいます。

BtoLGとは

弊社が事業領域とした「官公庁分野の案件獲得」。案件、つまり民間企業からするとビジネスになるわけですから一定の「市場」が存在します。
その市場規模は、国関係と人口10万人以上の地方自治体の発注金額の合計だけで、毎年度約22兆円。国関係を除いた自治体だけですと毎年14兆円前後で安定的に推移しています。

イメージが湧きにくいので比較してみましょう。
例えば、少し前ですが2012年度のベルギーの国家予算が歳入・歳出額双方で約20兆円(出典:財務省・外務省公式ウェブサイト)。
2019年の全国のコンビニエンスストア全体の売上高が11兆1,608億円。自治体市場だけでもコンビニエンスストア全体を4兆円近く上回る計算です。

新型コロナの影響で民間市場が冷え込むことが予想される中、国や自治体のビジネス市場はその規模だけをとっても大きな魅力があるのではないでしょうか。ビジネス市場といえばBtoB、BtoCがビジネスパーソンにとっては代表的な2つの主戦場。それに加えて、これからますます面白くなってくる22兆円規模の巨大な第3市場、それが官公庁市場なのです。

国や中央省庁を英語でgovernment、地方自治体はlocal governmentであることから、近年ではその頭文字をとって国や中央省庁市場を「BtoG」、地方自治体市場を「BtoLG」と呼ぶようになりました。

本稿では、読者の皆様にとって身近でチャレンジしやすい地方自治体のビジネス市場「BtoLG」を主に扱っていきます。

「フェアであること」がBtoLG市場の最大の魅力

さて、このBtoLG市場でのビジネス、民間ビジネス市場とどこが違うのでしょうか。
大きくは次の3つの違いがあります。

① 自治体が仕事を発注する目的

まず、発注者側の目的「何のために仕事を発注するのか」が大きく異なります。
例えば、民間企業が外部の組織にモノや仕事を発注するときは、製品やサービス、またその提供過程において効率を高めたり、コストダウンに役立てたりするのが定石。つまるところ、発注企業の売上高や利益をいかに最大化するかが目的です。

一方、自治体が仕事を発注する目的は、「地域住民の福祉」。ここでいう福祉とは、ざっくり言うと地域住民の「幸せ」のことをいいます。地域住民に幸せになってもらうためには、現在地域に起こっている様々な地域課題の解決や、治めてもらった税を効果的に使うための行財政改革などに取り組む必要があります。特に地域課題については、近年の社会情勢や住民の価値観・ニーズの変化に伴い、前例のない、それも自治体内部に解決のための知識やノウハウがないものばかり。

そうした「課題の解決」を通じた地域住民の福祉のため、優れた技術・知識・ノウハウを持つ民間企業の力を求めて多くの仕事を発注するようになったのです。

② 仕事の発注に権限を持つキーマン

例えば民間の場合、社長が「このシステムを導入することに決めた!」の鶴の一声でさほど機能的にもどうということはないテレワークの仕組みが謎に入ってしまったりしますよね。自治体の場合、例えば知事や市長の鶴の一声で特定の会社の製品やサービスの導入にはなりません。

何故でしょうか?そう、自治体は地域住民から預かった税で全てが運営されています。だからこそ、知事や市長の個人的な人脈や独断で物を買ったり仕事を頼んだりはできない組織の仕組みになっているのです。

だったら、誰が仕事の発注のキーマンか。それは、自治体各部署の課長さん。自社の製品やサービス、ノウハウを活用してもらえそうな課の長が、まさに仕事の発注の権限を持っています。民間のレベル間でいうと自治体の課長職は事業本部長や執行役員クラスでしょうか。知事や市長に人脈を辿って会いに行き、プレゼンしても仕事につながらないことがよくあるのは、彼らが仕事を発注する権限がないからなのです。

③ 仕事の発注プロセス

民間の場合は営業担当者の素晴らしいトークで製品が気に入れば、即商談成立、クロージングですよね。
地方自治体の仕事の発注は、「予算」が組まれるプロセスに応じて発注金額や発注時期が全部決まってきます。ちなみに自治体が発注する仕事の内容や予算は、前の年度に決まって行きます。この自治体内部で仕事の元手の予算が組まれる時期やタイミング、プロセスを知らないで営業活動を進めてしまうと、なんだか全くうまくいかないなあ・・・どうして?ということになりかねません。

これらの3つの違いは、BtoLG市場でビジネスを展開する上での「読み書き算盤」、つまり押さえておくべき基本中の基本と言えるでしょう。よく理解して進めないとなかなか数字に結びつかないことも。逆にいうと、この3つの違いをしっかり理解して取り組めば、実績やネームバリューがなくても市場のプレイヤーとして活躍できるようになるでしょう。

「フェアであること」が、実はBtoLG市場の最大の魅力

そう、実はBtoLG市場の1番の魅力は、実績やネームバリューがなくても、どんな会社にでも公平性・公正性・透明性の高い発注プロセスで門戸を開く「フェアさ」だと私は思います。
起業して8年間、わき目も降らずに邁進できたのも、「案件はフェアプレーで正々堂々と戦って勝ち取る」という清々しい世界の魅力と、地域課題の解決にビジネスを通じて貢献しているんだという矜恃が醸成されたからなのかもしれません。

長年この業界にいると、確かに地方議員や首長(都道府県知事や市区町村長)の人脈による「力学」が行使されることがないとは言えません。
でも、そうしたことは極々例外的なこと。そもそも我が国の企業数は大企業1万1,000社、中小企業380万9,000社(平成26年経済センサス-基礎調査より)。合計382万社もあります。その中のごくごく一部のコネがある大企業の力学で14兆円ものBtoLG市場が形成されているわけではないのは明らかです。
その証拠に、こちらのグラフをご覧ください。

地方公共団体の観光需契約実績の推移

出典:「平成29年度地方公共団体の中小企業の受注機会の増大 のための措置状況等調査結果」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2019/190130chousakekka.pdf〉より作図

これは毎年度のBtoLG市場の推移ですが、棒グラフの下半分、濃くなっている部分は中小企業への発注金額。毎年度、実に全体の75%が中小企業への発注で構成されています。決して一部の力学が働く大企業のものだけではなく、広く中小企業にも広く門戸が開かれている市場であることがここからも分かります。

我が国の公共調達の仕組みは、近年の社会情勢の変化に適応する形でどんどんフェアなプロセスが重視されるようになってきました。1889年(明治22年)に会計法が施行され調達の仕組みが法整備されて以来紆余曲折を重ね、今や世界的にも公平性・公正性において胸を張れる仕組みに進化してきています。

「フェアであること」は、すなわち地域課題と自社の製品・サービスの提供価値に真摯に向き合えさえすれば、どんな会社にも広く機会が開かれていることに他なりません。この市場特性こそがBtoLG市場の何物にも替えがたい社会的価値であり、魅力であり、アフターコロナのこれからの社会で皆さんのビジネスをより進化させる大きな機会をもたらすものと私は確信しています。

ぜひこのBtoLG市場のプレイヤーとして名乗りを上げてください。すでに市場のプレイヤーとして活躍している企業の方は、より多くの自治体に皆さんのビジネスの場を展開していってください。
皆さんが手がけるBtoLGビジネスは、必ずや地域課題の解決のための価値提供だけではなく、皆さんの会社に利益の創造をもたらしてくれることでしょう。

さて、次回からはBtoLG市場のマーケティングの必要性と案件獲得活動の進め方の関係についてお話ししていきます。どうぞお楽しみに。

著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田智子


2013年2月、株式会社LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る官民連携社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。自治体案件獲得の勝率を高めたい民間企業に対する研修登壇実績、コンサルティング実績多数。

https://jichitai.biz

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