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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜真の「顧客」は誰なのか?〜

BtoLGマーケティングの実務 〜真の「顧客」は誰なのか?〜

BtoLGマーケティングの実務 〜真の「顧客」は誰なのか?〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
BtoLGマーケティングの実務、今回はいよいよ最初のステップ「事業環境の分析」のお話から始まります。

まずは事業環境を考えるときの「顧客は誰か」。今日のコラムでは前提となるこの概念から紐解いていくとしましょう。そもそも顧客が誰か間違えてしまっていたら、マーケティングも何もあったものではありません。しっかり理解しておきましょう。

「顧客」って、誰?

これ、前回のコラムでさんざん引っ張っておきながら「調べましょう」の一言で済ませてしまい、言葉が足りていませんでしたね。改めて考えてみましょう。顧客は地方自治体、これには異論がありません。では具体的に自治体のどこが直接の顧客になるのでしょうか。

地方自治体という組織をイメージするとき、皆さんはトップである首長(都道府県市区町村の長を総称して「首長」と言います)以下、部局があり、課があり、係があるツリー図を思い浮かべる方が多いと思います。

ところが、です。民間企業であればそんな感じですが、実は地方自治体の場合はツリー図とはちょっと違います。

首長が位置付けられている「執行機関」、執行機関を支えて各課で様々な領域の公務を執行する「補助機関」、地域住民の代表から構成される「議会」などというように、地域にはたす役割ごとに機能が分かれています。「人事組織」に対する「機能組織」に近いものがありますね。

厳密に示すと自治体組織は人口によっていくつか構成パターンがありもっと複雑ですが、ここはざっくりと。機能の関係を簡単な図で表すとこんな感じです。

自治体組織構成(代表例)

この機能の中のどこが皆さんのビジネスの「顧客」なのでしょうか。
実は、この図で言うと「補助機関」の中。ここに皆さんの製品やサービスの事業領域について扱っている部署があるのです。

例えば、ICT関連の製品やサービスなら情報政策課や総務課、高齢化社会に対するソリューションなら高齢者福祉課、中小企業支援なら産業振興課、観光インバウンド関係なら観光振興課、というように。この関連する「課(室の場合もあります)」が直接の窓口となり、そこが扱う業務が皆さんの事業領域となります。

では、自社の製品やサービスについて関連する課はどのように知れば良いのでしょうか。

時々「自治体に営業に行ったがたらい回しにされた」という怒り心頭の民間企業の担当者の声が聞かれることも。私に言わせてみれば、それは民間企業側がもう少し事前に調べれば回避できる問題のように思われます。

頼りになるのは自治体の公式WEBサイト。アクセスすると、組織の紹介や課ごとの業務の案内が必ず掲載されているものです。自社の事業領域をまずは見極めるためにも、しっかりチェックしておきましょう。

本当の「顧客」は誰か

ここまでお読みになった方、お気づきでしょうか。
「え、ちょっと待って。窓口?自社に関係する課の職員が顧客じゃないの?」

はい。確かに自治体が顧客ではあるのですが、BtoLGマーケティング的に見据えなければならない顧客は、訪問した時に応対してくれる課の職員さんではありません。
狭義の意味では「顧客」に違いありませんが、皆さんが自社の製品やサービスの価値を提供するべき相手は、目の前の職員さんではありません。彼らの後ろに、それも何千人・何万人もいます。

前回のコラムを思い出してください。自治体に対しての提供価値は「製品やサービスの提供によってもたらされる課題の解決」とお伝えしました。では、その課題に見舞われている当事者、課題の先にいる「困っている人」は誰でしょうか。もっと幸せに暮らしたいと望むのは誰でしょうか。

例えば、待機児童の増加という課題で困っているのは子育てと仕事の両立で苦しむお母さんたち。

人口減少や地域の衰退で困っているのは、地域で会社や商店を興し経営をしているお父さんや、その会社に務める方々。空き家が増えても防犯・防災の面でその界隈の人たちは不安で困ります。

いじめや虐待、ひとり親世帯の貧困で苦しむのは地域の子供たちです。

農林水産業の衰退もお困りごとの一つ。農作物をずっと作ってきたおじいちゃん、おばあちゃんは畑を継いでくれる人がおらず、畑仕事も体力的な問題で続けられず耕作放棄地が増えてしまいます。毎日命がけで荒海に乗り出す漁師の方々も担い手不足に悩んでいます。

犯罪や自然災害に見舞われたときにも命や仕事が脅かされるのは地域住民や働く人々。もっと大きい話だと、空気や川や海や景観などの自然資源汚れたり、ゴミが増えて困るのも地域の人々です。

これらはほんの一部。専門的な課題を挙げていくときりがないのでこのくらいにしておきます。

もうお分かりですね。
皆さんが自社の製品やサービスで「課題の解決」という価値を提供すべき「真の顧客」とは誰なのか。それは、各々の課題で困っている・脅かされている、あるいは「こんなことあったらいいな」という望みを持つ、その自治体にすまう地域住民。彼らこそがBtoLGマーケティングにおける「真の顧客」なのです。

では、そうした地域課題に対する地方自治体の役割とはなんでしょうか。
地域住民が直面する「課題」に対して向き合い、住民から預かった税を原資として個々の住民に成り代わって解決策を講じること。「窓口」と表現したのはそうした理由からです。

真の「顧客」と向き合うことなしにBtoLGビジネスの成功はあり得ない

「自社の製品やサービスを自治体に売り込みたい」。
いきなりここからから入る企業は、真の顧客が見えていないことが多いようにお見受けします。

地域住民の課題を調べもせず、真摯に寄り添い向き合うこともなく、自社の製品やサービスをただ売りたいがために忙しい自治体の職場にセールス訪問を繰り返す。
このやり方で果たしてうまくいくでしょうか。

否。

真の顧客を理解していないこうしたアプローチでは、未来永劫採用されることはないでしょう。ましてや採用されない理由を「自治体職員は発想が古い、頭が固い」と自治体のせいにするのは全くもって論外。もってのほかです。

皆さん、自治体とビジネスを展開したいと思ったら、目の前の職員さんの後ろの「地域住民」が真の顧客であること。ここをぜひ理解しましょう。どんなに民間ビジネス分野で評価されている製品やサービスでも、一旦立ち止まって真の顧客である住民の課題を解決しうるものであるかどうかしっかりと向き合い検討しましょう。

真の顧客は、地域住民。
これこそがBtoLGマーケティングで企業が絶対に忘れてはならない原則なのです。

さて、次回はいよいよ本題、BtoLGマーケティングにおける環境分析手法のお話です。
事業環境分析で、具体的に何をどのように分析するかについてご一緒に見ていきましょう。どうぞお楽しみに。

著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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