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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析フレームワークの使い方〜

BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析フレームワークの使い方〜

BtoGマーケティングの実務 〜事業環境分析フレームワークの使い方〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
BtoLGマーケティングの実務、前回は「真の顧客は誰か」。前提となる考え方についてお話しました。続いて今回は「事業環境の分析」の具体的な内容に踏み込んでいきます。

BtoLGマーケティングプロセスのお話が今どのあたりか、皆さんが迷子にならないように改めて簡単な図にまとめてみました。

BtoLGマーケティングプロセス

BtoLGで事業環境分析でやるべきことはそんなに複雑ではありません。ひとことで言うと「調べる」ことが中心です。「分析」という言葉には調査会社にコストをかけて依頼してレポートが出てくるようなイメージが付き纏いますが、まずは自分たちでできることを前提に話を進めていきましょう。

何のための分析?を明確に

まずはこれ。分析の目的ですよね。
少々逆説的ですが「売れるか?」を目的にして調べると実は外すことがあります。もちろん最終的には売れるのか見極めるのは間違いないのですが。

例えば、類似の製品やサービスが特定の自治体に売れている事実があっても、必ずしも自社がその自治体に採用されるとは限りません。自社の製品やサービスが「その地域の課題」の解決に役立つか、先行している他社にその点において優位性があるかが見極められていないからです。
ポイントは、「売れるか?」ではなく「課題の解決にどう役立つのかを見極める」、これを目的とすること。ここがクリアになれば結果的に自治体に「売れるかどうか」判断して的確な戦略・戦術を打つことができます。

だったら「何を」調べればいいかは自ずと見えてくるというもの。そう、自治体が困っている「地域の課題とその背景情報」、ここをしっかりと把握しましょう。

どのように分析するのか、何を分析するのか

さて、いよいよ分析の進め方、つまり「調べ方」と「何を調べるか」について。

これはマーケティングに親しんでいる方にとっては当たり前かもしれませんが、業界を取り巻く「外側の環境」と、自社が事業領域としている業界の「内側の環境」。この二つに分けて調べ、自治体が抱える地域課題が何か、そもそもどのような背景から生じているのか、何に影響を受けるのか掴みましょう。

調べる時のフレームワークですが、外部環境は「PEST分析」、内部環境は「3C分析」がわかりやすくてお勧めです。どちらもマーケティングにはよく使われるのでお馴染みですね。

二つのフレームワークで調べることの関係を示すとこんな感じになります。

二つのフレームワーク

業界を取り巻く外側の環境は「PEST分析」で

PESTとは、「政治(Political)「経済(Economical)」 「社会(Social)」「技術(Technological)」の4つの分野の頭文字をとって「PEST」と呼ばれている外部環境分析のフレームワーク。

それぞれの分野で何を調べればいいのかは次のとおりです。

① 政治

BtoLGの各々の事業領域は、特に法改正や関連府省の政策によって大きな影響を受けます。例えば教育分野。文部科学省が令和時代のスタンダードな学校像として全国の子どもたち一人に1台の端末、大容量の通信ネットワークを整備する「 GIGAスクール構想」を政策として掲げました。その実現のため有識者によるGIGAスクール実現推進本部を設置、早期に実現するための推進方策を協議しています。

GIGAスクール構想で大きな影響を受けるのは、自治体の教育委員会。今後公立小中高の教育現場にハードの整備やソフト面での対応など、今までの公教育のあり方を大きく変える必要に迫られます。このように大きな影響を及ぼす中央省庁の政策や法改正を調べてリストアップしておきましょう。

② 経済

民間ビジネスの場合、業界を取り巻く経済状況や所得の変化、金融の動向などが調査の対象となります。一方BtoLGで調べるのは自治体の財政状況。国からの補助金・交付金なども調べておくと良いでしょう。自治体ごとに人口規模や重点的に予算配分をする領域が異なることなどに注意しましょう。

③ 社会

一般的には人口動態・人の価値観・ライフスタイルなどの要素を調べるのですが、自治体の場合その地域に影響を及ぼす社会の変化に着目しましょう。

例えば、先ほど例に挙げた教育分野。コロナウイルス感染拡大という社会の変化がありました。
この影響で学校かつてないほどオンライン教育のニーズが高まり、GIGAスクール構想で令和5年度までに整備する予定だった端末やネットワーク環境を前倒しで早急に整備する方向に国の方針が変わりました。こうした社会の変化は、ダイレクトにBtoLG市場に影響を及ぼすものです。

④ 技術

業界環境に影響を及ぼす技術動向を調べます。ここは民間ビジネスとあまり違いはありません。ただし、新たな技術がBtoLG業界の課題解決にどう役立つか、という視点で調べるのがポイントです。

業界の内側、自社を取り巻く環境は「3C分析」で

3Cとは、「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Competitor)」。皆さんの会社を取り巻く業界内部環境を分析するのに適しています。

ここでいう「顧客」とは狭義では「自治体(の各課)」、そして意識しなければならない真の顧客は「地域住民」でしたよね。
一方「業界」とはBtoLG市場で皆さんが参入を検討している自治体の事業領域のこと。例えばICT関連なら総務課や情報政策課、 ICT教育などの切り口なら教育委員会、雇用や人材派遣などのソリューションがある会社は産業振興課。こうした自治体の各課が対応すべき社会課題やニーズがあり、そのニーズを満たす価値を提供する民間企業がいる。ニーズの交換があるから「市場」が成立するわけです。

業界内部の状況について3C分析で調べるものはこちらです。

① 顧客(自治体・地域住民)

まずは顧客である自治体のことをよく調べましょう。人口規模、地域特性などは基本とし、自社の事業に関する分野の政策・施策・事業は鉄板です。
そしてこのコラムで何度も繰り返してきたのがこちら。「自治体・地域住民の課題やニーズ」。自治体からは様々な情報が公式WEBサイトで開示されていますので、必要な情報が掲載されている資料が分かっていれば誰でも情報を収集することができます。

② 自社

自社が参入を狙うBtoLGの事業領域で展開している製品やサービスの提供価値。これを明確にします。何よりも重要なのは「自治体や地域住民の課題やニーズに対し、何を価値提供できるか」という点。これは(1)が明確になってから検討するという時系列になります。課題への価値提供ができるかを見極めないと「売れるか」は判断できませんよね。だからこうした順番になるわけです。

③ 競合他社

ここは、自治体・地域住民の課題やニーズに対して競合他社がどのような価値を提供しているか。ここが一番重要な調べる上でのポイントです。なぜなら、他社の提供価値の内容がわかれば、自社がそれをどのように上回り選ばれるようにするのか作戦が立てられますよね。民間ビジネスの場合、競合他社の情報はなかなか入手するのが難しいもの。

一方BtoLGの場合、自治体が開示してい入札調書、プロポーザルの結果、その他のオープンデータから競合他社の動向を情報として入手できる場合があります。こうしたオープンデータを上手に活用しましょう。

ここまでのところで、どんなフレームワークを使って何を調べるのかをお伝えしました。
次回のテーマはさらに事業環境分析を皆さんが実際に取り組めるように「調べ方」に踏み込みます。PESTや3Cで調べる時の情報源はどんな資料でどこで入手できるのか、具体的な調べ方をお話しします。
次回もどうぞお楽しみに。

著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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