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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方①〜

BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方①〜

BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方①〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。

BtoLGマーケティングの実務、前回は事業環境分析のフレームワークについてお話ししました。PESTと3C、この二つがわかりやすくていいですよ、というところまででしたね。今回からは分析に使う資料の「調べ方」について。PESTや3Cで活用する情報源となる資料とは何か、どこで入手できるのか、今回と次回2回に分けてご一緒に見ていきましょう。

まずは官公庁の開示資料から当たろう

まずお伝えしたいことはこちら。
「官公庁(国・自治体)が公式に開示している資料・情報を見る」ということ。

世の中、とりわけネット上には様々な情報が溢れています。あまりにも情報が溢れすぎていて探せない・わからないという人は、まとめサイトやWikipedia、業界のウェブメディアなどにアクセスすることが多いのではないでしょうか。

知りたいことの目安を掴むにはそれで問題ありませんが、ことBtoLGとなると話は別。客観的なevidenceに基づくファクト、つまり今社会や地域で何が起っているのか正確なところから出発しないと、自治体の悩みに自社が貢献できるかどうかという情報にバイアスがかかってしまいます。

例えば、つい最近起こったのが観光庁の施策「GoToトラベル事業」の事実誤認問題。

(出典:観光庁公式WEBサイト)

新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言解除の後、日本政府が訪日外国人観光客の旅行費用を最大半額まで補助するとの情報が5月、オンラインメディアやソーシャルメディアの投稿で国内外へ広まってしまいました。

上記の観光庁の公式ウェブサイトに掲載された発表は、この誤報への対応です。事態を受け、国土交通省も5月27日、観光業の復興支援策について、メディアによって「事実誤認に基づく内容」が流布されていたと発表。「正確には、日本政府として検討しているGo Toトラベル事業(仮称)は、日本国内での旅行需要喚起のため、日本国内居住者を想定し、『日本国内における宿泊旅行の費用などを支援するキャンペーン』」だと説明し、一部は英語にも翻訳されました。

AFP通信の報道によれば「この事実誤認は共同通信の配信内容の詳細を正確に把握しないまま日本の英字紙ジャパンタイムズ(Japan Times)が5月21日に記事として配信したのが原因」とのこと。ジャパンタイムズというような、誰もがその名前を知る報道機関でさえこうした誤りを起こし得るわけです。

オンラインメディアやSNSでの情報収集はとても便利。私たちの日常生活に根付いていますが、一方で発信者の恣意が入ったり今回の観光庁キャンペーンのような事実誤認のリスクがあるのは否めません。BtoLGの情報収集は、必ず国や自治体の公式ウェブサイトで開示される資料を大元の情報源として確認するようにしましょう。

PEST分析に使える資料のありか

それでは早速、PEST分析に使える代表的な資料とそのありかを見ていきましょう。下表にざっくりとまとめてみました。

政治

まずは押さえておきたいのは法改正の動向。私たちの暮らしを大きく変える法改正でない限りメディアで報道されることはありませんが、BtoLGに影響を及ぼす法改正は分野ごとに頻繁に行われています。
こうした法改正の情報を一括確認できるのが、内閣府法制局の公式WEBサイト。国会に提出された法案は全てこちらで確認できます。関連する業界の法律案の概要などをみておきましょう。

例えば、令和元年10月15日に国会に提出され閣議決定された「情報処理の促進に関する法律」の改正案。法案の提出理由を読むと、「情報処理システムの運用及び管理に関する取組の状況に関する認定制度の創設」とあります。

認定制度が創設されるなら、情報処理システムに関する企業には少なからず影響がありそうですよね。IICTソリューションを提供している企業は要注意、というわけです。

法律の他に必ず押さえておきたいのが国の政策動向。各府省の公式ウェブサイトにダウンロードできる資料が星の数ほどあります。自社の事業領域に関連する府省のサイトから資料を入手しましょう。

みておきたい資料の筆頭が「政策」。その分野の10年後・20年後のありたい未来を作るための長期的な国家政策がまとめられています。自治体はこうした国の政策に沿って地域の政策を決めていくので要チェックです。

その他、客観的なevidenceとして使える白書、報告書、審議会・懇談会議事録、統計情報、調査レポートなど、ほとんどの資料が国民誰もが活用できるようにPDFでダウンロードできるようになっています。活用しない手はありませんよね。

例えば内閣府公式ウェブサイトは、トップページからすぐに資料が探せるようにアイコンがレイアウトされています。民間に比べたらまだまだですが、国のウェブサイトも随分わかりやすくなってきました。

ただし、府省ごとにウェブサイトのデザインや構成が異なるため掲載ページは様々。階層を深く掘り進めないと出てこないことも。こんな時手っ取り早いのはサイト内検索です。多くの場合公式ウェブサイトのヘッダーあたりに検索ウインドウがあるので、そこにキーワードを入れて探してみましょう。

経済

ここは日銀さんと金融庁にご登場いただきましょう。
まずは日銀の「短観」。日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとに日本の経済を観測するもの。正式には「企業短期経済観測調査」といいます。多くの著名な経済アナリストの評論にある業況判断指数(DI)もこの情報ソースから論じられています。

もう一方は金融庁のウェブサイトにある「金融レポート」。金融行政の今後の方針が示されていますのでみておくと良いでしょう。

社会

社会、というと少し幅が広い感じがしますが、まずは業界動向を押さえておくことから。皆様おなじみの業界団体が出している各種のレポートは必須アイテム。

その他に手っ取り早くてお勧めなのが、帝国データバンクが開示している業界ごとの動向調査報告書。医療、情報・通信、食品、サービスなど18の業界ごとの動向調査レポートをダウンロードできます。また、地域社会という狭義の意味合いでは自治体が実施している住民意識調査やアンケート調査なども参考になります。

技術

ここは各業界ごとに技術の情報は入ってきていると思いますが、時々文部科学省や総務省の実証実験レポートを見てみましょう。特に科学技術開発は長期的な国家政策でもあるので大きな方向性を把握するのに役立ちます。

まとめ

以上、各府省などが出している様々なオープンデータのありかをご紹介しました。国も自治体も驚くほど多岐にわたって情報を開示していることがおわかりいただけたかと思います。

今回ご紹介したPESTによる外部環境調査、ポイントはコストをかけずにオープンデータを活用して調べること。自社のBtoLGビジネスを取り巻く大きな流れをつかみ、ぜひ事業の進むべき方向性について仮説・予測を立てるのに役立ててください。

さて、次回はもう一つのフレームワーク「3C」。内部環境調査の調べ方です。
こちらは通常の3C分析に加えて注意しなければならないポイントが一つあります。通常のBtoBマーケティングでも考慮すべき点なのですが、自治体市場ならではの押さえどころでもあり、よく見落とされる視点でもあります。

こんなところも含めて、引き続き今回のように具体的な資料を参照しながらお伝えしていきます。次回もどうぞお楽しみに。

 

著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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