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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方②〜

BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方②〜

BtoLGマーケティングの実務 〜事業環境分析に使う資料の調べ方②〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。

前回のPESTに引き続き、今回も資料の「調べ方」について。事業環境分析におけるお勧めフレームワークの2つ目、3Cで活用する情報源についてご紹介していきます。

内部環境の3C分析

さて、「3C」とはどのようなものかおさらいしてみましょう。
「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」、3つの頭文字を取って3Cと呼ばれているわけですね。

今回のテーマはBtoLGですので、顧客(Customer)に該当する部分は「自治体」ということになります。

3C分析に使える資料のありか

それでは前回のPEST分析同様、使える資料とそのありかを見ていきましょう。全てを網羅するのと大変なボリュームになってしまいますので、すぐに見つけやすい代表的な資料に絞りました。下表をご覧ください。

自治体

顧客である自治体を知るための情報は、ほとんどその自治体の公式ウェブサイトから引っ張ることができます。基礎情報にあたる人口はもとより地域特性、主要産業、自然環境などはその自治体の紹介ページがあるのでそこをみてみましょう。

さて、皆さんが一番知りたいことでもあり、調べるべきことは「どんな地域課題があるのか」「どこにニーズがあるのか」ではないでしょうか。
もちろんその自治体に訪問して職員さんのお話を聞く方法がありますが、そもそも市場に参入するかどうか決めかねている場合はなかなか時間や交通費、人件費を投じてそこまでするのは躊躇してしまうもの。

大丈夫、ちゃんと自治体の課題やニーズはオープンデータから拾えます。
実は、自治体は概ね10年スパンでどのような方向性で行政運営を進めていくのか明確にした計画書を作ってウェブサイトに開示しています。総称して「総合計画」と呼ばれるもので、民間企業の中長期経営計画をイメージするとわかりやすいかもしれません。

総合計画の中には目指すべき都市の姿や領域ごとの施策の方向性が打ち出されていますが、必ずその前段に設けられているのが「現状の課題」。そして課題を解決するための「施策の方向性や予定されている取り組み事項」
地域社会や産業、福祉、教育などの個別の領域を調査した課題が示されています。
自治体が解決したいと考えている課題は、総合計画のこの部分を参照すると良いでしょう。

一方、総合計画は10年間の計画なので、計画の策定時期によっては少し課題感が古くなっていることや、個別の事業領域については概略しかわからない場合もあります。
そうしたときは、総合計画に紐づけられる形でこれまた策定されている個別の「行政計画」が頼りになります。こちらは概ね5年スパンで改訂されており、比較的直近の課題感やニーズが拾えるでしょう。
計画の名称は分野によってさまざま。観光分野なら「観光振興計画」、都市計画なら「都市マスタープラン」、教育なら「教育基本計画」というようにストレートな名称もあれば、地域住民に親しんでもらうためにあえて砕けた名称をつけたものも。決まった名称がありませんから、探すときはトップページから「行政計画」とキーワード検索するか、「計画・施策」のページから入ると見つけやすいでしょう。

例えば、ICT分野。事例として金沢市の公式ウェブサイトをみてみましょう。
2020年3月、金沢市はICTに関する個別計画として「金沢市ICT活用推進計画」の改訂版をリリースしています。ICT、つまり情報政策分野の個別計画ですね。

ダウンロードアイコンをクリックして、まずは計画の目次をチェック。

赤い枠で囲ったところをご覧ください。本市の現状と課題として、該当ページに金沢市のICTに関する課題が明記されています。

一方、金沢市がICT関連施策で取り組もうとしている「やりたいこと」、つまりニーズもみてみたいですよね。
目次をみていくと、ありました。6章にちゃんと書いてあります。

今これをお読みになっている方でICTを活用したソリューションをお持ちの企業の方もいらっしゃると思います。いかがでしょうか、この中で自社に関係しそうな取り組みはありませんか。もし関係ありそうだなと思ったら、ぜひ該当ページをご覧になってみてください。

例えば、35ページの「AIやRPAなど先端技術の活用に係る取り組み」。覗いてみると、2022年度までの3年間で取り組む事項が具体的に示されています。

RPAやAIを活用した業務改善のソリューションを持つ会社さんにとっては、これこそが「自治体課題の解決」に自社の製品やサービスが役立つ領域なのではないでしょうか。

このように、自治体の課題やニーズは公式ウェブサイトのオープンデータから概ね拾えます。他にもどのような取り組みに予算がついているのか「予算書」などの資料もチェックして、自社の事業領域に関係する自治体の課題やニーズをピックアップしていきましょう。

競合他社

BtoLG市場で活躍している企業でどこが自社の競合になるのか、しっかり調べたいところですよね。競合他社に関する情報は、他社のウェブサイトや業界情報で収集するのはすでに皆さんは実施済みだと思います。

もちろんコストを投じてプロの調査会社に依頼すればもっと詳細な動向は得られますが、ここではあくまでも自社でなるべくコストをかけずに調べる方法をご紹介しましょう。自治体の課題やニーズに引き続き、競合他社情報についても自治体の公式ウェブサイトが頼りになります。代表的な入手方法は2つあります。

一つは、自治体が仕事を発注する企業を決める「競い合い」、入札やプロポーザル(企画競争)の結果を自治体公式ウェブサイトから調べる方法です。すべての受注企業の情報が入手できるわけではありませんが、多くの自治体が競い合いの結果を開示しています。

例えば、Googleのキーワード検索で「プロポーザル×結果」と入力してみると、

このように多くの自治体が結果を公表しているのがわかりますね。
この中で渋谷区が企業を公募したプロポーザル案件「ICT教育基盤構築(技術支援)業務委託」の結果を見てみました。

受注したのはICTに関するソリューション事業を展開しているITbook株式会社さん。ICT関連の製品やサービスでBtoLG市場への参入を考えている企業にとってはマークしておきたい企業の一つですね。

さて、もう一つの方法は「情報開示請求」。
今回ご紹介した表の中に「競合他社が自治体に提出した資料」とあるのに皆さんお気づきでしょうか。そんなものが果たして手に入るの?

はい、入手することができます。

私たち日本国民は、日本国憲法によって「知る権利」が保証されています。その権利を誰もが行使できるように、自治体は公務に用いた情報を幅広く国民に開示するため、条例を制定し公式な手続きを設けています。
その手続きが「情報開示請求」というわけです。

情報開示請求、一体どんな手続きをすればいいのでしょうか。
申請手続きにはどれくらいの手間がかかるのか?
申請費用はいくらかかるのか?
競合他社の提出資料とは、一体どんな資料が入手できるのか?
そして、請求の際に注意することはどんなことか?

この辺りは多くの皆さんが気になるところなのではないでしょうか。上記の詳しい情報は次回のコラムで詳しくお伝えします。

まとめ

今回は「3C」の調べ方のうち、特に一つ目のC「自治体」の情報のありかについて詳しく話ししました。

ポイントは、自治体の課題やニーズは自治体の公式ウェブサイトの「総合計画」や事業領域ごとの「個別計画」から調べることができますよ、ということ。

こうした自治体の計画書は(全てではありませんが)多くの場合民間のシンクタンクに委託し作成されています。投じられる予算は1本数百万円から、都道府県のような規模の大きい自治体の場合は数千万円になることも。せっかく税を投じてプロがまとめた調査結果や計画が開示されているわけですから、これを有効活用しない手はありませんよね。

次回は、2つ目のC「Competitor」の後半。情報開示請求の詳しいやり方を中心に3C分析のお話を続けていきます。次回もどうぞお楽しみに。

著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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