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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜ターゲットとなる自治体を探そう〜

BtoLGマーケティングの実務 〜ターゲットとなる自治体を探そう〜

BtoLGマーケティングの実務 〜ターゲットとなる自治体を探そう〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。

皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
今回は、前回に引き続きターゲット自治体の絞り込み方のお話を続けましょう。
全体のお話の中で今どのあたりにいるかというと、こちらです。ちょうどSTPの「S」のところです。

ターゲット自治体を「分ける」

前回、「自社でなければならない理由」、言い換えると「自治体の課題解決に選ばれる提供価値」を明確にすることに触れましたね。ここがはっきりしたら、さあ、自治体へのアプローチです。
でも、全国で1,740あまりある地方自治体のどこにアプローチすればいいのでしょうか。全部?いえいえ、とても人手が足りません。遠くの自治体ですと旅費交通費も馬鹿にならないもの。だからと言って一斉D M?これもなんだか効率が悪そうですよね。

というわけで、アプローチする自治体のターゲットを絞り込みましょう。ターゲットを絞るためには、見込みがありそうな自治体を見つけ出すために属性で「分ける」こと。これが、STPの「S」、マーケティングの言葉で「セグメンテーション」と呼ばれています。

どんな切り口で「分ける」のか

さて、1,741ある自治体から、見込みのありそうな自治体をどんな切り口で分ければい
いのでしょうか。
BtoBのマーケティングをご存知の方にはお馴染みですが、4つの切り口が自治体にも
使えます。
その4つとは、「地理」「人口」「心理」「行動」。
こうした切り口は「変数」と呼ばれ、代表的な分け方として多くの民間企業のマーケ
ティングで使われています。

自治体の場合の「切り口」は?

さて、この4つの変数。BtoLGマーケティングで使えるのでしょうか。
結論から申し上げると使えます。使えますが、ちょっと見方を変えたアレンジが必要。上の表「自治体の場合は?(事例)」にざっくりまとめたのでご覧ください。少し説明を加えましょう。

① 地理的変数

地方自治体の地理的変数の筆頭は、やはりその自治体がある場所ごとの地域特性。解決すべき課題も各々の地域特性によって大きく異なります。例えば、山間・中山間地域は公共交通機関が手薄で人の移動が課題の一つ。地域に歴史的遺産がある場合は、その維持保全や観光資源としての活用が課題となったりします。

② 人口動態変数

人口動態変数は、ターゲット自治体を検討する際に不可欠な切り口。例えば官民連携分野で常連企業の自治体営業担当者は、アプローチする自治体の人口規模を押さえることは必須の知識だったりします。
自治体は人口規模によって地方公共団体としての役割や取り組みが地方自治法などの決まりが異なります。そうすると、自ずと地域課題も人口規模による違いが出てくるわけです。

③ 心理的変数

民間マーケティングの場合は、消費者の価値観・好み・ライフスタイルが該当しますが、BtoLGの場合は消費者ではなく地域住民。地域住民の生活・価値観・ライフスタイルの変化、それに伴って生じている地域課題が切り口になります。

ちなみに多くの自治体で地域住民の意識調査を定期的に実施していることをご存知でしょうか。結果は報告書にまとめられて公式WEBサイトに公開されています。こうしたデータを参考にしても良いでしょう。

④ 行動変数

民間マーケティングの場合、ここは消費者の購買パターンが切り口になりますが、BtoLGの場合は「調達」、つまり民間企業との契約に見られる傾向やパターンと置き換えることができます。
そうなると、やはり自治体の民間企業への発注動向を左右する大きな計画「総合計画」、そして「長の公約(マニフェスト)」が背景情報として欠かせません。ここで位置付けられた取り組みに沿って課題解決の予算が確保され、そ
の後の民間企業への調達につながります。
今までコラムでご紹介してきた「事業環境分析の情報の集め方」でお話ししてきた通り、ここも情報を押さえておきたいですね。

「切り口」を組み合わせるときの」ポイント

さて、ご紹介した4つの変数の自治体バージョン。これらの変数を単独か組み合わせで、自社が価値提供ができる自治体ターゲットを絞るために可能性のある区分を分けていくのですが、皆さん一つお気づきでしょうか。

上記の4つの変数で加えた説明の中で、必ず出てくるキーワードがありますよね。
そう、「課題」というキーワード。4つのどの変数にも、その変数ごとの地域「課題」が組み合わさって初めて自社の提供価値が効くのか仮説を立てることができるというわけです。

そうすると、切り口を組み合わせるときのポイントは、次のようにまとめられます。

自社の業務分野 × 変数 × 課題

自社の業務分野とは、自社が自治体課題解決に価値提供できる産業の分野。例えばお年寄りの見守りのI C Tソリューションを展開している企業の場合は、高齢者福祉、観光アプリ開発を展開している企業は観光振興、地域の中小企業支援を行っている企業は産業振興、というような業務分野となります。

また、業務分野は一つとは限りません。人材派遣のように自治体の内部管理・地域の事業への人材派遣・事業部門(上下水道・一般廃棄物処理など)への人材派遣など、複数の分野にまたがる場合もあります。こうしたケースでは、まだ自治体の実績がない場合は一つに絞った方が限られたリソースを活動に集中させることができるでしょう。

こうして設定した業務分野について、4つの変数を単独か複数で掛け合わせ、その変数での課題ごとに分けていく。表現すると上記の組み合わせでの掛け算となります。もちろん変数も複数の組み合わせもあり得ます。

例えば、インバウンド観光客を誘致するメディア事業を展開している企業だとしたら、一例としてこんな感じになります。

観光振興 ×(人口規模+地域特性+自治体のインバウンド観光の方針)× 課題

地理的変数・人口動態変数・行動変数の3つの切り口の組み合わせですね。
インバウンド観光客誘致は、自治体の人口規模や都市部かどうかによって課題も変わってきます。また、観光資源などの地域特性があるかどうかも検討要素ですよね。そして、いくら条件が揃っていてもその自治体が「インバウンド観光に力を入れる」という取り組み方針があるかどうかにもアプローチ自治体が左右されてきます。

こうして自社に合った変数を組み合わせて市場を分けて整理することで、皆さんがアプローチすべきBtoLG市場の候補となる領域がセグメントされ、ターゲットを絞るための検討が可能になるというわけです。

まとめ

今回は、ターゲット自治体を絞るための様々な切り口の分け方、セグメンテーションについてご紹介しました。
次回は、分けて整理したらどのような考え方でターゲット自治体を絞り込むのか、ターゲティングの進め方について。判断する上でのよりどころとなる「6R」についてです。
次回もどうぞお楽しみに。

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著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。

自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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