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  1. BtoLGマーケティングの実務 〜自治体へ情報を提供する時の心遣い〜

BtoLGマーケティングの実務 〜自治体へ情報を提供する時の心遣い〜

BtoLGマーケティングの実務 〜自治体へ情報を提供する時の心遣い〜

※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。
皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
前回は情報提供のタイミングについてお話ししましたが、今回はコンテンツ、すなわち情報を自治体に提供するときのポイントについてご紹介していきます。そうですね、ポイントというよりも「気遣い・心遣い」と表現する方がしっくりするかもしれません。

それは「紙媒体で提供する」ということ

さっそく結論を見出しにしてしまいました。
「紙で提示する」。これが自治体へ情報提供するときの心遣いです。
お読みになっている方の多くが、「このデジタル社会で紙?」と感じていらっしゃると思います。メールマガジンや共有ファイルで情報提供した方が話が速いし、効率的ですよね。もちろん、自治体の内部も徐々にではありますがデジタル化や電子決済が進みつつあります。
ただし、現時点ではまだまだ紙が優勢。現時点での自治体側の都合に合わせて、紙媒体で提供しましょう。

なぜ「紙媒体」なのか

では、そもそも自治体側が「なぜ紙媒体だと助かる」のでしょうか。
自治体職員は頭が固いから?民間と比べて遅れているから?もし皆さんがこうした感覚を持っているのであれば、少し自治体内部の仕組みに目を向けて、視点を変えてみませんか。全ての自治体に完全に当てはまるかというとその限りではありませんが、「紙だと助かる理由」を職員さん目線で3つほどご紹介しましょう。

① 紙を回覧する仕組みに乗せられる

手段の是非はさておき、自治体の職場内では情報共有の仕組みがきちんとできています。
それは「回覧」。共有したい資料の表に表紙をゼムクリップで添付し、目を通した人表紙に押印していくというイメージです。
よく「スタンプラリー」とか「御朱印帳」とか揶揄されてしまいますが、「現時点では仕組みとして定着している」というのは動かし難い事実。せっかく民間企業から有効な情報が提示されたのであれば、すぐに職場で情報共有したいですよね。その既存の手段が現時点では回覧なのであれば、それに乗せちゃった方が遥かに話が早い。
自治体の職場で新しいやり方を取り入れるには、周りの職員に説明したり理解を求めたり、やり方を共有したりという新たな対応が発生します。それは生半なことではありません。民間と違って法律にしたがって公務を執行している、そして新たな公務がどんどん上積みされてきている超多忙な自治体の職場にとっては、少しルールが変わるだけで私たち民間企業の想像を遥かに超える大変な負担感があります。
その負担をかけないように、「回覧」という現時点での相手側の仕組みにちゃんと乗るように配慮する。これはある意味、どんなケースにも当てはまる普遍的なビジネスマナーでもあるのではないでしょうか(だから、「心遣い」な
のです)。
ここは「紙にハンコ押すなんて自治体は遅れている」と批判するところではありません。この社会の変化です。放っておいても、いずれ回覧の仕組みもデジタル置き換わるでしょう。でも、ビジネスはその時点での相手ルールに合わせるのがセオリー。どんな仕事でも目的を達成するためには、相手目線を忘れないようにしたいものです。

② 上司に説明しやすい

どんなに価値ある情報であっても、その採択や検討について職員個人が判断し進めることができないのが自治体の常。皆さんは自治体職員さんが守らなければならないこんな法律があるのをご存知でしょうか。

法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(地方公務員法第32条)
職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

法律はおろか、様々なルールにがんじがらめにならなければならない。そして注目すべきは、なんと上司の命令に忠実に従うことが法で義務付けられています。これは民間企業の社員にはちょっと信じられない厳しい仕事環境ですよね。
というわけで、自治体職員さんがあなたの企業から優れた情報を提供されて「この情報をもっと知りたい・具体的な取り組みを検討したい」と思っても、権限のない一般職員さんの場合は自分で勝手に進めることができません。
「上司の命令に忠実に従う」ことが法律で決められているわけですから当然のことながら上司に情報が入ってきた旨を報告し、説明してその企業と情報交換して良いか許可を得るというステップが不可欠なわけです。
ここで、紙媒体というのが効いてきます。
自治体の職場のパソコンは、外部のインターネットに接続できる台数を制限しています(これは情報セキュリティの問題や、それ以前にLGWAN:総合行政ネットワークの対応だったりするのですが、詳しくは次回以降のコラムで取り上げたいと思います)。小さな自治体ですとフロアに外部接続パソコンが1台しかない、なんてことも。
だから、もらった紙媒体の資料をコピーして上司に共有し、それを見ながら説明する方がこれまた話が遥かに早いですし、かえってスピーディに上司の了解を得て次に進めることができるわけです。

③ メールだと職場に転送されない恐れがある

さて、外部と接続しているパソコンの台数が限られていることは先に触れた通りです。人口が比較的大きい自治体の場合は各課に設置されている「庶務担当係」のパソコンに外部からのメールが届き、それを庶務担当職員が確認して該当する係に振り分けるというフローが一般的なようです。そのメールには、民間企業からのセールスやアポイント依頼だけではなく日々の地域住民や地域の団体からのお声が日々数多く寄せられます。
あなたが自治体の職員さんだったらどうするでしょうか。自分の仕事は地域住民や事業者のためにあります。だったら、まずはそうした地域住民からのお問い合わせやご意見への対応が優先順位は上になるのは当然だと思いませんか。よって、通常の公務に関係のない情報提供のメールは、どんどん優先順位が下がってなかなか確認されず、開封されても対応されないということも。
メールではなく紙媒体が有効だという理由は、こうした公務の特性からもきているわけです。

まとめ

情報提供は紙媒体が効果的だということを、今回は自治体の内部の仕組みや事情からお話ししてみました。
さて、次回は紙媒体の情報提供で大切な、内容の押さえどころについて。価値ある情報を提供するだけではなく、その先にある御社にちゃんと興味を持ってもらうためには、情報提供の内容にちょっとした工夫が必要です。その辺りに触れていきたいと思います。どうぞお楽しみに。

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著者

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子


1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。
自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz

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