BtoLGマーケティングの実務 〜「自社でなければならない理由」を見出そう〜
※本記事は株式会社LGブレイクスルー様に寄稿いただきました。
皆さん、こんにちは。
株式会社LGブレイクスルー代表取締役、古田智子です。
前回は情報開示請求の方法について詳しくお話しさせていただきました。これで一通り情報収集のやり方は共有できたと思います。忘れちゃった!という方は、漢字率高く長文ありで恐縮ですが、いったん過去記事をざざっとおさらいしてみてください。
さて、情報が集まったところでいよいよターゲット自治体の絞り込み方に入っていきましょう。
まずは「自社でなければならない理由」を見出そう
ターゲット自治体を絞るためには、もう一声準備が必要。
事業環境調査の結果から、自治体に対して「自社が課題解決に提供できる価値」を改めて明確にする必要があります。
全体像を再掲しますね。赤い波線で囲ったこの部分です。
ところが、です。
お隣に並んでいる「競合他社」。
「自社が課題解決に提供できる価値」が、他社と同じだったらどうなるでしょうか。
他者を上回って選ばれるための工夫が必要ですよね。
その工夫が「(他社ではなくて)自社でなければならない理由」を見出すこと。
これを明確にしておけば、後々入札やプロポーザル(企画競争)という競い合いになった時にも強みを発揮することができます。
では、「自社でなければならない理由」はどのように見出せばいいのでしょうか。
前回までお伝えした事業環境分析で収集した情報をフルに使って、自治体への価値提供における競合他社との強みと弱みを整理してみましょう。
例えばこんな簡単なフレームに落とし込んでみると分かりやすくなります。
上記の記入例で前提として想定しているケースは、
- 移住・定住者を増やしたいという地域課題が深刻で、動画プロモーションを考えている自治体
- 自社は中規模な映像製作会社
としてみました。
そうしますと競合他社は大手広告代理店や地元の映像製作会社などになることが想定されますね。
「法人ペルソナ」をイメージしよう
さて、ご注目いただきたいのは「属性」のところ。
競合他社といっても国内に何十社もあったりします。全部の数のライバル会社と強み・弱みを比較するのはあまりにも非現実的ですよね。
そんな時には「類型に分けてペルソナを設定する」のがお勧め。
BtoLG市場で自治体にアプローチする会社は、本当にざっくりですが例えば次のように類型化できます。
- 規模が大きく全国的に実績がある大企業
- 地元の企業
- その自治体で前年度の類似案件を受託している企業
このように「法人ペルソナ」を設定し「多分こうだろうな」と仮説を立て予測し、表に落とし込んで言語化するとイメージが湧きます。
ここで事業環境の分析で収集した様々な情報の出番。外部環境と内部環境の動向から仮説を立てて、他社と自社の状況を整理することができるというわけです。
そして一番重要なのが、網掛けをしてある表の一番下の行「自社でなければならない理由」。
プロットされる文章はあくまでも仮説ですが、「他社ではなぜダメなのか」も合わせて想定していくと、自社でなければならない理由をしっかり言語化していくことができます。
自社でなければならない理由を言語化できれば、その提供価値をどの自治体にアプローチしていけば効果的なのかターゲットを絞る上での重要な検討要素となるのはいうまでもありません。
ぜひ試してみてください。
ターゲット自治体を絞る必要性
さて、ターゲット自治体を絞るSTPのステップに入っていくわけですが、地方自治体の数は全国でいくつあるでしょうか。
実は1740あまり。民間ビジネスの特定の市場での法人数などと比較すると必ずしも多いとは言えませんが、それでも全部ターゲットとして一斉にアプローチするのはコストがかかります。
だからこそ、「自社でなければならない理由」がより刺さる自治体を絞り込んでいく必要があるわけです。
自治体は人口・地域特性・地域課題などがそれぞれ異なり、力を入れている政策や事業もそれに応じて異なるもの。
どのような属性でターゲットを絞るのか、自社のアプローチ上重要なポイントとなってきます。
まとめ
今回は自社でなければならない理由の見出し方、そしてターゲットを絞る必要性について共有させていただきました。
次回も引き続きターゲット自治体の絞り込み方のお話を続けたいと思います。どうぞお楽しみに。
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著者
株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子
1990年慶應義塾大学文学部卒。流通業、建設コンサルタント業を経て、1998年に総合コンサルティング会社入社、トップ営業に。コンサルタントとしても中央省庁や自治体受託業務の案件獲得活動から受託後のプロジェクトマネジメントまで一貫して携わり、多岐にわたる領域の公共事業に従事。
2013年2月、(株)LGブレイクスルー創業。企業と自治体が対等なパートナーとして連携し解決を図る社会の実現をミッションとし、自治体調達案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開。企業研修実績、コンサルティング実績も多数。
著書に『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社)『民間企業が自治体から仕事を受注する方法(日本実業出版社)』がある。
自治体ビジネスドットコム:https://jichitai.biz